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搾乳牛

搾乳前までの育成中だけは、繋がずに群れで飼育する農家もあるし、放牧に出している農家も、成長するまではと北海道に輸送して放牧させる農家もあるが、搾乳がはじまる前から死ぬまでの長い期間の飼育方法は拘束されることが多い。

つなぎ飼い

畜産技術協会のアンケート調査によると、日本の農家の72.9パーセントが搾乳牛の主な飼養方法として「つなぎ飼い」の方法をとっている。約7割もの農家で採用されているこの飼育方法では、牛はロープなどで繋がれていて動きが制限されており、振り向くことや歩き回ることができない。

フリーストール、フリーバーン

牛たちが比較的自由に動き回ることができる「フリーストール」、「フリーバーン」の方法を主に用いている農家は24.6パーセント*であった。

■フリーストール(牛たちは囲いの中で自由に動き回ることができ、横たわって休みたいときは一頭ずつに区切られたスペースを使う)

■フリーバーン(牛たちは囲いの中で自由に動き回ることができる。休みたいときは囲いの中の好きな場所に横たわる。)

パドックや牧草地に牛を放牧させているかという問いには、「毎日放している」と回答した農家が7.7パーセント、「毎日ではないが放している」と回答した農家が14.5パーセントであった。72.5パーセントもの農家が牛を放牧していないと回答*している。

フリーストールやフリーバーンであれば、牛の苦悩はつなぎ飼いよりも軽減されるだろう。だがベストは放牧だ。

放牧されたウシは,より自然な行動パターンを発現しやすい環境にあると言われており (Hemsworthら 1995) ,舎飼い飼育下と放牧飼育下で,ウシの行動を比較した研究がいくつか報告されている. Krohnら (1992) は,年間を通
じて,ウシは数時間は外で過ごすことを好み,特に夏は牛舎内で TMRを摂取するよりも放牧地で生草を摂取する方を好むと報告している.また,舎飼い飼育下のウシは,放牧飼育下のウシよりも休息時聞が短く(Oconnellら 1989),牛舎でつなぎ飼いされていたウシを放牧すると常同行動の発現頻度が減少した(Redbo 1990) という報告もある.これらの報告では,行動学的側面から,放牧は舎飼いと比較しウシにとってストレスは少ないだろうと結論づけている.

「尿中コルチゾールを指標とした放牧牛のストレス評価に関する研究」 東山由美 より引用

放牧

約7割の農家で用いられているつなぎ飼いは、歩き回ること全くができず、牛にとって肉体的にも精神的にもストレスになる飼育方法である。牛は臆病だが好奇心旺盛で、感情豊かな動物である。しかしつなぎ飼いの場合、牛たちは配られた餌を食べる、水を飲む、立つ、座る、眠るという動作しかすることができない。自分で動き回る自由も無ければ好奇心を満たすものもない。仲間とのコミュニケーションも制限される。そして歩く機会が無いため、もともと品種改編によって弱くなっている足腰が更に弱ってしまい、それが淘汰(殺され処分されること)される原因にもなっている。

管理しやすいという理由から日本での主体的な飼育方法となっている「つなぎ飼い」だが、実際には放牧のメリットは多い。2016年10月28日全国農業新聞に北海道の集約放牧酪農が紹介されていたので一部引用したい。

「牛が健康になって衛生費が減少、牛の供用年数が伸び繁殖率も高まる。飼料代も大幅に削減できて経営コストが低減。給餌や畜舎清掃などの省力効果も大きい。 草地の管理も、採草だけなら5年ごとに必要な草地の更新が、放牧・採草を繰り返すことで不要。」
「同牧場の一頭当たり年間搾乳量は約6千キロで道平均の3分の2だが、所得率は大きく上回る。農水省の試算によると、夏場の6か月の放牧で、舎飼いに比べて約2割(1頭当たり16万円)のコスト低減効果がある。」

放牧は牛だけではなく、畜産業者にとってもメリットがあるのだ。

どうしても放牧への切り替えが難しいのであれば、せめて群れ飼育にしてほしい

牛がある程度の範囲の中を自由に動き回れるフリーストール、フリーバーンでは、牛たちはつなぎ飼いされるよりも自由に行動することができる。
向きを変えることができるし、囲いの中であれば自分の行きたい場所に移動することができる。
人が囲いに近づいてきたときに様子を見にそっちの方に行くこともできるし、夏の暑いときには霧吹き器や扇風機が良く当たる場所に移動することもできる。休むときは自分の好きな場所で休み、餌が配られたら、食べたければ餌の方まで歩いていくことができる。つなぎ飼いと比べ、自分で選択して行動したり、好奇心を刺激する機会がある。

歩けるということがどれほど大切なことか、あなたが歩くことも許されなくなったらどのように感じるか、牛たちの立場になって想像してほしい。
放牧するのが一番望ましいが、そこまでできなくてもせめて牛たちをつながないでほしい。
繋がれていなくて、動き回る十分な場所を与えられていたら牛たちがどれくらいのびのびと行動するのか、ぜひ見てみてください。(動画の30秒あたりから放牧されます)

子牛

子牛については、25パーセントの農家がつなぎ飼いをしており、50.9パーセントの農家が子牛を一頭ごとの囲いの中で飼育している。群れ飼育をしている農家は20.8パーセントのみであった。

つなぎ飼いされている子牛は自由に歩き回ることができない。繋がれている紐に足をひっかけてしまったり絡まってしまうこともある。また、一頭一頭離されて繋がれている場合は、仲間とのコミュニケーションを取ることが全くできない。多くの場合生まれてからすぐ母牛とも引き離されてしまうので、ずっと一頭きりで、1日に2、3回ミルクと餌が運ばれてくるのを待っているか、寝るか、立つか、座るかだけの生活である。

一頭ずつの囲いに入れられている子牛たちは、繋がれている子牛たちよりは体を動かせる場合が多いが、それでも囲いの大きさが小さすぎる。子牛がピョンピョンと飛び跳ねて遊んでいる時に、勢い余って上半身だけ囲いの柵を乗り越えてしまい、柵に引っかかってしまうこともある。もっと広いスペースが与えられていれば、子牛たちはもっとのびのびと飛び跳ね、遊ぶことができる。

子牛がより広いスペースを与えられていたらどのように遊ぶのか、見てみてください。繋がれていたり、小さな囲いに入れられている様子しか知らないと牛はあまり動かない動物だと思ってしまいますが、本当は走ったり遊んだりする動物です。

自分の飲んでいる牛乳を販売している企業に、牛たちがどのような飼育方法をされているのか問い合わせてみてください。
ご友人に牛たちがどのように飼育されているのか伝えてみてください。
企業に放牧や、牛の行動をできるだけ制限しないような牛乳を使用してほしいと伝えてください。
せめて、牛たちに歩き回る自由を与えてください。

http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/H26/factual_investigation_cow_h26.pdf

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