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米国、カナダ、英国に431のスーパーマーケットを展開する(2015年9月の時点)ホールフーズマーケット
ホールフーズマーケットで販売されている卵はすべてケージフリー卵です。そのケージフリー卵には細かい基準が設けられています。この卵について、アメリカからレポートをいただきました。


2016年12月 現地レポート:さかもとよしこ


ケージフリープラスの卵。値段は12個入りで$3.49。

畜産動物に負担のない飼育や環境づくりに意欲的に取り組む大企業のひとつ、ホールフーズですが、今年の春、自社ブランド365 Everyday Valueの鶏卵について、新たな基準を発表しました。それにともない、畜産動物に対する彼らの取り組みや姿勢も見えてきました。

基準はCage Free PlusOutdoor AccessPasture RaisedMobile Houses on Pastureと四つのカテゴリに分けられており、それぞれのカテゴリに即して、アニマルウェルフェアの環境向上をめざせる形になっているようです。

Cage Free Plus(ケージフリー卵)

鶏舎の中で自由に動きまわれる。止まり木で休んだり、アグレッシブな仲間から逃れたりするための巣箱の中で砂あびなどをすることができる。
屋外にアクセスがあっても、Outdoor Accessのカテゴリの基準ではない。
ビークトリミングは許可されているが、鶏が自然行動を維持できるだけの長さとバランスを保つようにガイドラインに従う。

Outdoor Access(屋外にアクセスのあるケージフリー卵)

Cage Free Plusの全ての基準を満たしていることに加え、日照時間の半分は鶏舎と同サイズかそれ以上の広さのある屋外へのアクセスを確保する。屋外にも水と、少なくとも屋外にいる半数の鶏をカバーできる日陰や隠れ場所が必要。

Pasture Raised(放牧卵)

鶏舎に住み、いつでも放牧地または牧草地にアクセスすることができる。日陰や隠れ場所は75%以上の数を収容できる広さで、鶏舎から見える位置にあり、全てのエリアを鶏たちが歩き回れるよう牧草をめぐらせてあること。
ビークトリミングは許可されているが、鶏が自然行動を維持できるだけの長さとバランスを保つようにガイドラインに従う。

放牧地、牧草地の定義については以下のようになっています。
放牧地:さまざまな木や低木、背の高い植物やなどが日陰や隠れ場所を提供する屋外環境。鶏舎から目視できる近距離にあり、鶏たちが鶏が自由に歩き回ったり地面をつついたりできる環境。
牧草地:地面の50%以上が主に短い草で覆われた屋外環境。植生の始まりが鶏舎から15フィート以内の近距離にあること。

Mobile Houses on Pasture(移動式鶏舎つき放牧卵)

鶏たちが産卵を行い、夜、外敵から身を守れる移動可能な鶏舎のある屋外で飼育。
鶏舎は、密度75%以上の植物が確保されている牧草地に周期的に移動させるか、いつでも放牧地にアクセス可能な環境にする。
日陰や隠れ場所は全ての鶏を収容可能な広さであること。 ビークトリミングは禁止。

ビークトリミングについては、出生後10日以内に、訓練された人間が行う、くちばしの四分の一以上は除去しない(4分の3以上は残す)、
上下のくちばしがきちんと合うようにする、などのきまりがあります。
また、ビークトリミング以外で鶏の身体に手を加える行為(鶏冠、羽の切断、遮眼(ブリンカー)など)は禁止されています。

全てのカテゴリを通じて、新鮮な空気と清潔な飲み水、餌、止まり木、砂浴びなどができる有機物や砂などを含んだリッターを提供することや、屋内でも24時間中6時間の暗闇と8時間の照明を提供して昼夜を設けること、などが定められています。
また、取り扱いや捕獲の手順、羽毛状態の確認など鶏たちの健康管理に加えて、つつきあい、共食いがないかなどのチェック、緊急災害時における水や餌の供給管理プランの提出が義務付けられています。

Outdoor Access以上を扱う農家は、屋外の敷地の面積やそれに対しての鶏の個体数、日陰の管理とその方法、また、敷地にはどんな植物が群生しており、クオリティを維持のために行っている内容など、プランの提出が求められています。

2004年からケージフリーを最低条件としているホールフーズでは、店内に出店するベーカリーなどもケージフリー卵の使用が義務付けられています。
ふつうのスーパーマーケットと比べると、アメリカ国内でもまだまだ高級という印象のあるホールフーズですが、それでも日本に比べると価格は格段にリーズナブルです。

「店舗と消費者に食物を提供してくれる畜産動物の福祉を注意深く見守っていく義務があると信じている。アニマルウェルフェアの基準を発展させ、それらを随時、自社の製品カテゴリーに取り入れている」としているホールフーズは、新基準導入に至った経緯についても「アニマルウェルフェアの水準向上と、消費者の期待にこたえるため」としています。

消費者なくして企業は成り立ちません。畜産動物をとりまく環境を改善させ、苦しみを取り除くことができるのは、われわれ消費者の意識の向上と、企業への働きかけにかかっているとあらためて感じました。

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