アニマルライツセンターが2014年から続けてきた「バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン」。賛同団体が100に達しました。
賛同団体一覧はコチラから。
諸外国ではでは年を増すごとにケージフリーが拡大しており、EUでは2012年にすでにバタリーケージからエンリッチドケージへの移行が完了(エンリッチドケージとは巣や砂場や止まり木のある「ケージ」施設。ケージであることに変わりはありません。「バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン」ではバタリーケージ、エンリッチドケージ含めすべてのケージ飼育の廃止を求めています)。
EUでは2012年にバタリーケージは禁止になりましたが、その後もケージ飼育そのものの廃止を望む声が高く、2012年以降は新たなEU法規制がないにもかかわらず、企業単位の取り組みや、国ごとの法規制によりエンリッチドケージから平飼いや放牧への移行が進んでいます。2012年時点で42.2%であったケージフリー飼育は、2016年には44.1%、2018年には49.6%、2019年は52.2%に増えてます。
2018年にはじまったEU全体でケージ飼育を廃止しようという運動、End the Cage Age のECI(European Citizens’Initiative*)は、鶏に限らず豚もウサギもすべて畜産動物のケージを完全廃止しようという運動です。このECIは2020年10月2日に1,397,113の署名が集約されました。今後この「畜産動物のケージ廃止」案について欧州委員会で審議が行われることになります。
*EUにはEuropean Citizens’ Initiative(ECI)という制度があり、加盟国中少なくとも7か国から既定数を超える合計100万人以上の署名を集めると、市民がEUに直接提案を発議することができます。
EU加盟各国でも採卵鶏のケージの法規制が広まっており、ドイツでは、2025年からはエンリッチドケージも含めてケージ飼育が禁止予定となっています(例外的に2028年までケージの使用が許可される場合もあり)。オーストリアも2020年までにケージ飼育を禁止の予定。2020年11月には、チェコが2027年以降のケージ飼育禁止を決定しました。これは年間450万羽の採卵鶏がケージから解放されることを意味します。2020年、ギリシャの農業大臣は、採卵鶏のケージ飼育を廃止することをEUに提案しました。
EUは間違いなくケージゼロに向かっています。
それはアメリカも同様です。
アメリカにおけるケージフリーの普及率は2012年には6%でしたが、徐々にその割合が上昇し、2016年には12%以上がケージフリーとなりました。そして2020年、アメリカのケージフリー割合は26.2%となっています。さらにアメリカの6の州はケージ飼育禁止を州法で決定しています。2019年4月、米国の卵の約4分の1を生産するCal-Maine Foodsは、カリフォルニア州でケージ卵の禁止が決定したことをうけて、ユタ州、テキサス州、フロリダ州の施設でケージフリー卵の生産を拡大することを同社取締役会で承認しました。
EU、アメリカだけではありません。
オーストリアでは約60%がケージフリー、ニュージーランドでは30.6%がケージフリーです。
2017年、ブラジル大手食肉企業のブラジルフーズBRFとJBSは2025年までに卵をケージフリーニすると発表。2020年9月、BRFはラザニア、ピザ、チーズパン、パイなどで使用される毎年2300万個を「前倒しで今月からすべてケージフリーにする」と発表しました。
2018年8月、韓国で最大手、卵流通量の12%を占める鶏卵販売企業の一つであるPulmuoneは殻付き卵について2028年までにケージフリーに移行することを宣言しました。2020年6月、タイの家畜開発省は、卵の生産を可能な限り残酷なものから解放するために、鶏をケージから出すための新しい基準に取り組んでいると述べています。
海外の採卵鶏のケージ飼育規制についてはコチラ
日本でも少しずつ変化は見られており、「バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン」に賛同する団体が増えると同時に、ケージフリー宣言をする会社も年々増加しています。とはいえ、採卵養鶏場の92%がバタリーケージ飼育(市場の卵割合でいうと割合はもっと高くなる)という状況で、まだ諸外国にはおくれを取っています。
日本の養鶏業界の考えも旧態依然とした考えから抜けだせていないようです。
いま、大手鶏卵生産アキタフーズ元代表がの吉川元農相に対する現金提供疑惑が取りざたされています。アキタ側はバタリーケージを無くそうというOIEの国際基準案の取り下げを関係者に働きかけていたと言います。バタリーケージを継続したいというのはアキタだけの望みではありません。アキタ元代表が副会長や特別顧問を務めた日本養鶏協会もバタリーケージが否定されるOIE基準にならないよう吉川元農水大臣に要望書を出しています。養鶏業界全体が現状維持を望んでいます。
しかし彼らが望むバタリーケージとはこのようなものです。
どちらがあるべき姿なのか、どちらが正しいのかは、論じるまでもなく明らかなはずです。
「バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン」への賛同団体は今後も増え続けると思います。SDGsの認識の広まりに続き、コロナ後のグリーンリカバリーの意識が高まる中、自分だけ良ければいいという考えは過去のものになろうとしているからです。
養鶏業界の皆さんにはケージ飼育廃止に向けた一歩を踏み出してほしいと願います。養鶏業界だけに努力を求めるのではなく、私たちアニマルライツセンターも力を尽くします。バタリーケージの問題を伝え、ケージ卵を買わない消費者を増やし、スーパーの棚にケージ卵が並べられなくなる日を目指して。