WATT Global Media が毎年行っている Top Egg Company 調査、2021年度はアメリカの鶏卵生産者トップ37社を調査した1。
この調査によると、鶏卵生産業は2020年に、390万羽分のケージ鶏舎をケージフリー(平飼い)に変換した。今年2021年には、420万羽分をケージフリーに変換する予定だということも示した。今後これだけの分の鶏が一生ケージの運命から逃れるということだ。
しかし、同調査によると、2020年に435万羽分のケージ鶏舎も新たに建設されたそうだ。ケージフリーへの変換がないよりはもちろん約400万羽分ましだが、卵の需要が減らない限り、結局ケージで苦しむ鶏の合計数はあまり変わっていない。
同調査によると、2030年の時点では3分の2の採卵鶏が平飼いか放し飼いになっているだろうと生産者たち自身は推測している。しかし、それでは市場ニーズは賄えない。USDA(米国農務省)によると、2030年ではなく2026年までには米国の3分の2(約66%)の採卵鶏がケージフリーでなければ予想需要が満たされないと計算している。生産者の予測よりも遥かに移行が加速する見込みだということだ。そのケージフリーへの移行を達成できなければ、卵を使わないという選択肢が急増している中で、市場を失うことになりかねない。
ケージフリー移行への最大の動機は、州のケージ規制、消費者の需要、そして企業のケージフリー宣言だそうだ。
自治体レベルでケージ飼育の禁止の見込みがない日本では、消費者の消費行動と企業のケージフリーコミットメントが更に重要であろう。
1. https://www.wattagnet.com/articles/41894-survey-cage-free-conversions-fewer-total-hens