推奨する飼育密度が国際的に見ると異常な過密値に設定されていました。一般の飼養管理ならまだしもアニマルウェルフェアに配慮したとするならば、今更国際的に問題のある悪い数値を”推奨”にするのは理解できません。
33kg/平米を飼育密度の推奨値とし、将来実施が推奨される事項として30kg/平米とすることを強く意見してください、
以下、参考にしてください。
(5)ブロイラーの飼養管理に関する指針(案)
「鶏の健康悪化の兆候としては、速く不規則な呼吸、 持続的な咳や呼吸音の異常、震え、食欲不振、病的なうずくまり等」に、OIE規約に沿って、歩様、接触性皮膚炎、羽毛の状態、寄生虫感染、恐れを示す行動、空間的分布、羽翼を広げる行動、羽根つつきと共食い、損傷、目の状態、鶏鳴を加えること。
「観察は、少なくとも1日に1回は実施」を、「少なくとも1日2回」に変更すること。死亡鶏の多さやひっくり返った個体を考えると1日1回は明らかに少ない。
「観察する際には、鶏の健康状態、損傷の有無、羽つつきの発生等が見られないか等を観察」に、OIE規約に沿って、死亡率、淘汰及び罹患率の増加、接触性皮膚炎、跛行あるいは歩行異常、羽根の汚れ、疾病、代謝疾患及び寄生虫感染の発生率、恐れを示す行動、 空間的分布、浅速呼吸と羽翼を広げる行動、砂浴び行動の減少、採餌や飲水行動の減少、羽根つつきと共食いが見られないかに変更すること。なお、それぞれの詳細は参考に書かれているが本文にて説明を加えること。
「飼料及び水が適切に給与されているか、換気が適切に行われているか、照明に問題がないか 等をチェック」に、OIE規約に沿って、敷料の状態が悪化していないか、採光、騒音の有無を加えること。
「鶏の健康状態、疾病・ 事故の発生の有無、死亡羽数、飼料及び水の摂取量、最高及び最低温度、湿度等を毎日記録する」に、OIE規約に沿って、「疾病・ 事故の発生の有無、死亡羽数、飼料及び水の摂取量、最高及び最低温度、湿度、接触性皮膚炎、跛行あるいは歩行異常、砂浴びをする鶏の割合、羽根の汚れ、疾病、代謝疾患及び寄生虫感染の発生率、恐れを示す行動、 空間的分布、浅速呼吸と羽翼を広げる行動、砂浴び行動の減少、採餌や飲水行動の減少、羽根つつきと共食いの割合を毎日記録する」に変更すること。
実施が推奨される事項に、見落としで数日見つけられず腐っている死亡鶏が出ないように「作業員がスムーズに歩けないほど飼育密度を上げてはならない」を加えること。
「手荒な扱いは避け、丁寧に取扱う 」に、「入雛時の高い位置からの放雛や出荷前の密度が増した際の見回り、及び捕鳥の際は特に注意する」ことを加えること。
「捕鳥の際は、強い衝撃を与えないよう注意するとともに、暗くなるとおと なしくなる習性を利用して、鶏舎内の照度を下げる等の対応をとる。」に、OIE規約に沿って、「捕獲は熟練した動物取扱者が実施すること」「捕獲時に肉用鶏が怪我をした場合には、安楽死させること」「肉用鶏の首または翼を持って持ち上げてはならないものとすること」を加えること。
「ブロイラーの殺処分の方法については、頸椎脱臼が一般的であり、管理者及び飼養者は、その方法を十分習得する。」に、国内では不適切な殺処分方法が一般的に行われている実態を踏まえ、より詳細に記載するべき。「頸椎脱臼は正しい方法で行わなくてはならず、首を持って回すなど不適切な方法で行ってはならない。また正確な頸椎脱臼(C1で外すこと)は難しくどれほどの苦しみを与えているのか判断できないため、農場でのスタニング機器導入と正しい技術への取り組みを行うものとする。なお、脊椎脱臼は少数の鶏を殺処分する際に用いられる方法であって数が多くなった場合には用いてはならない。
事前に意識を失わせるための、少羽数用の電気的スタニングを行う器具が国内でも販売可能である。」を加えること。
「排せつ物は適切に取り除き、鶏にとって快適な環境を提供する」に、OIE規約に沿って、また敷料は、埃っぽく、固まったり湿ったりする状態ではなく、乾燥して砕けやすい状態で維持されるものとするを加えること。
OIE規約に沿って、「餌または水が摂れない肉用鶏は、速やかに安楽死させるものとする」を加えること。
OIE規約に沿って、「日々の水の消費量を監視することは、気温、湿度、飼料の消費やその他の関連事項を勘案した上で、疾病とその他の福祉の状態を示す有用なツールとなる。水の供給に問題があると、敷き料が湿ったり、下痢、皮膚炎や脱水を引き起こす可能性がある。餌の消費量に変化がある場合は、不適切な飼料、疾病又はその他の福祉の問題があることを示し得る。」を加えること。
開放型鶏舎の特徴として、自然光が入ることはアニマルウェルフェアに寄与することを加えること。
ウィンドウレス鶏舎の特徴として、自然光から完全に遮断する事自体が動物の習性に反しており、アニマルウェルフェアを損なうものであることを認識することを加えること。
【実施が推奨される事項】に自然光を入れることを加えること。
「平飼い方式は、鶏の行動が制約されないという特徴がある一方で、個体管理を確実に行うことが難しく、また、鶏と排せつ物が分離されずに飼養される。
」は、ケージであったとしても鶏の場合は個体管理は確実に行うことは難しく、削除すべき。
一方で、ケージでの飼養は明確にアニマルウェルフェアに反しており、また体重の重たいブロイラーにとってはより過酷であることから、避けるべきことを加えること。
OIE規約に沿って、「敷料の質の低下は、水の漏出、不適切な飼料配合、腸管感染症、換気不良及び過密飼育を含む一連の要因によって起こりうる」を加えること。
「また、敷料は、乾燥し、ほぐれやすいものであ って、埃っぽかったり、固まっていたり、湿っていたりしないよう維持する。」に、敷料の追加などで常に適切な状態を保つよう管理することを加えること。
「米国の業界団体ガイドラインをみると、生体重6ポンド(2.5kg)以上、7.5 ポンド (3.4kg)未満では、最大飼養密度は 42.5kg/m2となっており、これを日本で慣行的に用いられている坪当たり羽数に換算すると 50 羽/坪程度に相当する。」に、EUの基準(原則33kg/m2)を追加すること。海外では42.5kg/m2では高密度と考えられており、大手企業を含め33kg/m2が用いられているという事実から、これを明記すべきである。ただし、米国の業界団体ガイドラインもEU規約もアニマルウェルフェアのための基準ではなく最大の飼養密度を記載しているにすぎず、アニマルウェルフェアに配慮した場合はこれらの数値では高すぎる。EUと北米ではベターチキンコミットメントに沿った飼育を目指す企業が急増しており、これは30kg/m2であることから、アニマルウェルフェアの指針にはこの飼育密度も明記するべきである。
よって、以下の内容に変更すること。
「米国の業界団体ガイドラインをみると、生体重6ポンド(2.5kg)以上、7.5 ポンド (3.4kg)未満では、最大飼養密度は 42.5kg/m2となっている。EU規約(Council Directive 2007/43/CE)では最大貯蔵密度が常に33 kg / m2を超えないようにするものとされている。さらに北米とEUの企業は30kg/m2を2026年までに達成することを目指している。これを日本で慣行的に用いられている坪当たり羽数に換算すると 33羽~47 羽/坪程度(出荷体重3kgの場合)に相当する。アニマルウェルフェアに配慮した飼育をする場合は、最大飼育密度を30kg/m2以下にするものとする。」
「日本では、 消費者ニーズ等から生体重 2.5kg以上で出荷されていることから、鶏の生産性や快 適性を調べた海外の知見等からは、45~50 羽/坪程度が目安となる。」の「鶏の生産性や快適性を調べた海外の知見等」を公平に見ても、より低い飼育密度が推奨されるべきである。
ブロイラーの飼育密度とアニマルウェルフェアや生産成績に関する研究は上げればキリがないほどあるが、そもそも50羽/坪の飼育密度は多くの研究で最大値の密度として悪いケースの比較対象になっている。たとえば一つの研究を見ても(Impacts of Stocking Density on the Performance and Welfare of Broiler Chickens Alaeldein , M. Abudabos , 2012)、飼育密度を40.0 kg / m2に上げると濃厚赤血球量(PCV)の顕著な減少と考えられる血液希釈状態を誘発しており、肝細胞の損傷と考えられる血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加するなどしており、パフォーマンスも低下している。別の新たな研究(Effects of stocking density and dietary vitamin C on performance, meat quality, intestinal permeability, and stress indicators in broiler chickens , Dong Gwon Yu, 2021)でも、18羽/m2=36kg/m2程度の高密度の場合、その半分の密度と比較するとストレス反応が増加し、成長能力が失われることを示している。その他にも接触性皮膚炎の増加や免疫の低下など、42kg/m2のような高密の場合は様々な悪影響が表れている。「45~50 羽/坪程度」を導き出した科学的で適切な根拠は見当たらない。
【実施が推奨される事項】には33kg/m2を目指すことを加えること。
【将来実施が推奨される事項】には30kgを目指すことを加えること。
OIE規約に沿って、「成育期には、変化する気温と相対湿度において肉用鶏の快適な範囲を決めるためには、熱指標(heat index)が活用できる」を加えること。
「鶏の快適性 は、温度だけでなく、湿度、風速、換気方法、、エンリッチメントの有無等の影響も受ける。」に、OIE規約に沿って、飼育密度を加えること。
「暑熱ストレスを防止するため」の対処方法に、OIE規約に沿って、飼育密度の低減を入れるを加えること。
OIE規約に沿って、「温度環境の管理装置は、福祉上の問題が生じる前に故障が発見できるよう、頻繁に点検するものとする」を加えること。
「鶏が鶏舎に入れられてから7日以内から屠殺予測時間の3日前まで、照明操作は24時間のリズムに従うものとする」を追加すること。
「鳥の目線の高さで計測して20ルクスの明るさの照明があり、鶏が利用可能なエリアの少なくとも80%が明るくなるものとする」を追加すること。なお、20ルクスは最低ラインであり日中の照度としては適切と言えない程度の暗さであることを認識すべきである。
「鶏の休息やストレス低減、正常行動の発現、歩様、脚の健康強化等のため、各 24 時間の間に継続した暗期を適切に設ける」に、「6時間以上の暗期」を加えること。
「管理者及び飼養者は、電気、水及び飼料の供給システムの停止に対処し、災害に よる影響を可能な限り小さく抑え、これを緩和するため、避難計画を含む緊急時計 画又は危機管理マニュアル等を整備し、これについて習熟する」に、OIE規約に沿って、「計画には、機能異常を検出するための安全警報装置、予備発電設備、維持管理業者の確保、代替暖房又は冷却装備、農場の貯水能力、水の運搬業者の確保、農場での飼料の適切な備蓄と代替飼料の供給先の確保並びに換気の非常事態への対応策といった事項を含むものとする」を加えること。
OIE規約(肉牛)に沿って、「熱ストレス、干ばつ、吹雪、火事や洪水といった自然災害や極端な気候条件などの影響を最小限に軽減する計画が整っているものとする」を加えること。
ブロイラーは育種改変によるアニマルウェルフェア上の課題が大きい。ゆっくり成長する種への切り替えを加えること。「育種改変により、起立不能、歩行困難、死亡率、心疾患、先天性疾患の増加が起きていることを考慮し、ゆっくり成長するスローグロワー種の選定を推奨する」などを加えること。
(参考)ブロイラーの測定指標は、実施事情として重要であり、参考とすべきではなく、本文に組み込むべき。
ブロイラーの飼養管理に関する指針(案)
1 管理方法
1, 観察・記録
「鶏の健康悪化の兆候としては、速く不規則な呼吸、 持続的な咳や呼吸音の異常、震え、食欲不振、病的なうずくまり等」に、OIE規約に沿って、歩様、接触性皮膚炎、羽毛の状態、寄生虫感染、恐れを示す行動、空間的分布、羽翼を広げる行動、羽根つつきと共食い、損傷、目の状態、鶏鳴を加えること。
「観察は、少なくとも1日に1回は実施」を、「少なくとも1日2回」に変更すること。死亡鶏の多さやひっくり返った個体を考えると1日1回は明らかに少ない。
「観察する際には、鶏の健康状態、損傷の有無、羽つつきの発生等が見られないか等を観察」に、OIE規約に沿って、死亡率、淘汰及び罹患率の増加、接触性皮膚炎、跛行あるいは歩行異常、羽根の汚れ、疾病、代謝疾患及び寄生虫感染の発生率、恐れを示す行動、 空間的分布、浅速呼吸と羽翼を広げる行動、砂浴び行動の減少、採餌や飲水行動の減少、羽根つつきと共食いが見られないかに変更すること。なお、それぞれの詳細は参考に書かれているが本文にて説明を加えること。
「飼料及び水が適切に給与されているか、換気が適切に行われているか、照明に問題がないか 等をチェック」に、OIE規約に沿って、敷料の状態が悪化していないか、採光、騒音の有無を加えること。
「鶏の健康状態、疾病・ 事故の発生の有無、死亡羽数、飼料及び水の摂取量、最高及び最低温度、湿度等を毎日記録する」に、OIE規約に沿って、「疾病・ 事故の発生の有無、死亡羽数、飼料及び水の摂取量、最高及び最低温度、湿度、接触性皮膚炎、跛行あるいは歩行異常、砂浴びをする鶏の割合、羽根の汚れ、疾病、代謝疾患及び寄生虫感染の発生率、恐れを示す行動、 空間的分布、浅速呼吸と羽翼を広げる行動、砂浴び行動の減少、採餌や飲水行動の減少、羽根つつきと共食いの割合を毎日記録する」に変更すること。
実施が推奨される事項に、見落としで数日見つけられず腐っている死亡鶏が出ないように「作業員がスムーズに歩けないほど飼育密度を上げてはならない」を加えること。
2, 鶏の取扱い
「手荒な扱いは避け、丁寧に取扱う 」に、「入雛時の高い位置からの放雛や出荷前の密度が増した際の見回り、及び捕鳥の際は特に注意する」ことを加えること。
「捕鳥の際は、強い衝撃を与えないよう注意するとともに、暗くなるとおと なしくなる習性を利用して、鶏舎内の照度を下げる等の対応をとる。」に、OIE規約に沿って、「捕獲は熟練した動物取扱者が実施すること」「捕獲時に肉用鶏が怪我をした場合には、安楽死させること」「肉用鶏の首または翼を持って持ち上げてはならないものとすること」を加えること。
3, 疾病、事故等の措置
「ブロイラーの殺処分の方法については、頸椎脱臼が一般的であり、管理者及び飼養者は、その方法を十分習得する。」に、国内では不適切な殺処分方法が一般的に行われている実態を踏まえ、より詳細に記載するべき。「頸椎脱臼は正しい方法で行わなくてはならず、首を持って回すなど不適切な方法で行ってはならない。また正確な頸椎脱臼(C1で外すこと)は難しくどれほどの苦しみを与えているのか判断できないため、農場でのスタニング機器導入と正しい技術への取り組みを行うものとする。なお、脊椎脱臼は少数の鶏を殺処分する際に用いられる方法であって数が多くなった場合には用いてはならない。
事前に意識を失わせるための、少羽数用の電気的スタニングを行う器具が国内でも販売可能である。」を加えること。
4, 鶏舎等の清掃・消毒
「排せつ物は適切に取り除き、鶏にとって快適な環境を提供する」に、OIE規約に沿って、また敷料は、埃っぽく、固まったり湿ったりする状態ではなく、乾燥して砕けやすい状態で維持されるものとするを加えること。
2 栄養
1, 必要栄養量・飲水量
OIE規約に沿って、「餌または水が摂れない肉用鶏は、速やかに安楽死させるものとする」を加えること。
3, 給餌・給水方法
OIE規約に沿って、「日々の水の消費量を監視することは、気温、湿度、飼料の消費やその他の関連事項を勘案した上で、疾病とその他の福祉の状態を示す有用なツールとなる。水の供給に問題があると、敷き料が湿ったり、下痢、皮膚炎や脱水を引き起こす可能性がある。餌の消費量に変化がある場合は、不適切な飼料、疾病又はその他の福祉の問題があることを示し得る。」を加えること。
3 鶏舎
ア 開放型鶏舎
開放型鶏舎の特徴として、自然光が入ることはアニマルウェルフェアに寄与することを加えること。
ウ ウィンドウレス鶏舎
ウィンドウレス鶏舎の特徴として、自然光から完全に遮断する事自体が動物の習性に反しており、アニマルウェルフェアを損なうものであることを認識することを加えること。
【実施が推奨される事項】
【実施が推奨される事項】に自然光を入れることを加えること。
4 飼養方式、構造、飼養スペース
1, 飼養方式
「平飼い方式は、鶏の行動が制約されないという特徴がある一方で、個体管理を確実に行うことが難しく、また、鶏と排せつ物が分離されずに飼養される。
」は、ケージであったとしても鶏の場合は個体管理は確実に行うことは難しく、削除すべき。
一方で、ケージでの飼養は明確にアニマルウェルフェアに反しており、また体重の重たいブロイラーにとってはより過酷であることから、避けるべきことを加えること。
2, 構造・床・敷料
OIE規約に沿って、「敷料の質の低下は、水の漏出、不適切な飼料配合、腸管感染症、換気不良及び過密飼育を含む一連の要因によって起こりうる」を加えること。
「また、敷料は、乾燥し、ほぐれやすいものであ って、埃っぽかったり、固まっていたり、湿っていたりしないよう維持する。」に、敷料の追加などで常に適切な状態を保つよう管理することを加えること。
3, 飼養スペース
「米国の業界団体ガイドラインをみると、生体重6ポンド(2.5kg)以上、7.5 ポンド (3.4kg)未満では、最大飼養密度は 42.5kg/㎡となっており、これを日本で慣行的に用いられている坪当たり羽数に換算すると 50 羽/坪程度に相当する。」に、EUの基準(原則33kg/㎡)を追加すること。海外では42.5kg/㎡では高密度と考えられており、大手企業を含め33kg/㎡が用いられているという事実から、これを明記すべきである。ただし、米国の業界団体ガイドラインもEU規約もアニマルウェルフェアのための基準ではなく最大の飼養密度を記載しているにすぎず、アニマルウェルフェアに配慮した場合はこれらの数値では高すぎる。EUと北米ではベターチキンコミットメントに沿った飼育を目指す企業が急増しており、これは30kg/㎡であることから、アニマルウェルフェアの指針にはこの飼育密度も明記するべきである。
よって、以下の内容に変更すること。
「米国の業界団体ガイドラインをみると、生体重6ポンド(2.5kg)以上、7.5 ポンド (3.4kg)未満では、最大飼養密度は 42.5kg/㎡となっている。EU規約(Council Directive 2007/43/CE)では最大貯蔵密度が常に33 kg / ㎡を超えないようにするものとされている。さらに北米とEUの企業は30kg/㎡を2026年までに達成することを目指している。これを日本で慣行的に用いられている坪当たり羽数に換算すると 33羽~47 羽/坪程度(出荷体重3kgの場合)に相当する。アニマルウェルフェアに配慮した飼育をする場合は、最大飼育密度を30kg/㎡以下にするものとする。」
「日本では、 消費者ニーズ等から生体重 2.5 ㎏以上で出荷されていることから、鶏の生産性や快 適性を調べた海外の知見等からは、45~50 羽/坪程度が目安となる。」の「鶏の生産性や快適性を調べた海外の知見等」を公平に見ても、より低い飼育密度が推奨されるべきである。
ブロイラーの飼育密度とアニマルウェルフェアや生産成績に関する研究は上げればキリがないほどあるが、そもそも50羽/坪の飼育密度は多くの研究で最大値の密度として悪いケースの比較対象になっている。たとえば一つの研究を見ても(Impacts of Stocking Density on the Performance and Welfare of Broiler Chickens Alaeldein , M. Abudabos , 2012)、飼育密度を40.0 kg / m 2に上げると濃厚赤血球量(PCV)の顕著な減少と考えられる血液希釈状態を誘発しており、肝細胞の損傷と考えられる血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加するなどしており、パフォーマンスも低下している。別の新たな研究(Effects of stocking density and dietary vitamin C on performance, meat quality, intestinal permeability, and stress indicators in broiler chickens , Dong Gwon Yu, 2021)でも、18羽/㎡=36kg/㎡程度の高密度の場合、その半分の密度と比較するとストレス反応が増加し、成長能力が失われることを示している。その他にも接触性皮膚炎の増加や免疫の低下など、42kg/㎡のような高密の場合は様々な悪影響が表れている。「45~50 羽/坪程度」を導き出した科学的で適切な根拠は見当たらない。
【実施が推奨される事項】には33kg/㎡を目指すことを加えること。
【将来実施が推奨される事項】には30kgを目指すことを加えること。
5 鶏舎の環境
1, 熱環境
OIE規約に沿って、「成育期には、変化する気温と相対湿度において肉用鶏の快適な範囲を決めるためには、熱指標(heat index)が活用できる」を加えること。
「鶏の快適性 は、温度だけでなく、湿度、風速、換気方法、、エンリッチメントの有無等の影響も受ける。」に、OIE規約に沿って、飼育密度を加えること。
「暑熱ストレスを防止するため」の対処方法に、OIE規約に沿って、飼育密度の低減を入れるを加えること。
OIE規約に沿って、「温度環境の管理装置は、福祉上の問題が生じる前に故障が発見できるよう、頻繁に点検するものとする」を加えること。
3, 照明
「鶏が鶏舎に入れられてから7日以内から屠殺予測時間の3日前まで、照明操作は24時間のリズムに従うものとする」を追加すること。
「鳥の目線の高さで計測して20ルクスの明るさの照明があり、鶏が利用可能なエリアの少なくとも80%が明るくなるものとする」を追加すること。なお、20ルクスは最低ラインであり日中の照度としては適切と言えない程度の暗さであることを認識すべきである。
「鶏の休息やストレス低減、正常行動の発現、歩様、脚の健康強化等のため、各 24 時間の間に継続した暗期を適切に設ける」に、「6時間以上の暗期」を加えること。
6 その他
3, 緊急時の対応
「管理者及び飼養者は、電気、水及び飼料の供給システムの停止に対処し、災害に よる影響を可能な限り小さく抑え、これを緩和するため、避難計画を含む緊急時計 画又は危機管理マニュアル等を整備し、これについて習熟する」に、OIE規約に沿って、「計画には、機能異常を検出するための安全警報装置、予備発電設備、維持管理業者の確保、代替暖房又は冷却装備、農場の貯水能力、水の運搬業者の確保、農場での飼料の適切な備蓄と代替飼料の供給先の確保並びに換気の非常事態への対応策といった事項を含むものとする」を加えること。
OIE規約(肉牛)に沿って、「熱ストレス、干ばつ、吹雪、火事や洪水といった自然災害や極端な気候条件などの影響を最小限に軽減する計画が整っているものとする」を加えること。
追加が必要な事項
ブロイラーは育種改変によるアニマルウェルフェア上の課題が大きい。ゆっくり成長する種への切り替えを加えること。「育種改変により、起立不能、歩行困難、死亡率、心疾患、先天性疾患の増加が起きていることを考慮し、ゆっくり成長するスローグロワー種の選定を推奨する」などを加えること。
(参考)ブロイラーの測定指標
(参考)ブロイラーの測定指標は、実施事情として重要であり、参考とすべきではなく、本文に組み込むべき。