この度、自社で平飼い養鶏をしながら、お菓子などの製造・販売をされているお店2店舗が、アニマルライツセンターの呼びかけに対し、ケージフリー宣言をしてくださいました。
ケージフリー宣言とは、自社で使用している卵を、ケージフリー(平飼いや放牧)のものに切り替える、または、現在すでにケージフリーの卵を使っている店では、これからもずっとケージフリーの卵を使い続けると消費者に約束することです。
shirado farms (沖縄)
沖縄県にあるshirado farmsは、平飼い養鶏を営みながら、自社の有精卵を使用した自家製プリンを販売しているお店です。
snsで平飼い養鶏の写真と一緒に、アニマルウェルフェアについての発信をされていたので、ARCが問い合せをしたところ、プリンに使用している卵は全て自家養鶏の平飼い卵であると回答をくださり、ケージフリー運動にも快く賛同していただきました。
shirado farmsは家族経営をされているお店です。養鶏は約18年前にご両親が始められ、娘さんが手作りプリンを作っています。小規模の平飼い養鶏場のため、利益をだすことが難しく、何度もやめようかと話し合いをしたこともあるそうです。
しかし、鶏の採卵率をあげるために使用される市販の配合飼料はできる限り控え、自家製飼料を使うことにこだわっていたところ、卵がおいしいとお客さんの間で評判が広がりました。ご両親は鶏に愛情を持って接しながら、今日まで養鶏を続けて来られたそうです。
shirado farmsは、今後プリン以外の商品の開発も進めていくとお話しくださいました。
shirado farmsの鶏
自然放牧場 お多福たまご(鹿児島)
鶏が「鶏らしく生きる」を実現せている自然放牧場お多福たまごは、その取り組みが評価され、環境省主催の『グッドライフアワード2018』にて、『エシカル賞』を受賞しました。こちらの養鶏場では、お多福たまごだけを使用した「たまごパン」や「走る鶏のシュークリーム」などの販売を行っています。
お多福卵では、人間都合ではなく、できる限り鶏都合で、鶏が本来の暮らしに近い形で過ごせるように、早朝から日没まで鶏たちを雑木林で放し飼いしています。
鶏たちに美味しいご飯を食べさせてあげたい、という理由から、市販の餌ではなく、原料を厳選した手作りの飼料だけを与えているそうです。
自然養鶏について、担当者の方が以下のコメントをしてくださいました。
人間が美味しいものを食べて喜び、旅行に行って、色々な体験をして喜ぶのと同じように、鶏たちにも自由に幸せを味わってもらいたい。美味しいものを食べて、できるだけストレスフリーにのびのびと育ってほしい。そうして育った鶏から、幸せの卵が生まれるのだと思います。
昨今、”SDGs”や”エシカル”・”サステイナブル”という言葉が日常的に聞かれるようになり、人々の関心が高まるにつれ、アニマルウェルフェアの認識も徐々に広がりを見せています。
新聞やネットニュースなどでアニマルウェルフェアやバタリーケージ飼育の問題について、取り上げられることも多くなり、虐待的な飼育方法で育ったバタリーケージの卵よりも、自然に近い形で育った平飼いや放牧の卵を好んで選ぶ人が増えてきています。
最近では、内閣府の食堂が使用する卵を全て、ケージフリーの卵に切り替えたことや、KFCやピザハット、タコベルなどのブランドを展開している大手チェーンYum!ブランズ社がケージフリー宣言をしたことが、日本でも大変話題となりました。
国際社会では禁止の方向に向かっているケージ飼育を、日本では未だに9割以上の農家が採用しています。しかし、ケージ飼育の問題が広く認知され始めている今、採卵鶏の飼育方法を見直す時がきているのではないでしょうか。
何より、多くの消費者が、動物の尊厳を無視した非人道的であるケージ飼育を望んでいないことを企業が理解することが大切であると考えます。
ケージフリー宣言をした企業の数は世界で2100件以上(2021/6時点)、国内だけでも130件以上あり、今後も増えていくと予想されます。
あなたのお店、会社も世界の「脱ケージ飼育」の潮流にのって、ケージフリーへの切り替えを始めませんか?
日本のケージ飼育の鶏