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ケージフリーとはなにか。企業が持つべきケージフリーポリシーの定義

世界中の企業が”ケージフリー”宣言をしています。私達も参画しているOpen Wing Allianceがその動向と進捗を把握しているケージフリー宣言をした企業の数は世界で1815件(2020/2時点)に上ります。欧米に限らず、南米やアフリカ、アジア地域の企業が含まれています。
2016年頃までは私達もケージフリー宣言が出るたびに大喜びしていたものが、いまや数の把握で精一杯となるほどです。毎日のようにどこかの地域からケージフリー宣言が聞かれるような状況になっています。

日本でも外資系企業やホテルを中心にケージフリーを表明している企業が出てきています。

将来ケージフリーにするという宣言の重要性

将来(例えば2025年や2027年までに)ケージフリーの卵に切り替えるという宣言が”今”出すことに、大きな意味があります。

なぜなら、企業は価格の上昇を突然吸収することはできず、またそれは消費者も同様です。意識の向上とともに卵の価値を知り、ケージフリーの価値を知るものであるからです。

そして最も重要なことは、生産者への移行の期間を与えることにあります。生産者は将来の需要が見込まれなければ、大掛かりな鶏舎システムを費用をかけて(たとえ補助金があったとしても!)取り替えていくことはできません。その決断は自分の身に当てはめてみれば難しいことがわかるはずです。だからこそ、何年までにはという期限を決めて、今のケージ卵に費やしている費用をケージフリーに費やすことを約束しなくてはならないのです。

消費者との約束であり、生産者との約束です。

ケージフリーポリシーとは

ケージフリーとは、採卵鶏を平飼い、放し飼いすることです。エイビアリーシステムによる鶏舎も含まれます。または放牧や平飼いの規定がある有機認証を得ている卵も含まれますが、有機であるかどうかはケージフリーポリシーとは無関係です。餌になにかを含有しているかどうかといったことも無関係ですし、鶏舎の周辺の環境が自然に囲まれているかどうかも無関係です。

使用する卵の鶏が自由に地面を歩き、羽を広げ、ケージに閉じ込められていないシステム飼育されていること、約束することです。

いくつかの段階に分けられますが、その全てが消費者にとってメリットが有り、生産者のアニマルウェルフェア対策を応援するものになります。

下記表のケージフリーのレベルを確認し、目指すケージフリーの範囲を決め、移行期限を決めて、それを公表(自社又はアニマルライツセンターのサイトにおいて公表)することが、世界中の企業が行っているケージフリー宣言です。

アニマルライツセンターで規定するケージフリーの規定

 

自社で使用する殻付き卵

自社で使用する加工卵

自社で製造する料理や製品の原材料に含まれる卵(調味料に含まれる卵など)

自社が販売する他社製品に原材料として含まれる卵

 

例:スーパーが売る殻付き卵

例:カフェで使う殻付きの卵

例:料理教室で使う殻付きの卵

例:アイスメーカーが使う粉卵

例:寿司屋が使う薄焼き卵状の加工卵

例:弁当屋で使われるロールエッグ

例:レストランで使うマヨネーズ

例:自社で製造するマヨネーズに使う卵由来の添加物

例:スーパーで売られる他社製造のお菓子

例:学校の売店で売っているパンに含まれる卵

完全なケージフリー

自社製品のケージフリー

 

加工卵を含むケージフリー

  

殻付き卵のケージフリー

   

「完全なケージフリー」レベルは目指してほしいとは思いますが日本では現実的ではないように捉えてしまう担当者も多いことでしょう。業態にもよりますが現段階では私達もそう感じます。
アニマルライツセンターは【自社製品のケージフリー】のレベルを強く推奨します。消費者にわかりやすいためです。
とはいえ、【殻付き卵のケージフリー】や【加工卵を含むケージフリー】も、範囲を明確にすることで、同様に消費者にわかりやすく知らせることは十分に可能ですので推奨します。

ケージフリーまで行かないけれど大きな一歩

また、下記のような取り組みも、暴力のない社会を作るための大きな一歩として、素晴らしい取り組みであると言えます。

ケージフリーを目指すことを明言

ケージフリーではありませんが、大きな1歩。
いつまでという時期の言及をせずに、将来ケージフリーに切り替えていくことを明言する。

ケージフリー商品を1商品以上導入

ケージフリーではありませんが、大きな1歩。
ケージフリーの商品やメニューを導入し、それを発表する。

ケージフリーマーク

ケージフリーに移行すること(またはすでに移行したこと)を企業が表明する際、それを表す決まったマークやロゴはありませんが、アニマルライツセンターでは以下のロゴを配布しています。ケージフリーを宣言した企業はこれを自由に使用することが可能です。

自社がケージフリーである、またはケージフリー宣言をすると決定した場合、ご連絡ください。(TEL:03-3770-0720/FAX:03-4540-4049/animalrightsあっとまーくarcj.org)

参考:どんな卵を選べばいいの?より

卵を選ぶ基準をわかりやすく表にしました。

 

ケージ卵

ケージフリー卵

飼育形態→

無記載

滋養・自然・地卵・餌へのこだわり・栄養素等の表記あり

平飼い
(英:Barn)

放し飼い(放牧)
(英:Free-range)

有機JAS認証(英:Orrganic)

判断ポイント

鶏はケージに閉じ込めらている?

YES

YES

NO

NO

NO

止まり木ある?

NO

NO

MAYBE

確認必要

YES

YES

巣がある?

NO

NO

YES

YES

YES

羽ばたくスペースがある?

NO

NO

YES

YES

YES

屋外に出られる?

NO

NO

NO

YES

YES

クチバシ切られる?

YES

YES

MAYBE

切っていない養鶏場もあるため確認必要

MAYBE

切っていない養鶏場もあるため確認必要

MAYBE

切っていない養鶏場もあるため確認必要

証明書がある?

NO

NO

NO

NO

YES

広さの規定ある?

NO

NO

NO

YES

YES

オスヒヨコは殺される?

YES

YES

YES

YES

(国内で2軒例外あり)

YES

福祉的なと殺方法(ガス式)がされる?

NO

NO

NO

NO

(国内で2軒例外あり(終生飼養))

NO

 

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