アニマルライツセンターは、生産者に影響力の大きい各生協にアニマルウェルフェアの取り組みを進めるよう働きかけ、定期的に進捗を確認しています。2024年は、生協業界にとってアニマルウェルフェアの足元を耕す一年となりました。
日本中で組織を展開するパルシステムは、待望のアニマルウェルフェア関連サイトをホームページで公開しました。パルシステムは、小規模な畜産農家の改善にも取り組んでいるとのことです。
また、アニマルウェルフェア全体をけん引しているのがコープ自然派で、平飼い卵の取扱比率を2022年の13%から2023年には18%に引き上げ、本年もさらに増加傾向が見られます。これは卵全体の需要が高まっているのではなく、平飼い卵の需要増加が要因となっており、コープ自然派が自らの媒体を駆使した啓発活動の成果と言えるでしょう。
生活クラブでは、鳥インフルエンザからの立ち直りに時間がかかっており、平飼い卵の提供にも支障が出ていますが、取引先を変えるなどの対応で供給量を維持しようと工夫しています。
全体的に見て、生協業界ではアニマルウェルフェアへの意識が高まり、具体的な行動に移している点は評価できます。特に、コープ自然派の平飼い卵の取扱比率増加やパルシステムの情報公開は、業界をリードする取り組みと言えるでしょう。生活クラブのように、困難な状況下でも供給維持に努力する姿勢も素晴らしいです。
しかし、生協にかぎったことではありませんが、価格競争がアニマルウェルフェアの推進を阻害している点は深刻です。消費者は安い価格を求める一方で、アニマルウェルフェアにも関心を持つようになっています。生協は、この両者のバランスをどのように取っていくのか、難しい課題に直面しています。