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OECD「多国籍企業の責任ある事業行動に関するガイドライン」にアニマルウェルフェアを盛り込む

2023年6月8日(現地日時)経済協力開発機構(OECD)の「多国籍企業の責任ある事業行動に関するガイドライン」に、初めてアニマルウェルフェアが盛り込まれました。新しいガイドラインにはアニマルウェルフェアについて、以下のように書かれています。

85. 企業は、世界獣疫事務局 (WOAH) の陸生動物コードに沿った動物福祉基準を尊重する必要がある。 動物は健康で、快適で、栄養が十分にあり、安全で、痛み、恐怖、苦痛などの不快な状態に悩まされておらず、身体的および精神的に重要な行動を表現できる場合において、十分な福祉を享受することができる。 良好な動物福祉には、病気の予防と適切な獣医師のケア、保護施設、管理と栄養、刺激があり安全な環境、人道的な取り扱いと人道的な屠殺や殺処分が必要である。 さらに、企業は、関連する国際機関が策定した生きた動物の輸送に関するガイドラインを遵守する必要がある。

OECDのガイドラインは、企業が責任あるビジネスを実践するための重要な国際的ベンチマークとなっています。OECDは加盟国で事業を行う、または取引をする多国籍企業が、業界や企業の規模、所有形態に関係なく、アニマルウェルフェアを尊重したビジネスを加速させることを求めています。業界に対する法的拘束力はありませんが、日本を含む加盟国は苦情申し立てメカニズムを確立する義務があります。これにより、世界貿易の約4分の3を占める38の加盟国の畜産や実験動物などに良い影響がもたらされることが期待されます。

今回、最新のガイドラインにアニマルウェルフェアが加わったことは、多くの投資機関や金融機関、国際企業がアニマルウェルフェアを重要視しているという、今の経済の流れが反映されたものだと感じています。Business Benchmark on Farm Animal Welfare(ビジネスにおける畜産動物福祉の評価基準)の評価対象となったグローバル企業150社のうち89%がアニマルウェルフェアをビジネス上の課題である*と回答し、アニマルウェルフェアに取り組まないことがビジネス上でのリスクになることを理解する企業が増えてきています。企業が利益だけを追求するのではなく、倫理的で持続可能な社会への取り組みが求められる今のビジネスにおいて、アニマルウェルフェアがその重要な役割を果たすことを示す多くの事例の一つといえます。

*https://www.bbfaw.com/media/2126/bbfaw-report-2021_final.pdf

関連記事:アニマルウェルフェア的「企業価値」入門

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