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「霜降り肉」のために失明する牛

脂肪が筋肉の間に細かく網の目のように入った、日本独特の「霜降り肉」をつくるために、脂肪細胞の増殖を抑える働きのあるビタミンAの給与制限が全国的に広く普及している。

このビタミンA欠乏が慢性的に続くと、光の情報を視神経に伝えるロドプシンという物質が機能しなくなり、重度になると、瞳孔が開いていき、失明に至ってしまうことがある。あるいは失明しなくとも体に必要な栄養素の欠乏は、牛の苦痛を増加させる。

一方、ビタミンA制限には弊害がある。失敗した時の失明、夜盲症、関節炎、食欲喪失、ズルの発生などである。顕著な欠乏症状が現れなくても、目や歩行に異常が現れたり、被毛にツヤがなかったり、食欲が低下することを経験された方は多いのではないだろうか。

-2016年7月8日 全国農業新聞「アウトルック 肉用牛」より引用


写真は2013年 日本の牛肥育場
 
そもそも「霜降り肉」好きの日本人の味覚に合うよう品種改変され、牛舎に閉じ込められて穀物飼料を多給されている牛たちだ。「最上級」の霜降り肉でなくてよいならば、ある程度は脂肪交雑している。

にもかかわらず、食肉格付けの高い「最上級の霜降り」を求めて、牛を病気に追いやるような栄養制限が一般的に行われている。

2011年6月11日 信濃毎日新聞には、肉用の牛について、克明な描写がされている。
 

『その牛は、額の先で手を振っても反応がなかった。
黒目は焦点が定まっていない。ほかの牛と体をぶつけることも多い。
「盲目の牛です」。ステーキなどの高級食材になる和牛を飼う県中部の50 代の男性農家が打ち明けた。
「おいしい肉にしようとすれば、こうした牛が出てしまう」と男性。飼育中の約130 頭のうち、1 頭が完全に目が見えず、10 頭弱は視力低下が進んでいる。こうした牛も人体への影響はまったくないとされ、普通に出荷される。
盲目になるのは、肉に「サシ」と呼ばれる白い脂肪分を入れようとして、牛の栄養が偏ってしまうことが原因だ。』

失明だけではない。ビタミン制御した飼料給与が原因で、浮腫等の症状を示した牛の割合が37.7%という調査*もある。
 
幸いなことに最近では「霜降り肉」の人気が下降しているらしい。あんな脂だらけの肉を食べたくないという人が増えているようだ。
 
「霜降り肉」は牛が不健康であることの証、そして牛の苦しみの象徴なのだ。
 
 
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