ニカラグアはメキシコからコスタリカにかけてのメソアメリカの生態系にとって重要な部分と考えられています。
コスタリカは生態系の保全において世界から一目置かれる国であり、多くの生物種が集中している国ですが、その隣の国ニカラグアの自然が崩壊してしまったらどうなるのでしょうか。多くの地域の生物種が生息域の断片化によって、脅かされているのですから、やはり影響があるでしょう。
コスタリカだけではなくニカラグア自体にも多くの種が生息しています。ニカラグア南東部の生息圏保護区には、526種もの鳥類が生息しているといいます。
その森林が、今、脅かされています。
牛肉によって。
ニカラグアの森林の現象をGlobal Forest Wathchのデータで見てみると、以下のような動きをします。
2001年から2015年の推移。ピンクの部分が木の減少を表します。
モンガベイの報告によると、2011年~2016年の間に、ニカラグア東南部の生物圏保護区ではその保護区面積の19.4%に相当する54,000ヘクタール(東京ドーム2177個分)以上の森林が草地に変わってしまったといいます。3
牛肉とチーズなどの酪農製品がこの森林破壊の最も一般的な原因です。
牛たちはゆったりと放牧されています。放牧されている間の福祉的な懸念は少ないでしょう。餌をあえて与える必要はありません。このフロンティア開発による畜産業は、とても容易な収入源であるといえるかもしれません。
モンガベイやconfidencialの記事4によると、牧場主は森林破壊を正当化し、政府は沈黙しているといいます。
この森林破壊の代償は多きなものです。この地域の人が払う代償だけではなく、地球上の全ての生き物がその代償を払わなくてはならないのでしょう。
南東部だけではなく、北東部のボサワス生物圏保護区の違法森林伐採は激しく、特にこの地域は動物種だけでなく、多くの原住民族の土地でもあるにも関わらず、1987年から2010年の間に、564,000ヘクタール以上の森林が消え、牛の牧場地と農耕地に取って代わられました。
この地域はユネスコによって「地球規模の生物学的宝物」とも呼ばれている貴重な地域です。ボサワスだけで、世界の生物多様性の7%をかかえており、中米全土の種の57%が存在しているといいます。
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悲しいことに、日本はニカラグアから牛肉を輸入しています。
その量は個々数年増え続け、2016年には322,595kgに達しました。5 つまり、約1613頭分の牛を日本の消費のために殺して冷凍し、輸入しています。
2017年は7月までの輸入量で2016年を上回る473574kg輸入しています。
ニカラグアの森林破壊が報じられる中、大幅な増加傾向を示していることは、大変恥ずべきことです。
以前から臓物の輸入はされていましたが、この量の増加を考えると臓物以外の部位の肉の量が増えていると考えてもおかしくはないでしょう。またたとえ他国があまり消費しない部位であったとしても、森林破壊に加担した肉を消費すべきではないのではないでしょうか。
森林破壊、生態系破壊に加担していない、もしくは加担している割合が少ない肉は、飼料(大豆や麦や)による破壊や、気候変動の原因などを考えるとないような気もしますが、直接的に関わることはしないという保証をしたうえで、輸入したほうが良いのではないでしょうか。
例えば少なくとも中南米から仕入れる場合は、Rainforest Alliance マークの付いている肉のみにするなど、保証する方法はあるのですから・・・
※ニカラグアの位置はここです
1 Nicaragua cloud forest ‘under siege’ by illegal loggers
2 Booming beef exports fuel forest clearances and violence in Nicaragua’s Bosawás Reserve
3 Cattle ranching threatens core of Biosphere Reserve of Southeast Nicaragua
4 Nicaragua Has Lost 50% of its Forestland
5 財務省貿易統計