アニマルライツセンターは2016年から毎年一回、畜産動物の飼育実態がどれほど認知されているのか、民間会社を利用して調査を行っています。
2020年度も調査を実施しましたので、結果を報告します。
質問は次の10項目です。
2016年から2018年にかけては、認知度はわずかずつではありますが向上が見られました。しかし2019年以降、有意差と言えるかは分かりませんが、認知度が少し低下しています。
全質問の認知度平均(「知っている」「聞いたことはある」を「認知している」として計算)は、
2016年の認知度 平均15.2%
2017年の認知度 平均17.0%
2018年の認知度 平均20.2%
2019年の認知度 平均19.2%
2020年の認知度 平均18.0%
と推移しています。
【調査名】畜産動物(肉・卵・乳)に関するアンケート
【調査主体】認定NPO法人アニマルライツセンター
【調査期間】2020/3/16~2020/3/19
【有効回答数】1,205
【調査設計】 手法:インターネット調査(ネットモニター)
【調査地域】全国
【対象者条件】ネットモニターうち、15才以上男女を対象
※質問5は2016年は実施していません。
本調査データはページ下部からダウンロードできます。
アニマルライツセンター出典である旨をご記載の上、ご自由にご使用ください。
結果をみると、依然として畜産動物の実態について約8割の人が「何も知らない」という状況にあります。
妊娠ストールも体の一部の切断も知らない。アニマルウェルフェアという言葉さえほとんどの人が認知していません。日本で工場式の畜産が広がったのは戦後のことで、まだ人々の頭の中では広々とした牧草地で動物がのびのびと草を食み地面をつつき、穴を掘り返して暮らしているという牧歌的なイメージが残っているのかもしれません。しかし現実はそうではありません
現代の工場型畜産では多くの動物が通常行動もできず、苦しんでいます。
実態を知らずして、畜産利用されている動物の権利や福祉に関心を持つことは困難です。
私たちはもっと現状を正しく伝え、問題提起していかなければなりません。
*認定NPO法人アニマルライツセンター(http://www.arcj.org)の出典である旨をご記載の上、ご自由にご使用ください。
認知度調査項目6に「乳牛の多くが、つながれた状態で」とありますが、近年はつながないで管理するフリーストールやフリーバーンと呼ばれる飼養方法が普及してきています。アニマルライツセンターはこの飼養方法をご存知ですか? また、普及状況を把握していますか? この質問は時代遅れではないですか?
認知度調査項目7には「牛の多くが、麻酔無しで去勢、除角」とありますが、私の経験では、去勢は100%麻酔しています。除角は農場によりますが、本州では麻酔する場合が多い気がします。麻酔の使用状況を調査されて、この設問をされたのでしょうか?
色々と主張されるのであれば、畜産の現状を正しく把握されるべきです。アニマルライツセンターの信用に関わるとお考え下さい。