2014年度国産畜産物安心確保等支援事業における「飼養実態アンケート調査報告書」によると、日本のブロイラー経営の68.1%が、暗期の設定をしていない(24時間照明つけっぱなし)となっています。非常に高いパーセンテージですが、最近では24時間点灯がブロイラーの「増体」に無意味だと認識しはじめている農家は増えていっているのではないかと思います。
2018年に畜産技術協会から、「技術レター」が出され、暗期をもうけることが推奨されただけでなく、日本のほとんどのブロイラー農場で使われている品種「チャンキー」を育種するアビアジェン社もそのマニュアルの中で24時間点灯が無意味だと明示しているからです。
アビアジェン社は、ブロイラーの生涯にわたって、連続またはほぼ連続的な照明(最大1時間の短い暗期の提供)を推奨しません。 継続的な照明を提供すると飼料の消費量が増え、成長が速くなるという仮定は正しくないことが示されています。 ブロイラーの生涯にわたってこのような照明プログラムを提供することは、出荷体重を低下させるだけでなく、ブロイラーの健康と福祉にも悪影響を及ぼします。
1、10、20、40ルクスでそれぞれブロイラー(Ross)を飼育した時、体重や死亡率に変化はなかったものの趾蹠皮膚炎(足の裏の皮膚炎:FPD)は照度が下がるにつれて増加しました。また照度が下がるにつれて目の重量や直径が増加する傾向があることがわかりました。1ルクスと200ルクスを研究したものもありますが、こちらでは1ルクスの鶏のほうがわずかに体重が重いけれども、1ルクスのほうが歩行スコアが低く、目の重量や直径が増加することが分かりました。5、10、20ルクスを比較した研究では、ブロイラー(cobb)は5ルクスよりも10ルクス、5,10ルクスよりも20ルクスの光の下で飲食をすることを好むことが分かりました。12-2016 Effect of Light Intensity on Production Parameters and Feeding Behavior of Broilers5、50、200ルクスを比較した研究(8時間暗期、16時間明期)では暗期中、200ルクスで飼育されたブロイラーは、50、5ルクスで飼育されたブロイラーよりも、休息が中断されることが少なかった。
Light intensity during rearing affects the behavioural synchrony and resting patterns of broiler chickens G.M. Alvino,R.A. Blatchford,G.S. Archer &J.A. Mench
**動物への配慮の科学―アニマルウェルフェアをめざして – 2009