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2019年8月10日「Dia do Fogo=火の日」と言われるこの日にアマゾンの森林でたくさんの火災が北部の生産者による(と言われる)人為的に発生し一気に広がった。

火の日に放火された土地は1年後に牧草地に変わり、牛が放牧され始めているという。そして2019年の放火犯の5%しか罰せられていないという*1。違法行為が野放しであることは、今年も放火が繰り返される理由の一つだろう。

違法伐採からの畜産、そしておそらく数年後に大豆畑やとうもろくし畑にかわる。一部は劣化したまま放置される。飼料のための農業従事者は木を一本も切らずに新しい農地を得られる仕組みになっている。

一部の木材⇒牛⇒鶏や豚の飼料

アマゾンの開発は、多くの場合まず道が作られ、商品価値のある木(マホガニーやイペ、アマゾンジャラなど)を切りだす。そしていらない木は燃やし、このとき森林火災となる。これはいわゆる焼き畑で、焼き跡で牧草を育て、牛を放牧する。牧草地は一定期間で劣化する。牛はさらに奥地に移動していく。劣化した土地は、第3者に売られる。そして多くが大豆が作られる。休耕のためにとうもろこしもつくられる。これらの大豆ととうもろこしは世界中の畜産場で飼育されている豚と鶏と牛の餌になる。また一部の土地は劣化したまま放棄される。

もうずっとこれを繰り返している。

Google Mapでその証拠を見つけることが誰でも簡単にできる。

アマゾンでは2006年に、森林を伐採して新規開拓した畑で作られた大豆を買い取らないという大豆モラトリアムが結ばれたが、この場合は新規開拓したものではなく、どうやら当てはまらないようだ。
牛業者と大豆業者が同一である場合もあり、牛が飼料生産の隠れ蓑になっているようなものだ。一度アマゾンを燃やせば牛は売れるは、土地は売れるは、飼料も売れ、その分儲けが膨らんでいくわけだ。牛だけであれば、または価値ある木材だけであれば、ここまで破壊は進まないのではないだろうか。

飼料用大豆はここだけで作られているわけではない。その周辺のサバンナ地域の自然も大量破壊を続けている。なぜそんなに大豆が売れるのかといえば、畜産動物を700億頭も飼育しているからだ。なぜそんなに牛を放牧するのかといえば、ブラジルには常に2億頭以上の牛が居て、それだけ牛肉が売れていくからだ。

2020年はもっとひどい

2020年のアマゾンでの火災が2019年を上回っているという。

アマゾンの火災は2019年の同時期と比較して今年の1月からの9か月で13%増加

過去10年間で最悪の火災期間を経験している

9月、衛星は世界最大の熱帯雨林で32,017件の火災を記録、2019年の同じ月に比べて61%増加

日本では2020年にはあまり報道されないが、2019年よりひどい状況になっているそうだ。*2

すでに手遅れにも見える。

Sienceに2020年9月に発表された研究*3では、森林が人間の活動により分断され、断片化し、低い植生(下層植生)の火事などにより劣化したブラジルのアマゾンの森林の総面積は、森林破壊された総面積よりも広くなっているという。これはアマゾン開発の最初に行われる選択的伐採(イペやマホガニーなどの材木目的の伐採)も劣化の原因の一つで、選択的伐採が起きた地域では下層植生の火事が自然に起きることも多々あるという。一連の産業を停止しなくてはならない、どの工程も、残してはならないだろう。

専門家はアマゾンの生態学的転換点が30年以内に訪れると警告している*4。

生態学的転換点とはなにか、それは熱帯雨林が、破壊によって劣化版サバンナに変わるときのことだ。自然にあるサバンナは熱帯雨林にも劣らないほど生態系が豊かで水を保持する重要な地域であるが、アマゾンが変わっていくのは劣化版サバンナであり、本来のサバンナが持つような豊かさはなく、ただ乾燥していくということだ。世界の気候や気象パターンに大きな影響を与える可能性がある。これは作物が作れない農地が増えてしまう可能性もあるだろう。そうすればよりアマゾンの開発に進むのだろう、特に今の政権下では。

日本の功罪

日本はブラジルから直接は牛肉を輸入していない。しかしアマゾンの食肉加工のトレーサビリティは管理されているわけではなく、経由地でも挟めば怪しい肉はいくらでもあるのではないかと思わず疑ってしまう。だって、実際マグロなどはそうやって違法なものが日本に入ってきていることは証明されているから・・・金のためなら何でもやってしまうという企業や人々はいくらでもいる。動物の問題や環境の問題よりも金儲けを優先する企業は実際にいくらでもいる、というか日本の大手企業のほとんどがそうだ。企業を信頼しているのであれば、それは目が曇っているとしか言いようがない。

しかしたとえ、アマゾンで放牧された牛肉を日本が輸入していなかったとしても、鶏肉や豚肉を相当量輸入し、大豆粕も輸入し、かつ飼料自給率(濃厚飼料)13%の日本には十分大きな責任がある。

ブラジルで栽培された大豆粕はブラジル、中国、ヨーロッパ、タイ、日本、パキスタンなどに輸出されている。これはこの記事でも取り上げているとおりだ。その大豆を使って鶏肉を約1,600,000,000kg、豚肉を902,000,000kg生産している。自給率はたった鶏肉8%と豚肉6%にすぎない(飼料を含めた自給率であり国産率とは別)。肉だけでなく卵も同様だ。卵の国産率は相当高いが、実際の自給率は10%にすぎず、やはり多量の濃厚飼料(とうもろこしや大豆)が少量の卵にかえられているに過ぎない。

そして、大豆を使って育てた鶏肉を、ブラジルから401,853,105kg、タイから139,061,699kg輸入し、同じくその大豆も使って育てた豚肉をヨーロッパとブラジルから336,709,821kg輸入している*5。

大豆だけではない、飼料で多くを占めるとうもろこしも、ブラジルからの輸入が急増しているところである。これはまた別の機会に解説する。

需要がある限り、つまり飼料が必要とされる限りは、どこかの自然が消える。
ブラジルがもし政権が変わって厳しく取り締まられるようになれば、別のたとえばボリビアやパラグアイ、アフリカ諸国などで大豆ととうもろこしを作るための森林開発を行うであろう。そうせざるを得ないのだ。なぞなら気候変動やバイオームの破壊などが遠く影響して農地はどんどん劣化していっているから。

できることは唯一つ。食事から畜産物を取り除くことだ。SDGs、エコ、サステナビリティ、エシカルいろんな言葉が飛び交う社会になったが、毎日3回も訪れる食事の内容をかけずして、それは語れないだろう。とても簡単なことだ。完璧でなくても良い、3回の食事を見直してみてほしい。

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アマゾンの開発の様子

*1 https://www.brasildefato.com.br/2020/08/10/dia-do-fogo-um-ano-depois-so-5-dos-culpados-foram-punidos
*2 https://www.terra.com.br/noticias/ciencia/sustentabilidade/amazonia-tem-piores-queimadas-em-uma-decada-mostram-numeros,66bd736390e06cf6067092b1c093a067u29zctoi.html
https://www.dw.com/pt-br/um-ano-ap%C3%B3s-dia-do-fogo-amaz%C3%B4nia-segue-em-chamas/a-54519250
https://www.bbc.com/portuguese/brasil-49453037
*3 https://science.sciencemag.org/content/369/6509/1378
*4 https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S2590332219300818
*5 財務省貿易統計 2019年中の合計

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