日本総合研究所は2025年2月20日、「社会課題に配慮した食」の市場規模を試算した調査結果を発表しました。日本の食料自給率向上、食品ロスの削減、環境への配慮、労働・人権への配慮・アニマルウェルフェアに対する意識を調査しており、残念ながら認知度はアニマルウェルフェアについてはやはり低く、39.8%にとどまっています。この結果は私達が行う認知調査とも重なります。他の課題は80%程度の認知度があることを考えると、より一層の啓発活動が必要であるということでしょう。
さて、重要なのはここから。
社会課題に取り組む価値を聞いており、初めて知った人も含め、83.6%の人が取り組む価値があるとしてます。その理由として45.4%の人が「動物を守りたいから」としています。嬉しくて泣けてきます。
他の課題より少し低い数値にはなりますが、それでも食品や外食を選ぶときの選択として考慮するべきという人も8割を超えています。また、配慮されていない場合に「選びたくない」というとても重要な気持ちも、他の課題と同等の45.1%の人が選びたくないと答えています。
食品企業にとって重要なのは、価格が上がったとしても選んでくれるか、というところですが、これについても、65.1%の人が価格の上昇を許容すると回答しており、3.5%の人は倍になってもいいと答えています。正直に言えば、鶏肉などは外国産を選べばより安くアニマルウェルフェアが一定程度担保できるものですが、卵などは価格上昇は必須であり、企業の取組みを後押ししてくれるかもしれません。
“社会課題に配慮した食”の付加価値総額を試算しており、これによるとアニマルウェルフェアは付加価値が5735億円と試算されてます。他の課題をあわせ重複を考慮すると1兆円規模だとのことです。
アニマルウェルフェアへ の対応 | 日本の食料自給率向上 | 食品ロスの削減 | 環境への配慮 | 労働・人権への 配慮 |
5,735億円 | 8,287億円 | 4,539億円 | 6,551億円 | 6,225億円 |
調査では、食に対する態度や属性なども詳しく掲載しています。よくよく読んでいると、企業がこれまでアニマルウェルフェア商品のターゲット層として捉えていた高級なものを購入する人たち、ゆとりのある人たちというセグメントはもちろん手堅いものの層が薄く、より広い層に広げても良いことが見えてきます。
とくに食品企業のみなさまには、詳細のドキュメントを確認し、事業に活かしていただけることを期待したいと思います。