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畜産場の内側からのSOS:鶏たちの最後の一日

畜産場の内側からのSOS:鶏たちの最後の一日

採卵鶏たちは、ケージの中で450~600日程度卵をひたすら奪われ続けた後、ケージから引っ張り出され、コンテナに詰め込まれ、屠殺場(食鳥処理場)に送られます。採卵鶏という名前から、廃鶏、または成鶏という名前に変わり、肉にされるために殺されるのです。

一つの鶏舎といえど、ケージ飼育の場合、小さな養鶏場でも数万、大きな養鶏場になれば十数万羽と詰め込まれています。この鶏をケージから引っ張り出してコンテナに入れる労働は、大変厳しいものです。当然、動物にとってもものすごい恐怖と苦痛の瞬間です。鶏たちはこの瞬間に骨折し、脱臼し、死亡し、恐怖とトラウマで輸送中に精神的な苦悩で死亡することもあるのです。

この労働に従事した方が情報提供してくれました。

捕鳥作業に携わってみて・・・

雪が少し残っていたので春の終わりの頃。

働いたのは、俗に言うバタリーゲージの鶏舎。
下の鶏たちは埃が舞ったりした時に逃げ場が無いから可哀想だと思った。
中は温かみのある色の電気が付いていた。
明るすぎず暗すぎもしない。
お日様は当たらない。
入り口と出口に巨大で汚い換気扇がありずっと回っていた。

ケージがたくさん連なっていた。この中に何羽の鶏がいるのだろうと思った。

従業員は自分含めて6人か7人。
コンテナにに12~13羽を入れるよう言われた。
ぱっと見て、「エッ?入らないでしょう!??」と思った。
作業をしている人はみんな手慣れた様子で、次々に鶏の脚を掴んで中に入れていた。
というより、軽く投げ入れて詰め込んでいたというほうが正しい。
(右手に2羽、左手に2羽持っている人もいた)

その光景にびっくりし、とはいえ色々一から説明してもらった手前「出来ません」とは言えず、今日は耐えようと思い直して鶏を抱っこしてゆっくり入れた。
もちろん12~3羽入るはずもなく、あんまり詰めるとかわいそうだと思い戸を閉めようとしたら、誰かが追加して私のやったケージに鶏を何羽か詰めているのを見た。
せわしなかったからか、私の気持ちを汲んだのか分からないが、それについて責められたり何か言われることは無かった。

中の鶏たちはみんな窮屈そうで、中には失禁している子もいた。
誰かが下痢を垂れ流して、すぐ下のケージにいた鶏にべったりとかかっていたのが強く脳裏に焼き付いている。
1羽じゃない、何羽もそういう光景を見た。
口から泡を吹いている子も何羽かいた。

何羽か脱走する鶏もいた。
みんな羽を広げて飛ぼうとするが、歩くのがやっとという様子だった。
逃げた鶏は作業が落ち着いたあとで、長い鉤のついた金属の棒で掻き出されて捕らえられていた。
私には出来なかったのでただそれを見ているしか無かった。
中には死んでいる鶏もいて、ベテランにみえた作業員が長靴を履いた足で端っこに半ば蹴るようにして追いやっていたのが衝撃的だった。

12~3羽入った鶏のケージは、キャスターの付いた台車にどんどんと高く積み上げられ,
積み上がったものから順次、2トントラックの荷室に運ばれていった。

ひとつケージの入れ替えが終わったら、次の軽鶏舎へ。
無数の鶏の、上下左右から私を見つめる目、目、目。
どの子も黙っていた。それがとても怖くて
とってもじゃないけどキョロキョロすることなんて出来ず、ごめんなさいと何度も小さな声で言いながら、なるべく鶏たちを見ないようにただまっすぐ前を見て通路を歩いた。

どこかへ行ったトラックがまた戻ってくるまで、ケージを載せたキャスターごとそのままユニットに残した鶏もいた。
鶏が文字通りびっちり入ったキャスターが上から下までずらりと並んでいる光景は異様で、
キャスターとキャスターの間を人がひとりやっと入るくらいの通路を開けて、作業員の方たちはアレコレ指示をしながらどこにどれくらい入れられるか等の話をしていた。
無数の鶏の、上下左右から私を見つめる目、目、目。
どの子も黙っていた。それがとても怖くて
とってもじゃないけどキョロキョロすることなんて出来ず、ごめんなさいと何度も小さな声で言いながら、なるべく鶏たちを見ないようにただまっすぐ前を見て通路を歩いた。

お昼休憩中、実は一緒に働いていた人のうち2人か3人だかが海外からの技能実習生だということが分かった。

こんな残酷なことを日本はしているのだと勉強して何になるというのだろう…?
技能実習生なんて建前も建前で、人手不足(若しくは鶏過多?)の誰もやりたがらない仕事を自国より物価の安い国から来た人間にやらせているだけじゃないか、そう感じた。

その後は鶏たちの元いたバタリーゲージの掃除をした。
私は金網の下、受け皿の汚れを下に落として、ほうきで掃いた。
固まった糞や、鶏の抜け毛、割れてつぶれた卵が固まったようなものもあった。
鶏たちの姿がないので気楽だった分、こんなに狭いところにいたのかと愕然とした。

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