アニマルライツセンターでは、2019年8月1日~9月31日までの期間、全国24都道府県のボランティア77名の協力を得て、270店舗のアニマルウェルフェア、および植物性たんぱく質への対応状況を調査しました。2015年にNPO法人環境市民が主催しアニマルライツセンターを含む複数の団体が参加して行った「グリーンコンシューマー全国一斉店舗調査2015」では、平飼い又は放牧と書かれた卵が売られているスーパーマーケットは22%、「放し飼い」又は「放牧」と表示された牛乳の販売があるスーパーマーケットは16%でした。2019年、アニマルウェルフェアという概念は随分広がったように感じていますが、実際に売り場に反映されるようになっているのかどうかこそが、今後の生産形態の変化につながる問題です。
放牧又は平飼いの卵を置くスーパーマーケットの割合は、2015年22%から、2019年51%に増加しました。平飼い卵が置かれている138店舗の内、40店舗は2商品以上置かれていました(2商品17店、3商品16店、4商品以上7店)。
放牧・平飼いの卵が売られている 138店 51.11%
うち、放牧卵が売られている 27店 10.00%
うち、平飼い卵が売られている133店 49.26%
放牧・平飼いの卵が売られていない 132 店 48.89%
本来ニワトリは1日1万回以上地面を突き、とまり木で眠り、巣に隠れて卵を産み、砂浴びで寄生虫や汚れを落とし、日光浴をし、運動をして心身の健康を保つ。しかし、いま日本の採卵養鶏場の92%は、バタリーケージというほぼ身動きが取れないケージに閉じ込めニワトリを飼育している。ニワトリの骨は放牧と比較すると3分の1の薄さになり、農薬を全身にかけて寄生虫を落とす。ケージ飼育は、アニマルウェルフェアが著しく低いことは明らかである。
タイや台湾や韓国などアジア諸国も含め、世界はケージ飼育が残酷で、ニワトリを苦しめ、不健康にするという理由のため、また食の安全のためにも、ケージフリー、つまり平飼いまたは放牧の卵に移行している。
国内でもスターバックスやコストコ、ユニリーバなど、ケージフリーに移行しているが、国内企業の動きは少なく、世界から遅れを取っていると言える。
2015年の調査時の16%から半減し、8.89%のスーパーマーケットしか放牧牛乳を取り扱っていませんでした。その多くは高級志向のスーパーに置かれていました。
放牧の牛乳が売られている 24店 8.89%
放牧の牛乳が売られていない 246店 91.11%
日本の酪農場の73%は、牛を短い鎖やロープ、またはスタンチョンで拘束している。このつなぎ飼育は牛を心も健康も追い詰める方法であり、日本では多いものの海外ではほとんど見られないアニマルウェルフェアが著しく低い飼育方法だ。今日本では放牧の牛乳、拘束飼育をしていない牛乳を消費者が欲しても、購入は容易ではない。放牧農家、または拘束しない飼育をしている農家があったとしても、集乳した時点で混合され、消費者が選ぶことができない状況にある。
【調査概要】
調査主体:認定NPO法人アニマルライツセンター
調査方法:ボランティア77名による訪問調査
調査店舗数:全国24都道府県 270店舗
※卵と牛乳以外に、肉売り場でのアニマルウェルフェアの状況も調査しましたが、アニマルウェルフェアに配慮された肉ほぼ売られていないという結果は明らかであったものの、公表を控えます。地鶏が一部売られていたようですが、単なる銘柄鶏を誤って地鶏と認識してしまっていた方が多数あり、有意な結果とは言えないと判断したためです。