プレスリリース:2020年12月25日
日本国内で活動をする動物保護団体認定NPO法人アニマルライツセンターとザ・ヒューメイン・リーグ・ジャパン、そして鶏の福祉向上を目指す国際連合Open Wing Allaianceは、6つの国内動物保護団体とともに、OIEに対して、不正が行われた可能性のある日本の意見が含まれた「第 7.Z 章アニマルウェルフェアと採卵鶏生産システム」の現在のドラフト案は信頼を得られないことを指摘しました。そのうえで、日本のコメントや意見が及ぼした可能性のある項目について再検討すること、及び真にアニマルウェルフェアの向上を世界にもたらしうる、公正な基準に修正をすることを要望しました。
この要望書は2020年12月24日(日本時間)に、OIE本部(フランス、パリ:The Director General, Dr. Monique Eloit)およびOIEの各地域担当者に送付されました。
要望書:https://bit.ly/3ro0a6p
国内消費者や、企業の中でも日本の畜産動物のアニマルウェルフェアの遅れに気が付き、関心が高まっています。犬や猫の保護活動を行ってきた新潟動物ネットワークも、翌25日にOIEに見直しを求める要望書を送付し、市民にもOIEへの意見を求めています。
鶏卵生産大手のアキタフーズの元代表が、元農林水産大臣に賄賂を渡したとされる疑惑が日々濃厚になっています。このときの目的がOIE(国際獣疫事務局)で策定中の採卵鶏のアニマルウェルフェア規約に対する日本のコメントを、業界に配慮してアニマルウェルフェアを下げる目的であったことが報道により明らかにされてきました。
この採卵鶏のアニマルウェルフェア規約のドラフト案を巡って、私達は科学に基づいたアニマルウェルフェアを規定することを求め、日本政府の動向を見守ってきました。しかし、日本政府は頑なに消費者の意見を反映せず、日本の養鶏業界の現状に合わせてアニマルウェルフェアを下げるための意見を出し続けていました。
この日本の意見は、一部がそのままドラフト案に採用されています。
OIEのアニマルウェルフェア規約は、科学的エビデンスに基づき、世界中のアニマルウェルフェアを向上させることを目的にしています。高いアニマルウェルフェアを実現することは、動物の健康だけでなく、人や環境の健康、持続可能性にも直結しているため、特に日本のような畜産動物のアニマルウェルフェアが著しく低い国でこそ、重要なことです。
強制力のある規約ではありませんが、社会の持続可能性を左右する重要な規約です。その議論の中に、現状を維持したいとする日本の養鶏業界の賄賂が含まれたことは、大変残念なことです。
日本のコメントやOIE総会での意見は不正により歪められた疑惑があります。このような意見をもとに調整された基準は、その正当性や妥当性にも疑問が生じ、世界中の人々の信頼を得ることは難しくなります。当該規約は2021年5月のOIE総会で採択される予定ですが、OIEは、その規約が歪められた可能性があることを認識し、それを正す必要があります。
世界はケージで飼育することをやめ平飼いに切り替えるというケージフリーの飼育に変わっていっています。一部良いものがあるという考え方ではなく、すべて最低限ケージフリーであるという社会に向かっていっています。
アニマルライツセンターは、動物たちの現状を明らかにし、アニマルウェルフェア向上とアニマルライツの普及を行う日本の動物保護団体。主に、卵や肉などの食べ物として扱われる動物、毛皮やアンゴラなど衣類素材として扱われる動物を守るための活動や、日本全国のアニマルライツの行動ネットワークづくり、エシカル消費の推進を行っています。2005年から開始した毛皮反対キャンペーンでは、10年間で日本の毛皮消費量を80%減少させた実績があります。
ザ·ヒューメイン·リーグ·ジャパンは2017年4月1日発足以来、日本、アジア、そして世界に影響力をもつ大手食品製造企業、ホスピタリティ企業、外食企業、フードコントラクト企業など大手企業を対象に、一羽でも多くめん鶏をケージから解放するために「平飼い卵調達」の政策を導入していただく活動を続けています。
OWAは、世界中の鶏の虐待を終わらせるためのキャンペーンに焦点を当てた動物保護団体の世界的な連合です。この連合は2016年に The Humane League によって設立され、84のメンバー団体が世界最大の企業の動物の扱い方を変え、企業の動物福祉ポリシーの新しい基準をすべての主要市場で、そして世界的に設定することで、グローバルな力に成長しました。