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2018年6月6日の衆議院 厚生労働委員会で、初鹿明博衆議院議員(立憲民主党・市民クラブ)が畜産動物のアニマルウェルフェアについて質問してくださいました。

日本のアニマルウェルフェアは大変遅れていますが、厚生労働省が管理すると畜場でのアニマルウェルフェアは農場内でのアニマルウェルフェアと比較するとより一層遅れており、ほとんど手がつけられていない状態と言えます。

厚労省はアニマルウェルフェアをどう考えているのか

初鹿議員は冒頭、国際的に取り組みが進む”ワンヘルス(One health)”という人の健康も、動物の健康も、環境の健康もすべてつながっているのだという考え方について言及し、このワンヘルスを進める上で欠かせないアニマルウェルフェアの推進を求めました。
これに対し、加藤 勝信厚生労働大臣は、「OIEコードの動物福祉規約っていうのがあって、それを遵守させるということになると、そうするとまず我が国というのは動物愛護管理法といのうのがあるわけで、全体の法律でどうなっていくのかっていうことをふまえながら、1つ我々としても対応させていただく」のが基本的な姿勢であると答えました。
あやふやな言い回しでしたが、OIEコードの遵守のためにはまずは動物福祉を守る(はずである)動物愛護管理法の様子をうかがうということです。

厚生労働省はこれまでも動物福祉は動物愛護管理法でという姿勢を貫いてきており、実際に屠畜場や食鳥処理場での虐待的扱いを自ら指導または福祉的な扱いを啓発することはありませんでした。そのことを明確にした答弁になりました。

厚生労働省は動物に水を与えないことは問題ないと考えている?!

次に、初鹿議員は、OIEコードを遵守できていないのではないか、そしてその一つの事例として、『牛のと畜場、50.4パーセントが飲水できない』『豚だと86.4パーセントが飲水できない』という問題について、厚生労働省として改善をすべきであることを質問しました。

それに対する厚生労働省の答えは大変冷たいものでした。

「お答えいたします。厚生労働省では、平成6年に、と畜場の新設、または改築を行う際の施設及び設備に関するガイドラインを策定いたしました。そして今ご指摘のように、平成29年3月には、平成6年のガイドラインに基づきまして、獣畜の飲用水設備の設置について、引き続き関係事業者に対して、指導するよう都道府県などに通知したところでございます。本ガイドラインにおきましては、と畜場法の構造設備の基準には規定がない動物福祉を目的とした、獣畜の飲用水設備の設置の記載があるということでございます。食品衛生の観点からは、飲用水設備の設置は必ずしも必要ということではございませんが、これは先進的とされる、対米輸出食肉を取り扱うと畜場の基準を参考としたものということでございます。」

と畜場ガイドラインに記載はしてあるが、対米輸出用の基準を参考にしただけで、必要ではないというのです。

初鹿議員は再度、水を飲ませる必要性を強く押してくださいましたが、大臣は厚生労働省の回答に付け加えこのように答えています。

先ほど申し上げました、全体としては、これたぶん環境省になるんですかね、そうしたところがこれからどうしていくのかといった、大きな方針というのは大事なんだと思います。
中略
そこから先どう進めていくのかが議員の質問なんだと思いますけれども、それについては先ほど申し上げた、私どもの、生きているものを、いわば、殺してというんでしょうかねぇ、と殺して、そしてそれによって我々は栄養を得て、そして生きているという、そのことに対する感謝というのは、いろんな形でもつことは、これは当然必要なんだと思いますが、トータルとしてどうしていくのか、ということに関してはやはり全体としての方針というものを受け入れながらですね、我々としても考えさせていただきたい、と思います。

重ねて環境省の方針が必要であることを述べています。

生きたまま熱湯で茹でられるニワトリについては少し前向きな回答

続けて、放血不良(生きたまま熱湯処理され、皮膚が赤くなり、廃棄されるニワトリ)について言及されました。これについては、大臣が回答をし、ロス率を下げるという観点から重要であると述べています。

議員のご指摘の福祉という観点は全体としてやるにしても、生産性を上げるという観点から考えてもですね、今の議員のご示唆というのは、非常に我々としても受け止めるべきものだと思います。

なお、肉質についても考慮しなくてはならないという発言もありましたが、これについてはガススタニングによって放血は損なわれないことが科学的に証明されているだけでなく、低酸素状態にし意識を失わせる方法は、肉質が向上すると証明されています。(2004年 Stunning and slaughter of poultry A. B. M. Raj , University of Bristol, UK)。

採卵鶏の長時間放置、徹底へ一歩

採卵鶏の長時間放置の問題について、3月26日に農水省、厚労省、環境省の3省から通知が出され、改善が促されています。これについて初鹿議員は「きちんと徹底していくことをお約束していただきたい」と強く改善を促しました。

厚生労働省は「通知発出後2か月が経過したところでございますので、今後、その後の状況を把握し、徹底したいと思っているところでございます。」とのべ、状況の把握を行うと答えてくださいました。

厚生労働省にとってアニマルウェルフェアとは・・・?

食鳥処理場での動物の扱いについて、少し希望が見えたものの、アニマルウェルフェア(動物福祉)に関しては”環境省”の役割でありその方針を見て判断するのだと言う姿勢を崩しませんでした。

厚生労働省は衛生面を主に管轄しています。OIE(国際獣疫事務局)もそうですが、OIEのなかに動物福祉規約が作られ、OIEを筆頭に国際社会は衛生面、安全、安心をたもつためにはアニマルウェルフェアが必要であるとしています。持続可能性のためにもアニマルウェルフェアが必要であり、ワンヘルスの重要なポイントの一つであることは認めざるを得ないはずです。

今、厚生労働省は薬剤耐性菌の問題が大きくなっていることからワンヘルスを強く推進しています。しかしそのワンヘルスに、アニマルウェルフェアは欠かせないのです。日本国内で使用される抗菌剤の3分の2が畜産業に使われており、海外の鶏肉よりも日本の鶏肉のほうが薬剤耐性菌保有率が高いことが厚労省の調査によりわかっており、国連食糧農業機関(FAO)が2016年に出した畜産の役割を含んだ食糧危機と栄養のための持続可能な農業開発の提案勧告にワンヘルスのためのアニマルウェルフェアが含まれています。

持続可能性に大きく関わる課題であり、取り組まないでいることは、人々の健康、命を脅かします。アニマルウェルフェアだけではないにしろ、アニマルウェルフェアもその一部であり除外すべきものではありません。

と畜場、食鳥処理場は厚生労働省が管理監視しています。
環境省にこの部分を託すという姿勢で本当に良いのでしょうか。

動画はこちらで見られます。

衆議院 厚生労働委員会ビデオライブラリ 食品衛生法等の一部を改正する法律案(196国会閣61)13時から

 


(http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=48245&media_type=fp)

参考:OIE ワンヘルスを表すインフォグラフィック

議事録

○初鹿委員

皆さん、お疲れさまです。引き続き、休憩前に続いて、私、初鹿から質問をさせていただきます。

大臣、ワンヘルスという言葉がありますけれども、御存じですよね。これは、人の健康を守るためには動物や環境にも目を配っていこうということで、人も動物も環境も同じように健康であることが大切だという考え方であります。このワンヘルスを実現する上で、動物の福祉、アニマルウエルフェアにも配慮をしていかなければならないというのが世界の流れになっているわけであります。

特に、畜産業でいうと、動物に抗菌薬を使って、それに対して、今度は菌の方が薬剤耐性菌に変わっていって、またそれに対応するということが繰り返されて、そういう菌が今度は畜産業をやっている人にうつってしまったりとか、またそれが食肉を通じて我々消費者のところにもたらされるとか、そういう問題があるわけで、食品衛生ということを考えても、動物の健康を維持していく、その上で動物の福祉をきちんと整えていくということは非常に私は重要なんだというふうに思っております。

そこで、改めて大臣にお伺いいたしますが、食品衛生上、このアニマルウエルフェアにも配慮をしていくことが私は必要だと思いますが、御見解をお伺いいたします。

〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

○加藤国務大臣

食品衛生という立場において、いかにその衛生を守っていくのか、今委員御指摘のように、さまざまな観点からの取組が必要だろうというふうに思います。

例えば、動物の福祉という、その福祉というところをどこまで勘案するかということもあるんだろうと思います。ただ、広い意味で福祉ということになると、例えば、OIEコードの動物福祉規約というのがあって、それを遵守させるということになる。そうすると、我が国の場合には動物愛護管理法というのがまずあるわけで、やはりそういう全体の法律がどうなっていくのかということを踏まえながら、ひとつ我々としても対応させていただく、これは多分基本的な姿勢になるんだろうというふうに思います。

ただ、個々について言えば、安全衛生という観点から立って、やるべきものはもちろんしっかりやっていく、こういうことだと思います。

○初鹿委員

今大臣から重要なお話がありましたけれども、まず動物愛護法というのがある、これは環境省の所管でありますが、この夏に改正に向けて、今動き出しているところであります。これはこれでありますけれども、今大臣が例に出したOIEコード、国際獣疫事務局というところが、世界的に動物衛生の向上を図ろうということでつくられている組織ですけれども、OIEコードというものを設けていて、日本もこのコードをつくるのに積極的に参加していった側ですから、やはりここに、きちんと遵守をしていくということが私は必要なんだと思います。義務はないにしても、これは遵守をしていくことが日本のやはり務めだと思うんですね。

そういう面で考えると、今回、食品衛生法の対象になっている屠畜場又は食鳥処理場、この二つ、これから取り上げさせていただきますが、十分にこのOIEコードを守っているのかというと甚だ疑問であるし、衛生面でもちょっと心配なところがあるわけであります。

皆さんのところに資料をお配りしておりますが、ちょっと順番を間違えてしまったので、真ん中あたりの、この屠畜場のところを見ていただきたいんです。

ここに、牛の屠畜場、五〇・四%が飲水できない、豚だと八六・四%が飲水できないと書いてありますが、牛の屠畜場だと半分、豚だと八六%が、水を飲む施設が、設備がついていないんですよ。それで、十二時間とかそれぐらいの時間、そのまま置いておかれるわけですね。これから屠畜をされて、我々の食に供するために命をささげてくれる牛さんや豚さんが、死ぬ前に、飢えに苦しんで死んでいく。場合によっては、ここ、写真に書いてありますが、ふん尿がまじった水を飲んでいたりするわけです。これ、一般の人たちが聞いたら、日本の豚とか牛とかは外国に比べて安全だと思っているわけですが、どう思いますかね。直ちにこれで肉が安全じゃないよということにはならないと思うんですけれども、やはりちょっと、こんなことでいいのかなと思うと思うんですよ。

これに対して何もしていないかというと、ちゃんと、去年三月八日に、各都道府県や保健所設置市の衛生部長宛てに通知を発出しているわけですよ。ただ、この通知が、何て書いてあるかというと、「新設及び改築等が行われると畜場の獣畜の飲用水設備の設置について」、そういうタイトルで、皆さんのところに一枚お配りしていますけれども、何て書いてあるかというと、「一方、」以下を読み上げますが、「国内のと畜場の獣畜の飲用水設備の設置状況については、牛を処理すると畜場で四九・六%、豚を処理すると畜場で一三・六%に留まるとする調査報告もあり、その設置が進んでいない状況が認められます。」先ほど、飲めないところの裏返しだから、反対になっているわけですね。

「つきましては、今後もと畜場の新設及び改築等が行われる際には、当該通知に基づく獣畜の飲用水設備の設置について、引き続き、関係事業者に対して指導するよう特段の御配慮をお願いします。」となっていて、新築や改築するときに設備をつくりましょうという通知になっているわけです。

じゃ、厚労省としては、新築や改築がされない間は、牛さんや豚さん、そのまま飲み水が飲めない状態でいるのは、もうそのままでしようがないという考えなんですか。私は、新築や改築のときは当然そうなんだけれども、やはり飲用水設備を早急に設置するように求めていくことが厚労省の立場ではないかと思います。いかがでしょうか。

○宇都宮政府参考人

お答えいたします。

厚生労働省では、平成六年に、屠畜場の新設又は改築を行う際の施設及び設備に関するガイドラインを策定いたしました。そして、今御指摘のように、平成二十九年三月には、平成六年のガイドラインに基づきまして、獣畜の飲用水設備の設置について、引き続き関係事業者に対して指導するよう、都道府県等に通知したところでございます。

本ガイドラインにおきましては、と畜場法の構造設備の基準には規定がない動物福祉を目的とした獣畜の飲用水設備の設置の記載があるということでございます。食品衛生の観点からは、飲用水設備の設置は必ずしも必要ということではございませんが、これは、先進的とされる対米輸出食肉を取り扱う屠畜場の基準を参考としたものということでございます。

○初鹿委員

ほとんど答えていないんですけれども、それは今、現状をなぞっただけなんです。

大臣、わかりますけれども、民間の事業者が多いでしょうから、簡単に、つくれと言って、はい、そうですねとはならないと思うんですけれども、やはり、そうはいっても、厚生労働省の立場として、私は、きちんと、できるだけ速やかに飲用水の設備をつくるように求めるべきだと思います。

そして、何よりも、我々のために命をささげてくれているわけですから、そういう牛や豚に対する敬意をきちんと持って、感謝の気持ちを持っていたら、このまま水が飲めないままで放置をするということはできないと思いますので、大臣、もう一回大臣から、ちょっと答えをいただきたいと思います。

○加藤国務大臣

先ほど申し上げました、全体としては、多分これは環境省になるんですかね、そういったところがどうしていくのかという大きな方針というのは大事なんだと思います。ただ、我々として、個々において、安全衛生とかさまざまな施策の観点から、そうした政策を進めていくというのもあるんだろう。

本件も、今、説明をさせていただきましたけれども、食品衛生の観点から直接設置は必要ない、まさに、と畜場法の構造設備の基準には、飲用水設備の設置規定、これはないんですね、委員御承知のとおり。他方で、対米輸出ということも考えたら、やはりそういった対米輸出をしやすい環境をつくっていくということでこの措置がとられた、そういう経緯があるわけであります。

したがって、本件、そういった形の中で進めているということなので、どうしても新築、改築等をしたときには、あわせてそれをやってくれ、こういう多分言いぶりになっているんだろうと思います。

そこから先、どう進めていくのかというのが委員の御質問なんだと思いますけれども、それについては、先ほど申し上げた、もちろん私ども、生きているものをいわば殺してというんでしょうかね、屠殺をして、そしてそれによって我々は栄養を得てこうして生きている、そのことに対する感謝というのは、いろんな形で持つことは、これは当然必要なんだと思いますが、トータルとしてどうしていくのかということに関しては、やはり全体としての方針というものを受けながら我々としても考えさせていただきたいというふうに思います。

○初鹿委員

ぜひ前向きに考えていただきたいと思います。

次は、食鳥処理場の方に移ります。

では、このちょっとショッキングな写真を見ていただきたいんですけれども、日本では、ここ、見出しを見ていただきたいんですが、「二〇一六年、約五十万羽が生きたまま熱湯で茹でられた。」数や割合は増加傾向にあるということです。

どういうことかというと、鳥を処理をするに当たって、まず首を切って血を全部放血をして、血がなくなった段階で熱湯処理をするんですけれども、首の切り方が甘かったりして、絶命しない段階で熱湯につけてしまって、生きたままゆでられていると。こうなるとどうなるかというと、写真のように、肉が赤くなってしまうんですよ。この赤くなった肉というのはどうなっているかというと、全部廃棄されているんです。その数が五十万羽なんですよ、皆さん。

割合でいうと、日本だと〇・〇六四八%で、全体の鳥からすると少ないけれども、でも五十万羽なんです。アメリカはどうかというと、これは一桁少なくなっているんです、〇・〇〇六七%。日本とアメリカで比較すると、日本は九・六倍生きたまま熱湯で亡くなって、そのまま廃棄処分になっている。これは、やはり私は改めなければいけないと思うんです。

一枚めくっていただいて、じゃ、どうすればいいのかということなんです。

ここに、こちらの方なんですけれども、日本では気絶処理が行われない食鳥処理場が多いということが書いてありますが、まず基本的に、気絶をさせて、それでつるして暴れないようにして、首を切って血を全部抜くということがやり方らしいんですけれども、気絶をしないから、暴れている鳥を切るからうまく切れないということなんですね。場合によっては、また電気水槽という、電気を通した水槽に頭を入れて、そこで気絶をさせるというやり方もあるんですが、それだと、首をもたげたりして頭が十分に入らないと、気絶をしないでまた暴れたりとかして、それで首がきちんと切れないということもあるということで、最近は、ここに書いてあるように、ガスを利用することが多くなっているということなんです。

こういう方法が今出てきているわけですので、ぜひ、こういうやり方をとっていって、生きたまま熱湯に入れて、赤くなって廃棄されるという数を減らしていただきたいと思います。五十万羽ですから、捨てられているわけですから、これは非常に大きな問題だと思います。

それと、特に多いのがどういう鳥かというと、採卵鶏といって、今まで卵を産んでいた鳥で、もう卵を産めなくなったから、一、二年してから廃棄になってという鳥の方が割合が高いんですよね。これも、私たちのために一年、二年、一生懸命卵を産んでくれた鳥に対する敬意に物すごい欠けているというふうに思うんです。

ぜひ、このスタニング、気絶処理をスタニングというんですけれども、この徹底を、ガスを使ってやるやり方に切りかえて、行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○加藤国務大臣

動物の福祉という観点については、先ほど申し上げた、全体の、動物愛護管理法等々の対応を見ながら我々は対応させていただきたいと思いますが、ただ、今委員御指摘のように、放血不良というものがある。その屠体については、今でも、その後の解体処理が行えないよう食鳥処理法で規定されているということですから、その放血不良になった状態というのは、いわばロスになるわけで、したがって、ロス率が高いということを今御指摘されている。

 そういった意味においては、やはりこうしたロス率を下げるということは、効率が上がる、生産性が上がるということでもありますから、そういった観点から議論すべき部分もあるんじゃないかなと。

ただ、今おっしゃった、何をやると、確かに放血不良が減ったとしても、例えば肉等に対する影響とか、そういったものも当然あるんだろうと思いますから、そういうのをやはり総合的には考えなきゃいけないと思いますが、委員の御指摘の、福祉という観点は全体としてやるにしても、生産性を上げるという観点から考えても、今の委員の御示唆というのは非常に我々としても受けとめるべきものだ、こういうふうに思います。

○初鹿委員

ありがとうございます。

今大臣がおっしゃったとおり、動物にとっても、気絶をしてから処理をされるから痛みを伴わなくてよいですし、この五十万羽廃棄しているものが数が減っていけば、ロスもなくなるということで、経済的にも効果があるということで、どちらにもやはりプラスになるので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

同じく、この鳥の話ですけれども、もう一つ資料を出しておりますが、長時間放置の問題です。先ほど例に出した採卵鶏の場合、コンテナに詰められて食鳥工場に、処理場に持ってこられて、一晩ずっと放置をされているとか、長時間放置をされることが多いということなんです。

これは何が問題かというと、長時間狭いコンテナの中に入れられるということで、鳥に対しても本当にひどいなということでもありますが、夜だと野生動物に襲われて食べられてしまったり、ぎゅうぎゅうに詰められていて身動きがとれないから、中には死んでしまう鳥もいて、その死んだ鳥と一緒にずっと同じ環境の中にいたりとか、ふん尿は垂れ流しの状態ですから、卵も産んだりとかするわけですから、それが積んであると、下に垂れ流されるわけですよ。だから、下にいる鳥とかはふん尿まみれになったり、卵が上からかかってきたりとか、そういう状態になっていて、とても衛生的にもいいとは思えない状態になっているということなんです。

最後のページを見ていただければ、野生動物に食べられちゃった写真もつけておりますが、こういう状態を放置をしているのは、やはり衛生ということからしても不適切ではないかというふうに思います。

この件については、ことしの三月二十六日にまず農水省が通知を出していて、これは厚生労働省宛てにも、農水省、通知を出しているんですよね。これは、食鳥処理場への鳥を計画的に出荷をしてくださいという通知になっているんですが、それを受けた食鳥処理場も、きちんと長時間放置にならないようにしていく、また、時間的に置いておかなきゃいけない場合には、どういうふうに置いておくのかということも考えていく必要があるんだと思います。

ぜひここを徹底をしていただきたいと思いますので、まず、通知が出たわけですから、きちんとこれが遵守されているのかどうかということを確認をしていただきたいのと、きちんと徹底をしていくということをお約束をしていただきたいと思います。

○宇都宮政府参考人

お答えいたします。

食鳥処理法施行規則におきましては、まず、生体の受入れにおいて、食鳥の集荷に当たっては、異常なものの排除に努めるとともに、生体の健康の保持に留意して輸送すること、それから、食鳥検査において排除するべき異常として、潤滑油又は炎症産物等による汚染、こういったものを具体的に規定してございまして、大規模食鳥処理場に常駐する食鳥検査員や、認定小規模食鳥処理場を監督する保健所等の食鳥検査員が監視指導を実施しているところでございます。

ただいま御指摘いただきましたように、本年三月二十六日、農林水産省より、養鶏業者等に対しまして、鳥の計画的な食鳥処理場への出荷を要請する通知が発出されました。これを踏まえまして、同日に厚生労働省におきましても、食鳥処理場の規定が遵守されますよう、都道府県等の公衆衛生部局に対して、計画的な出荷が行われず、鳥の保管時の滞留が発生することにより、積み上げられた生体輸送容器上段の鳥の排せつ物が下段の鳥を著しく汚染させる状態がないか確認するよう、通知したところでございます。

通知発出後、二カ月が経過したところでございますので、今後、その後の状況を把握し、徹底したいと思っているところでございます。

○初鹿委員

時間が来ましたので終わりますが、大臣、ぜひ食品衛生にも、このアニマルウエルフェアの観点をしっかり入れて取り組んでいただきたいということをお願いをして、質問を終わらせていただきます。

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