2019年11月12日、衆議院消費者委員会で堀越啓仁議員(群馬・立憲民主党)がアニマルウェルフェア、及びエシカル消費の推進について質問しました。
堀越議員はエシカル消費の中にも含まれるアニマルウェルフェア、その経済への影響、投資への影響、集約的畜産のリスクを説明し、消費者を教育する役割を担う消費者庁の力が必要であることを強く訴えました。これに対し、衛藤 晟一内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)は以下のように述べています。
委員からお話をお聞きしまして、私どももそこまで必ずしも認識していたわけじゃありませんでしたから、大変参考になりましたというか、非常にいい勉強になりました。
そのとおりだと思いますから、今まで消費者庁も、チラシを配ったりとかいろいろな形の啓発の努力はしておりますけれども、更にもっともっと努力をさせていただかなきゃいけないなということをつくづく感じたところでございますので、そういう方向で頑張ります。
堀越議員の力強い質問と、衛藤大臣の前向きな姿勢、今後が期待できます!
エシカル消費という流れは、私達人の未来にも大きく関わる重要な取り組みです。日本のようにその商品がどこから来て、どのような犠牲が含まれているのか全くわからないという状態で売られる商品の数々・・・”見えない”ことと、”ない”こととは全く異なります。犠牲は製品パックの裏側に間違いなくあるのです。動物性の素材が使われていれば、それは動物たちが命を落とした証拠であり、その動物たちがどのように生き、どのように殺されたのかまで、責任を持たなくてはならないのです。
アニマルウェルフェアの欠如が、今後投資にも影響をしてくるという点についても触れています。
FAIRRイニシアチブという機関投資家の畜産関連のイニシアチブでは、ESGリスクとして集約的畜産のリスクは大きいものとして捉えており、アニマルウエルフェアに配慮した企業に参画する機関投資家の運用資産総額は、先月で何と十九・三兆ドル、日本円で約二千九十六兆円にもなる。つまり、これまで行われてきた集約的畜産のリスクというのは非常に高いから、アニマルウエルフェアに配慮した畜産の方法でなければ投資先にならないということになってきているのであります。このFAIRRイニシアチブの評価で、残念ながら、日本の大手食肉企業はハイリスク企業としてマークされてしまっているんですね。
そして、アニマルウエルフェアを評価するBBFAWという団体の評価でも、評価対象となった日本を代表する食品流通のグローバル企業、大手ですね、これが全て最下位にランクづけされているというのが現状なんです。つまり、どれだけ日本のアニマルウエルフェアがワールドスタンダードから下回っているのかということが、こういったところでも明らかであります。
日本の、消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワークが行う企業のエシカル通信簿でも、外資系企業のアニマルウエルフェアは得票が高く、国内企業は軒並み最低ランクに位置づけられているというありさまです。
つまり、このままの日本の畜産動物の飼育形態を続けていれば、国際社会からまたしても取り残されて、日本の一次産業、これは打撃を受ける可能性が非常にあるわけです。
まず、さきの「倫理的消費」調査研究会の報告書には動物福祉が含まれていますけれども、日本ではアニマルウエルフェアやESG投資についての国民全体の意識が低く、薄く、消費者も生産者も知らないという状況が残念ながら続いております。国内のNPO団体が行った日本人のアニマルウエルフェアについての認知度調査では、八五%がアニマルウエルフェア又は動物福祉という言葉を聞いたことがないという結果でありました。消費者がまず認知していなければ、生産者も企業も、エシカルな選択肢を消費者に提供することはできません。
これらをすべて聞いた上で、衛藤大臣はこの問題について努力が必要であることを示唆してくださったものと思われます。
消費者庁は取り組みを継続してくれていますが、まだまだ足りていない、もっと充実させるべきだと感じます。堀越議員が指摘するように、2015年から2年間行われた倫理的消費調査研究会を再開、または委員会に発展させ、より具体的な策を講じていくことを願います。
以下に議事録を掲載しました。ぜひお読みください。
○堀越委員 立憲民主党・国民・社保・無所属フォーラムの堀越啓仁でございます。
本日は、諸先輩方に格段の御配慮をいただきまして、質問に立たせていただきました。まことにありがとうございます。希望した委員会でございますので、これまで以上に消費者問題に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
残念ながら、きょう、私、ちょっと風邪で喉を痛めておりまして、お聞き苦しい点は御容赦いただければというふうに思っております。
まず、これまで各委員の皆様からお話がありますように、消費者問題は、やはり、科学的なイノベーションが起こること、あるいは時代が大きく変化してくる中で、あらゆる新しい問題が日々散見されるのがこの消費者問題であるというふうに思っております。
特に、きょう質問させていただきたいのは、やはりグローバル化が進めば進むほど、世界の潮流に日本も乗っていかなければいけないんだということについての大きなこの消費者特は役割を持っているんだというふうに思っております。そうした点からも、十分な熟議を重ねた上で、時間を十分とりながら議論が進むことを切に希望させていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、私は、常任委員会は環境委員会にずっと身を置かせていただいております。特に今、SDGs、言われておりますが、自然資本という考え方からすると、やはり自然環境が基本的には経済のベースにあって、日本の経済をしっかり支えていくためにも環境というものと向き合わなければいけないんだという観点から、私、自称自然系国会議員というふうに言わせていただいているわけですが、自然系国会議員として、今回、大臣の所信の中に触れられていなかったのが非常に残念な点である、エシカル消費についてお伺いをさせていただきたい、そして、それに深く寄与するアニマルウエルフェアについても伺っていきたいと思います。
消費者庁では、二〇一五年から二年間、「倫理的消費」調査研究会が行われて、報告書をまとめられておりました。また、徳島や秋田県などでエシカル・ラボを開催するなど、エシカル消費の推進を行っております。
地方を中心にさまざまな取組をされていることはすばらしいことだというふうに思いますが、政府として、倫理的消費、つまりエシカル消費の推進のための委員会や研究会が、その後、継続されず、いっときのブームで終わるのではないかということは、正直、私は危惧をしております。
そこで伺っていきたいんですが、「倫理的消費」調査研究会を再開したり、またエシカル消費に特化した委員会などに発展させたり、エシカル消費を更に推進するための制度を整えるなど、消費者庁がリーダーシップをとるべきと考えておりますが、政府の見解、そしてエシカル消費を普及、浸透させるためにどのような政策をお考えか、お答えいただければと思います。
○高田政府参考人 お答えいたします。
平成二十七年五月から約二年間、消費者庁におきまして「倫理的消費」調査研究会を開催し、エシカル消費の必要性について国民の理解を広め、日常生活での浸透を深めるための方策等について調査研究を行いました。
その取りまとめを踏まえ、消費者庁が旗振り役となって国民全体による幅広い議論を喚起するため、地方公共団体との共催による啓発イベント、エシカル・ラボを今年度四回の開催含め計十回、子供向けの体験型ワークショップの実施、先進的な取組の収集、紹介や、各種イベント等への積極的な参画などに取り組んでおります。
今後とも、国民により浸透するよう工夫しながら、広くエシカル消費の普及に努めてまいります。
○堀越委員 これまでエシカル消費を推進していくためのエシカル・ラボを開催、本当に私は評価をさせていただきたいと思いますし、エシカル消費そのものがまだまだ国民の皆さんに普及、浸透していないという実情から鑑みれば、ますますこれは推進していかなければいけない大きな課題であるというふうに思っております。
先ほども若干触れさせていただきましたけれども、持続可能な開発目標、SDGsにとってもこのエシカル消費という概念というのは非常に重要な観点になりますので、広げていかなければいけないという点がまず一点。
そして、更に言えば、経済の動向からしても、やはり地域貢献や、あるいは社会的な貢献を行っている企業にこそ、実は消費者も購買意欲が高まるというアンケート結果もあるんですね。つまりは、それぐらい、社会貢献にどれぐらい取り組んでいるのかという企業理念そのものが消費拡大にもつながっていくという、これは企業側のスタンスからしても、やはり消費者の意識が上がってくること、そしてそれについて企業が取り組んでいくことというのは好循環を生んでいくことだと思いますので、引き続きこれを広めていくためにやっていかなければいけないのは、これは消費者庁の大きな仕事であるというふうに思っております。私も、そうした意味では、特別委員会の委員として一緒に応援をさせていただきながら進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
そして、エシカル消費の対象になるのは、イギリスのエシカルコンシューマーではエシカル消費の分野を五つに区分しておりまして、人、社会、環境、地域、生物ということで、具体例を見てみますと非常に多岐にわたるわけですよね。
例えば、人でいえば、障害者支援商品であるとか、あるいはLGBTQ、ハラルなどの多様性対応商品。今、これからオリンピックが行われる方向で進めておりますので、食の多様性の観点からしても、ビーガンであるとかベジというような、そういった食に対しても対応していかなければいけないということもあると思います。また、社会でいえば、フェアトレードやユニバーサルデザイン、バリアフリー、寄附つき商品。環境でいえば、自然エネルギー、エコマーク、リサイクル、オーガニック、いろいろあるわけです。地域でいえば、地産地消、被災地支援産品。生物でいえば、動物愛護商品や動物実験代替法。こういったものというのがあるわけですね。
この中で、私もライフスタイルとしてずっと取り組んできた、次は、アニマルウエルフェア、動物福祉のところについてお話を伺っていきたいというふうに思います。
アニマルウエルフェアの推進については、消費者教育の観点からこれは非常に重要であると思いますので、その点から伺っていきたいと思いますが、エシカル消費運動の中で生物分野で触れられているアニマルウエルフェアなんですけれども、これは、来年の東京オリパラを控えて、日本でも徐々に動物福祉ということが聞かれるようになってきました。
私、環境委員会所属でございますし、これまで農林水産委員会でも所属をさせていただきました。この横串に刺してやはり訴えていかなければいけないのがこのアニマルウエルフェアというふうに思っておりますが、ことし二月に発効した日本・EUの経済連携協定にも動物の福祉という条項があるぐらい、高まりを見せているというふうに思っております。
さらに、ESG投資の中でも、畜産リスクを嫌って、またアニマルウエルフェアに配慮していないと投資しないとする機関投資会社というのもふえてきています。
実際は、FAIRRイニシアチブという機関投資家の畜産関連のイニシアチブでは、ESGリスクとして集約的畜産のリスクは大きいものとして捉えており、アニマルウエルフェアに配慮した企業に参画する機関投資家の運用資産総額は、先月で何と十九・三兆ドル、日本円で約二千九十六兆円にもなる。つまり、これまで行われてきた集約的畜産のリスクというのは非常に高いから、アニマルウエルフェアに配慮した畜産の方法でなければ投資先にならないということになってきているのであります。このFAIRRイニシアチブの評価で、残念ながら、日本の大手食肉企業はハイリスク企業としてマークされてしまっているんですね。
そして、アニマルウエルフェアを評価するBBFAWという団体の評価でも、評価対象となった日本を代表する食品流通のグローバル企業、大手ですね、これが全て最下位にランクづけされているというのが現状なんです。つまり、どれだけ日本のアニマルウエルフェアがワールドスタンダードから下回っているのかということが、こういったところでも明らかであります。
日本の、消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワークが行う企業のエシカル通信簿でも、外資系企業のアニマルウエルフェアは得票が高く、国内企業は軒並み最低ランクに位置づけられているというありさまです。
つまり、このままの日本の畜産動物の飼育形態を続けていれば、国際社会からまたしても取り残されて、日本の一次産業、これは打撃を受ける可能性が非常にあるわけです。
まず、さきの「倫理的消費」調査研究会の報告書には動物福祉が含まれていますけれども、日本ではアニマルウエルフェアやESG投資についての国民全体の意識が低く、薄く、消費者も生産者も知らないという状況が残念ながら続いております。国内のNPO団体が行った日本人のアニマルウエルフェアについての認知度調査では、八五%がアニマルウエルフェア又は動物福祉という言葉を聞いたことがないという結果でありました。消費者がまず認知していなければ、生産者も企業も、エシカルな選択肢を消費者に提供することはできません。
そこで、二点お伺いしたいんですけれども、この現状を是正する施策を打たなければ、気候変動問題の脱石炭と同じく、またしても、日本のこのアニマルウエルフェア、世界の潮流から取り残されてしまうのではないかというふうに危惧をしております。これについて、現在どのような消費者への普及啓発を行っているのかという点がまず一点。
そして、畜産のアニマルウエルフェアに関しては、これは農林水産省が所管になるわけですし、屠畜等々に関しては、これは厚生労働省が所管になるというふうに思っております。農林水産省では、レベルは世界基準に達しておりませんけれども、アニマルウエルフェアという言葉の浸透を図って現場の生産者を教育しているというふうに承知しておりますが、消費者への教育はやはり消費者庁の役割であると思っておりますので、消費生活センターでの啓発や地方自治体の消費者行政担当者への周知、各学校への啓発など、より積極的に教育すべきと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○衛藤国務大臣 委員からお話をお聞きしまして、私どももそこまで必ずしも認識していたわけじゃありませんでしたから、大変参考になりましたというか、非常にいい勉強になりました。
そのとおりだと思いますから、今まで消費者庁も、チラシを配ったりとかいろいろな形の啓発の努力はしておりますけれども、更にもっともっと努力をさせていただかなきゃいけないなということをつくづく感じたところでございますので、そういう方向で頑張ります。
○堀越委員 大臣からの御所見、本当に心強くいただきました。ありがとうございました。
エシカル消費については、本当に、先ほどもお話しさせていただいたように、このSDGs、持続可能な開発目標についても本当に重要な観点でありますし、倫理的なことだけではなく、経済にとっても非常に重要な観点でありますので、ぜひ取組のほどを進めていただければと思います。
それと、政府参考人で結構なんですけれども、現在行われているアニマルウエルフェア等々についての消費者教育、現状行われているものについて、もしあれば御答弁いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○高田政府参考人 お答えいたします。
先ほども御説明しましたように、エシカル消費という一般的なものについては先ほどのエシカル・ラボなど進めておりますが、私どもが知る限り、アニマルウエルフェアに特化したという形でのは、ちょっと消費者庁として、今までは恐らくやっていないと思います。
○堀越委員 そういうことなんだろうと思っております。
今、東京オリパラに向けて、実は、オリンピックの選手団からも、このアニマルウエルフェアに配慮した飼養管理指針のもと飼育されたものをぜひ提供してくれという申入れが上がっておりますので、そうした観点からも、これを機運としてやはり高めていって、日本の畜産に対してアニマルウエルフェアを強く推進していくことによって、日本の一次産業である大事な基幹産業を守っていくことにもつながります。それを支えるのはやはり消費者ですから、この消費者の教育、ぜひ消費者庁、アニマルウエルフェアについてもしっかりと進めていただきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。
特に、昨今問題となっている、現在進行形である豚コレラの問題については、まだまだ終息したものではなく現在進行形であり、さらに、アフリカ豚コレラも隣国に迫っています。この大規模の、集約して畜産物を扱わなければいけないという飼養管理は、やがてどこかにゆがみを生じさせ、そして、ワンヘルスということも今言われています。つまり、動物の不健康がやがて人間の不健康に直結するのではないかというところにも言われてきているという状況から鑑みれば、やはり動物福祉を盛り込んだ飼養管理をしっかり徹底していくという、これは農林水産省が所管なのは私も十分承知しています。
しかし、繰り返しになりますが、それを支えるのが消費者なので、その消費者の持っている課題について、ぜひ牽引していただきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。私も全力でこの点は応援をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。