2022年8月、日本で初めて商業化の可能性のあるイカ養殖システムが開発されたとの発表がありました*¹。これに対し、世界の98の動物保護団体と専門家が日本のイカ養殖対し共同声明を発表しました。
英文の声明:https://ali.fish/blog/open-letter-cephalopod-farms-could-be-very-harmful-but-we-can-still-stop-them
非常に有害な可能性がある頭足類(タコ等)の養殖は今からでも中断できます。
タコ、イカなどの頭足類は持続的な養殖ができるのかーこれは、ヌエバ・ペスカノバ社がスペインで最初の商業化されたタコ養殖場を設立し、日本で新しいイカ養殖事業の可能性があるというニュースが表面化した後、最も多く寄せられた質問のように思います。
「持続可能な」頭足類の養殖は存在しません。定義上、持続可能な開発とは、経済成長、環境への配慮、社会福祉を考慮しながら、将来の世代のニーズを脅かすことなく現在の世代の要求を満たすことです。この原則の下では、頭足類の養殖は以下の理由で持続可能ではありません。
第一に、そもそも商業的な水産養殖は本質的に持続可能ではありません。水産養殖は、乱獲と食料安全保障の解決策として宣伝されてきました。しかし、タコやイカなどの肉食種の養殖は、これらの動物に必要な動物性のエサを収穫するために、すでに減っている個体のさらなる減少を引き起こす原因となり、切迫している漁業で、非人道的な漁法によって調達された海洋生物の採取主義を強化させます。
研究によると、アオリイカの最適な給餌の回数は 1 日 4 ~ 5 回と報告されています。養殖動物に頻度高く食べさせる代わりに、栄養素とエネルギーが豊富な低タンパク質源を利用することができるはずのコミュニティの食糧不安の問題を悪化させます。さらに、アオリイカ (Sepioteuthis lessoniana) とマダコ (Octopus vulgaris) は、さまざまなウイルス性、細菌性、および真菌性疾患を伝染させることが知られている生きた甲殻類を消費します。
第二に、商業養殖場は周囲の環境に多くのバイオセキュリティと生物物理学的脅威をもたらします。 2022 年 5 月、Aquatic Life Institute (ALI) は、タコ養殖場の開設に関する ヌエバ・ペスカノバ社の環境への影響の対応をカナリア諸島政府に対し立案しました。この声明で議論されたバイオセキュリティと生物物理学的リスクの多くは、あらゆるイカ養殖場にも当てはまります。現時点で存在する大きな懸念事項は、未知の病原体や病気の発生と急速な拡大の可能性であり、重大な公衆衛生上の危機を引き起こす可能性があることです。頭足類の健康に対する主な脅威は、水質の問題、身体的損傷、および感染 (寄生虫または他の病原体による) であり、これらはすべて相互に関連している可能性があります。宿主と病原体の相互作用は、環境によって強く影響を受ける可能性があります。不自然で窮屈な環境での飼育、取り扱い、および輸送により、さらなる被害が容易に引き起こされる可能性があります。
最後に、頭足類の養殖場は、未知の汚染物質や排出物を通じ間接的に、または脱走事故によって可能となる養殖および野生の水生動物の接触により直接的に、地元の水生動物に有害な影響を与える可能性があります。人的ミスや自然災害によって囲いが破損して脱走が発生した場合、病気、病原体、化学物質などが養殖から野生の個体群に伝わり、地元の動物との負の相互作用や、在来の水生動物の遺伝子の減少につながる可能性があります。
提案されている頭足類養殖の開発は、すべての集約的生産慣行に関連する一連の懸念の一部にスポットライトを当てているに過ぎません。商業化できるほど「十分に効率的で安価」な水産養殖の研究開発を奨励するのではなく、革新的な代替水産物に投資力を向けるべきです。頭足類の養殖は、持続可能性と環境の両方の観点から、世界の水産物開発の役割を果たすべきではありません。
政府の政策は、私たちが現在世界中で直面している悲惨な気候変動の緊急事態に取り組むために、世界的な植物ベースの食料システムへの移行に焦点を当てなければなりません。新しい畜産工場の設立は、国連の 2030 年の持続可能な開発目標に反しています。この種の農場を今禁止することで、各国は 2030 年の SDG のコミットメントに完全に沿った発展ができるようになります。
参照:*¹Could squid aquaculture fill the gap from declining cephalopod stocks in Japan?
ALI Octopus Feedback
署名者一覧:
Aquatic Life Institute
Africa Network for Animal Welfare USA
Alianima
Anima International
ANIMAL
Animal Advocacy Africa
Animal Empathy Philippines
Animal Equality
Animal Friends Croatia
Animal Justice Canada
Animal Interfaith Alliance
Animal Kingdom Foundation
Animal Law Italia
Animal Nepal
Animal Rights Center Japan
Animals Aotearoa
Animals Australia
Animals Now
Apon Welfare
ARAF-PLATEAU DOGON
ARBA
Arusha Society for the Protection of Animals
Aware
Coalition of African Animal Welfare Organisations
Compassion in World Farming
Conservative Animal Welfare Foundation
Crustacean compassion
The Dark Hobby
Deutscher Tierschutzbund
Dharma Voices for Animals
Dieren Bescherming
Djurens Rätt
Dyrenes Alliance
Education for African Animals Welfare
Essere Animali
Factory Farming Awareness Coalition
Feedback Global
Fish Welfare Initiative
F.R.E.E
Fórum Animal
Friends of Phillip
Ghana Animal Welfare Society
Greek Animal Welfare Fund
Green REV Institute
Humane Africa Trust
The Humane Global Network
The Humane League
The Humane League Mexico
Humánny pokrok
Institute of Animal Law Asia
Invisible Animals (Nevidimi Zhivotni)
Kafessiz Türkiye
L214
Lady Freethinker
Mercy For Animals
National Council of SPCAs
Nurture Imvelo Trust
The Oceans Need Us
Oikeutta eläimille
One Voice
ONG Sante Animale Afrique (SAA)
PACMA
Plataforma ALTO
Planet For All
Protección Animal Ecuador (PAE)
Proveg
Proyecto ALA
PAZ
RENCTAS
SAFCEI
SAFE
Samayu
Sea First
Sentient Media
Shellfish Network
Shrimp Welfare Project
Sibanye Animal Welfare and Conservancy Trust
Sinergia Animal
Sống Thuần Chay
SPCA Montreal
SPCA Selangor
Tanzania Animal Welfare Society (TAWESO)
Tikobane Trust
Tourists Against Trophy Hunting
University of Guilan
Utunzi Animal Welfare Organization
Vegetarianos Hoy
Vissenbescherming
Voiceless
Voices for Animals
Voters for animals rights
We Animals
West Africa Centre for the Protection of Animal Welfare (WACPAW)
WTS
Dr. Becca Franks – New York University
Dr. Andrew Knight, University of Winchester
Dr. Walter Sanchez-Suarez, Mercy For Animals