2025年に開かれる大阪万博、少しづつ話題にもなり始めています。東京五輪同様に、万博でも畜産物の調達コードが作られています。東京五輪では全く国際水準に達しなかったアニマルウェルフェアのレベル、万博ではどうなるのでしょうか。
アニマルライツセンターは2022年7月19日に開催された第4回持続可能な調達ワーキンググループ(調達基準を策定する公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が開催)で、市民団体、動物保護団体として採用してほしいアニマルウェルフェアの基準を提案しました。その際の反応としては、ケージフリーへの理解を示す委員も複数いたのですが、残念ながら国際水準のアニマルウェルフェアからは程遠いものとなりました。
また、その後、民間パビリオンに「新・天下の台所~食博覧会・大阪2025~(仮称)」として出展する一般社団法人大阪外食産業協会とも面会し、アニマルウェルフェアについてレクチャーするとともに、国際水準のアニマルウェルフェアを達成する意義を説明しました。
しかし、残念ながら出来上がった調達コード案は、やはり国際水準からは大きく立ち遅れたアニマルウェルフェアのレベルとなっています。現在この案はパブリックコメントにかけられており、市民からの意見を募集しています。ぜひ皆様も、より高いアニマルウェルフェアを求めてください。
畜産物の調達コード案はドキュメントの中の30ページにあります(ページ最下部にも掲載)。基本的に安全性や環境保全、労働安全、人権については生産される国又は地域における関係法令を遵守することでクリアされます。アニマルウェルフェアに限っては、法令がないため、OIE(国際獣疫事務局)陸生動物衛生規約を守ることとされています。東京五輪と異なり、国内の民間団体が作った緩い指針ではなくOIEの動物福祉規約が参照されたことは良いことです。しかし、OIEの規約は企業が取り組む国際的な水準からすると低く、基本的な取り扱いを抑えたものでしかありません。さらには採卵鶏の規約はまだできていません。とはいえ、これが最低基準となっています。
さらに悪いことに、結局は東京五輪同様にJGAPを取得した畜産物であれば問題ないとされています。OIEの基準を遵守した場合、屠殺についても福祉規約があるためこれを守ることになるはずですが、JGAPにはそのような基準は一切ありません。
その他、OIEを守った上で、さらに推奨されるものとして「博覧会協会が認めるアニマルウェルフェアに関する認証注3を受けて生産された畜産物」があります。この中にはアニマルライツセンターからも推薦させてもらったエコデザイン認証センター 平飼い鶏卵認証が含まれると思われます。推奨規定としてでも平飼いが含まれるであろう点は評価ができます。
2025年は、2020年(元々の予定)の東京五輪から5年後、そして今から2年半後、さらには多くの世界の企業のケージフリーコミットメントの期限となっている年です。今回の調達コード案は、2023年現在で考えても”まぁまぁごく普通の畜産物”といえる程度の基準です。特に万博は技術・芸術が集う場、つまり日本の企業の魅力や技術力、品質を見せる事のできる経済のイベントです。単なるスポーツイベントであるオリンピックとは異なります。日本食はアニマルウェルフェアの低い素材でできているということを、企業の名前とともに世界に知れ渡っていくのです。
果たしてこれで良いのでしょうか。もちろんよくありません。
「持続可能性に配慮した調達コード(第2版)(案)」に対する意見書
項 目 | 記入欄 |
氏 名 | NPO法人アニマルライツセンター |
住 所 | 〒150-0042東京都渋谷区宇田川町12-3ニュー渋谷コーポラス1009 |
意 見 | 意見1:(4) 畜産物 持続可能性に配慮した畜産物の調達基準 2-⑤について「アニマルウェルフェアの考え方に対応した OIE(国際獣疫事務局)陸生動物衛生規約等注2に照らして適切な措置が講じられていること。」では不十分であり、これに加えて、卵は平飼い、鶏肉は飼育密度を33kg/平米で飼育されたもの、豚肉はその母豚が妊娠ストール飼育されていないもの、牛乳と牛肉は放牧のもの、すべての畜肉は屠殺前に気絶処理を行ったものでなくてはならない旨を加えること。また、国の指針とは内容に差があるためOIE陸生動物衛生規約の動物福祉規約について日本語訳文をつけること。 意見2:(4) 畜産物 持続可能性に配慮した畜産物の調達基準 3 について JGAPはアニマルウェルフェアの水準が低いため、アニマルウェルフェアの規定として以下を加えること。 屠殺についてはOIE(国際獣疫事務局)陸生動物衛生規約に従うものとする。 これに加えて、卵は平飼い、鶏肉は飼育密度を33kg/平米で飼育されたもの、豚肉はその母豚が妊娠ストール飼育されていないもの、牛乳と牛肉は放牧のもの、すべての畜肉は屠殺前に気絶処理を行ったものでなくてはならない旨を加えること。 |
【提出先】メールアドレス:ESMS-choutatsu@expo2025.or.jp
(4) 畜産物
博覧会協会、ライセンシー及びパビリオン運営主体等が提供する飲食サービスに使用される畜産物については、「持続可能性に関する基準」が適用されるほか、持続可能性の観点からの個別基準を以下のとおり定める。
ライセンシーは、ライセンシー直接契約事業者と締結する契約において、ライセンシー直接契約事業者による本個別基準の遵守が確保されるように、必要な内容を仕様書に記載する等の措置又はその他の適切な措置を講じなければならない。また、パビリオン運営主体等は、パビリオン直接契約事業者と締結する契約において、パビリオン直接契約事業者による本個別基準の遵守が確保されるように、必要な内容を仕様書に記載する等の措置又はその他の適切な措置を講じなければならない。
持続可能性に配慮した畜産物の調達基準
アニマルウェルフェアの向上をお願いします。
代替えでできるものは代替えをお願いします!
たとえば牛乳をやめて豆乳とか
アレルギー対応にすれば人にも動物にも優しくなれると思います!
やめてください
ここはにほんですよね? インドや中国や韓国ではないですよね?畜産動物にやっている事はどの邦より劣ります。