2021年11月11日、豚たちにとって素晴らしいニュースを届けることができます。日本ハムが、以下の発表をしたのです。
アニマルウェルフェアに配慮した取り組みの推進
- 全農場の妊娠ストール廃止(豚)
2030年度末までに国内全農場にて完了※- 全処理場内の係留所へ飲水設備の設置(牛・豚)
2023年度末までに国内全拠点に設置完了※- 全農場・処理場への環境品質カメラの設置
2023年度末までに国内全拠点に設置完了※
そして、アニマルウェルフェアのポリシーも同時に発表しました。
これまでアニマルライツセンターは、日本ハム株式会社と対話を重ねてきました。その中で私達の意見、主張に真摯に耳を傾けてくれました。社内での多くの調整、障害を乗り越え、今年はじめにはすでに2農場が妊娠ストールフリーになっており、また新設する農場では妊娠ストールフリーにすることを表明していました。しかし、やはり能動的に切り替え、妊娠ストール飼育の終わりの期限を設定してほしいという願いを伝えていました。
その後、日本ハムは重要課題の一つにアニマルウェルフェアを据え、5月に発表した中長期計画の中の重要課題の中には、環境や人権と並んで動物福祉が含まれました。同時にVision2030を設定していますが、日本ハムが2030年にこうありたいと願う姿の中には、豚たちが妊娠ストールから解放されていることが含まれていたのです。
移行期間9年を長く感じる人もいるかも知れません。しかし、多くの海外企業も同様の期間をかけて、移行を進めているのです。私達アニマルライツセンターはこの日本ハムの決断を心から歓迎します。
日本の豚のと畜場の86%には、飲水設備がありません。新しくと畜場を建設する場合と建て替える場合には飲水設備をつけなさいというのが厚生労働省の対応で、その後改善が膠着状態に陥っていました。日本ハムは建て替えるわけではなくても2023年に飲水設備の完備を終えると表明しました。
英国やフランス、イスラエルでは、と畜場など動物を扱う場所にCCTV、つまりカメラの導入が進んでいます。カメラが設置されているだけで、動物への扱いは穏やかなものに変わるという事実もあります。
以前の話し合いの中で、「人の手が介在すれば虐待的な扱いがどうしても発生する。監視カメラなどを他国は導入している。そういった裏付けなく丁寧だとは表現できない。」と説明し、適正な取り扱いを担保するための方法としてのカメラ設置をアドバイスしました。しかし、私達はカメラ設置を決断してもらえるのはまだ先なのではと思っていたのです。
日本で初めて、実現します。アジアでも先進的です。海外輸出が多いタイの企業や、欧米やオーストラリア向けの食肉を加工する場合にはCCTVをつけるとしているところはありますが、自国の消費をメインとする日本企業が実現を表明してくれたのです。
この取組みは、国内の多くの豚、そして肉用鶏の福祉を大きく向上させるはずです。
日本ハムの決断は、間違いなく動物たちの苦しみを減らすものであると同時に、国際的に通用するアニマルウェルフェアを目指すものでした。この具体的で、間違いなく畜産の現場に反映される変化こそ、動物たちが必要としているものです。
今後も多くの食品企業が、アニマルウェルフェアの変化を受け入れ、具体的な変化につながる未来を、一緒に描いてくれることを願います。