兵庫県にある邸宅レストラン「静かな向かい風」と、宮城県にあるカフェ「風と手と土」は現在使用している卵が全て、平飼い自家養鶏の卵で、この先も自分たちで育てた鶏の卵だけを使い続けると、ケージフリー宣言をしてくださいました。
ケージフリー宣言とは、自社で使用している卵を、ケージフリー(平飼いや放牧)のものに切り替える、または、現在すでにケージフリーの卵を使っている店では、これからもずっとケージフリーの卵を使い続けると消費者に約束することです。
静かな向かい風
元々は陶器や織物などの作品を取り扱うギャラリーとして始めた、兵庫県姫路市にある「静かな向かい風」ギャラリー開店から10年後にレストランをオープンされ、「安心安全で美味しい食材を提供したい」という理由から、「静か農園」を始められたそうです。
静か農園では、循環型自然農法で野菜を育て、平飼い(放牧)で鶏を飼育しています。
「静かな向かい風」のHPを読むと、養鶏担当者が以下のように書いています。
「僕は、(ケージ飼いの)実態を見て、人間がニワトリを生き物、動物としてではなく道具のように扱っているように見えてしまいました。」
「ケージ飼いよりも平飼いで永く育てた方がニワトリ達にとって幸せであり、より良い卵ができそうだったので、平飼いで育てていくことにしました。」
静か農園の鶏は、晴れた日はヤギと一緒に外で過ごし、雨の日には落ち葉や腐葉土などを床いっぱいに敷き詰めた自然に近い形の鶏舎で育てられています。
風と手と土
宮城県仙台市にあるカフェ、風と手と土。「手作り」にこだわり、自家製パスタや洋菓子、自家焙煎したコーヒー、自分たちで育てた野菜や鶏の卵を提供しています。
「昔の人々がやっていた庭先養鶏という形で鶏を育てたい」という思いから、平飼い養鶏を始められたそうです。
敷地内には鶏舎と運動場があり、鶏は自由に鶏舎と外を出入りできるようになっています。鶏たちは、日中のほとんどを外で元気よく過ごしていると聞きました。
お店のsnsでは鶏たちの写真や動画が頻繁に投稿されており、鶏の日々の様子を知ることができます。
この度ケージフリー運動に賛同していただいた2店舗は、どちらも自分たちで育てた野菜や鶏の卵を提供しているお店でした。現在市場に出回っている農作物や畜産物のほとんどが、大量生産のために工業化して作られたものであり、その生産過程において、たくさんの化学肥料や農薬、抗生物質や殺虫剤が使用されています。このような生産方法が環境や動物に大きな負荷をかけているのは明らかです。人の健康への影響も心配です。
現在、工業型畜産の代表ともいえる鶏のケージ飼育は、あまりにも非人道的であることから、国際社会では廃止の方向に向かっていっています。一方で、日本では未だに99%の卵がケージ飼育された鶏が産んだものです。しかし、鶏を機械のように扱い、虐待をしているケージ飼育に嫌悪感を抱く消費者や農家は増えてきています。
「ケージフリー宣言」をする企業や店が、今後益々増えることにより、ケージの卵を食べたくない消費者の食の選択の幅が広がります。ケージ飼育を辞めたいと思っている農家の背中を後押しすることにも繋がります。
ケージフリー宣言をした企業の数は世界で2100件以上(2021/6 時点)、国内だけでも120件以上あります。内閣府がケージフリーを採用し話題になったこともあり、今後も益々増えていくと予想されます。
あなたのお店、会社も世界の「脱ケージ飼育」の潮流にのって、ケージフリーへの切り替えを始めませんか?
日本のケージ飼育の鶏
写真をもっと見る