LOADING

Type to search

環境大臣「先頭に立ってこの問題に取り組む」:衆議院環境委員会

2018年12月4日、衆議院環境委員会で畜産動物のアニマルウェルフェアについての質問が行われました。質問をしたのはこれまでも2度の環境委員会(2017年12月2018年6月)で畜産動物のアニマルウェルフェアの重要性を質問してくださっている堀越啓仁議員。

まず堀越議員は、動物愛護法改正に当たり、11月の農林水産委員会でも質問された国際獣疫事務局(OIE)のPVS評価(獣医サービス能力評価)をうけ、新しく大臣になった原田環境大臣の意気込みを質問された

これに対し、原田大臣は

 動物の育て方、飼養について必要な健康の管理や、動物の種類、習性等を考慮した飼養環境の確保等を基本原則に定めております。こうした動物の取扱いの考え方は、産業動物、これは家畜のことのようでありますけれども、産業動物を含む動物の飼養、育て方において十分に尊重されるべきものだと考えております。
環境省では、産業動物の適正な取扱いを確保するために、動物愛護管理法に基づき、飼養者等が遵守すべき産業動物の飼養及び保管に関する基準を定め、農水省、厚生労働省と連携して、衛生管理や安全の保持、導入、輸送に当たっての配慮、危害防止などの実現に努めているところでございます。
引き続き、関係省庁との連携を強化して、産業動物の適正な取扱いが促進されるよう努めてまいります。
もとより、委員がただいま本当に熱く現状について語られたところでありまして、改めて、今までどういうふうな扱いになっているか、私自身もしっかり勉強して、しっかり言うべきことは言う、本当にその先頭に立ってこの問題に取り組むということを決意させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

と、力強い答弁をされた。

また、同じくPVS評価で指摘されている農林水産省と厚生労働省、環境省3省の連携について、連絡会議を行っているその内容について質問された。しかし、これに対しては、内容のある回答ではなく、この会議が効果的に機能する見込みが現状薄いことを再確認するものであった。

 今後とも、この三省での定期的な打合せを実施することにより情報共有を進めて、連携して対応してまいりたいと考えております。

と答弁しているが、現場では全く連携は取れていないし、動物愛護、アニマルウェルフェアについての指導が現場でなされることは一切ない。
畜産部局はその権限はないとすら答える。このまま放置してよいのか。アニマルウェルフェアは国際的な課題であり、また防疫にも深くつながっている。動物の適正な飼育について責任があるのは環境省だ。かわいい動物を守ればよいのだということを省庁が重視していつづけるようでは、日本の動物の適正飼育は達成されることはないし、人へのリスクも拡大していくだろう。

強い思いをお話してくださった堀越議員の答弁全文(特に最後)をぜひ読んでいただきたい。

議事録

○堀越委員

ありがとうございます。
次に、これまで当委員会でたびたび質問させていただきました、畜産動物に係るアニマルウエルフェアについて、動物愛護管理法の改正を控えた今、所管の新たなトップを務められる原田大臣にお伺いをさせていただければと思います。

二〇一六年、日本が畜産物の輸出の拡大のために依頼して行われました、国際獣疫事務局、OIEのPVS調査の結果がことしの夏に出されました。百七十九ページに及ぶ調査の中で、環境省が見るべきアニマルウエルフェアに関しましては、ほかの項目よりも低い、五段階評価で三の評価となっておりました。

アニマルウエルフェアに関する勧告は六点。そのうちの四点は、畜産動物の福祉法、つまり動物愛護管理法にかかわる勧告でございます。

まず、第一の勧告で、OIE動物福祉コードを見直して、内容を法律や基準、政策文書に組み込むことが指摘されていますが、現在、動愛法の中に畜産動物の条項がなく、基準の遵守義務もなく、また、基準も非常に簡易で、国際基準にも到底及ばない、A4用紙たった一枚の環境省告示、産業動物の飼養及び保管に関する基準があるだけの状況でございます。

そして次に、二つ目の勧告は、動物福祉、特に畜産動物の福祉において、環境省、農水省、厚生労働省とのさらなる正式協力を発展させ、法律、政策及び履行に結びつけるための調整に着手することとされております。

現在、農水省、厚生労働省、環境省の関係三省で、非公式ではあります、そして不定期ではあります、共有会議を開いているというのは承知をさせていただいておりますが、三省はそれぞれ異なる目的を持っているというふうに思っております。農水省は例えば畜産の振興、厚生労働省は衛生、そして環境省は適正な動物の愛護と管理であると認識しております。各省それぞれの目的が一つにならなければ、国際レベルに日本のアニマルウエルフェアを引き上げるということはやはりできないのではないかなというふうに思っております。

今回のPVS評価を見ても、また、法制度のあり方又は畜産や屠畜場の現状を見ても、適切な動物の愛護と管理、つまりアニマルウエルフェアの部分がすっぽりと抜け落ちているという状況であると思います。

私は、今、農林水産委員会にも属させていただいておりますので、この件についても各省庁にお伺いをするんですが、厚生労働省は、これまでの委員会の答弁の中でも、福祉は環境省の動物愛護管理法だと明言されております。そして、農水省は、外郭団体が作成したアニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針を普及させているものの、そこに強制力というものはありません。

そこで、これはもうつまり、抜け落ちているアニマルウエルフェアの部分については、リードする義務があるのはやはり環境省だということは、私はもう明白だというふうに思っております。

これまでも委員会で、今の畜産の屠畜の現場あるいは輸送に係る現場、とても目も当てられないような、国際状況の中ではとても受け入れがたい、そういう状況を幾つか指摘をさせていただきましたが、やはりここは環境省が強いリーダーシップを発揮して主体的に動く必要がありますが、やはり残念ながら今はそういった気配がないなというのが私の見受けられるところでございます。

環境省は、産業動物の福祉について責任を持って、今回の、私たちが輸出を拡大するためにお願いして出されている勧告ですから、OIEから出されている勧告を真摯に受けとめて、動物愛護管理法の中に産業動物についての条項をしっかり設けて、日本も、批准する国際基準を反映した、農場から輸送あるいは屠畜まで含んだこうした基準の策定が私は本当に必要だというふうに思っております。

そこで、今現在、これは議員立法ではありますが、超党派で取り組んでいる動物愛護管理法の改正作業が大詰めになっております。その所管たる環境省の姿勢や意向は大変重要で影響力があると思いますので、アニマルウエルフェアへの御認識も含め、動物愛護管理行政への姿勢、意気込みを原田大臣にお伺いいたしたいと思います。

○原田国務大臣

まず、自然系代議士から野生系代議士に脱皮しようとする堀越啓仁委員に心から、また熱い励ましまでいただいたところでありまして、心から感謝を申し上げます。さらに、笹川前政務官の言葉を引用しながら、本当に環境こそこれからの政治、経済、社会のキーワードだ、これは非常に大事なことで、改めて私も拳々服膺してこれから努力をしたいな、こう思っております。

動物愛護管理についての本当に熱い思いを丸々と聞かせていただいたところであります。

動物の育て方、飼養について必要な健康の管理や、動物の種類、習性等を考慮した飼養環境の確保等を基本原則に定めております。こうした動物の取扱いの考え方は、産業動物、これは家畜のことのようでありますけれども、産業動物を含む動物の飼養、育て方において十分に尊重されるべきものだと考えております。

環境省では、産業動物の適正な取扱いを確保するために、動物愛護管理法に基づき、飼養者等が遵守すべき産業動物の飼養及び保管に関する基準を定め、農水省、厚生労働省と連携して、衛生管理や安全の保持、導入、輸送に当たっての配慮、危害防止などの実現に努めているところでございます。

引き続き、関係省庁との連携を強化して、産業動物の適正な取扱いが促進されるよう努めてまいります。

もとより、委員がただいま本当に熱く現状について語られたところでありまして、改めて、今までどういうふうな扱いになっているか、私自身もしっかり勉強して、しっかり言うべきことは言う、本当にその先頭に立ってこの問題に取り組むということを決意させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○堀越委員

大臣、本当に心強い御答弁ありがとうございます。ぜひ御期待を申し上げたいと思います。

そして、動愛法は議員立法でございますので、委員の皆様、そして議員の皆様の広い御賛同が必要になってきますので、どうか広い御賛同をよろしくお願い申し上げます。

また、原田大臣にとりましては、犬が大変お好きだということを伺っておりますので、動物の命は犬だけではございません、猫だけでもございません、畜産動物にも愛を持ってぜひリーダーシップを発揮していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

さらに、OIEのPVS評価のアニマルウエルフェアに係る三つ目の勧告には、パブリックな報告や苦情が動物福祉事件の監視や調査により正式に利用されるためにはどのようにすればいいのかを検討し、コンパニオンアニマル、これはいわゆる日本でいうとペットのことを指しますが、コンパニオンアニマルと家畜の両方において福祉法をコミュニティーが遵守できるようにすることとあります。

これは、端的に言えば、第三者などから虐待などの報告、苦情が入った際に、これらをもとに、コンパニオンアニマルそれから畜産分野の、ともに罰則を設けるなどを動愛法に求められていることだというふうに考えております。

では、現状、畜産の現場はどうかと言われれば、やはり実際、広くはなかなか知られてはおりませんが、虐待の現場が起こっております。

例えば乳牛でいえば、短い鎖でつなぎ飼いをされる。そうすると、身動きが自由にとれませんので、牛の体重は七百キロありますから、簡単に関節炎やあるいは褥瘡というものができてしまいます。その褥瘡を更にカラスがつっつくという、とんでもないような状況があります。これは、結果的に虐待とやはり見られてしまうというふうに思っております。

さらに、立てなくなった鶏や牛が、生きた状況のままトラックに積み重ねられ、そして圧迫死する。そのままレンダリング業者に引き渡されていく。こういったことが是正されていないのは、やはりこの勧告のとおり、福祉法をコミュニティーが遵守できていない、そういう状況にあると言えると思います。

当然、全ての農場が虐待をしているわけではありません。いい取組をされている農場を私もたくさん知っています。私も実際、この目で見させてもいただきましたけれども、本当に動物たちが生き生きと生きながら、そしてそれを農場の人たちが適切に管理をされている、そういった農場もたくさん見受けられますが、やはりオリンピックを契機として、世界の目が今、日本に非常にこの畜産動物に関しても向いているところでありますので、そういういいところが埋もれてしまう、こういう危険性も私は考えております。

そして、更に言えば、私たち自身が生きていくために口にしているものが、肉や卵、牛乳が、苦しみ抜いた動物を殺生したものであるということは、やはり我々日本は、国際語にもなりましたけれども、いただきますという言葉が国際語になりました、そのいただきますというのは、あなたの命をいただきますということでございますので、その感謝の気持ちを持って接するというときに、やはり動物愛護の管理法というのは非常に重要な観点であるというふうに思っております。

そこで、今回の勧告を踏まえた上で、環境省は、産業動物福祉に反する虐待が適切に対応され、そして法律を遵守して虐待を防止できるようにするために、さきに申し上げた関係三省での共有会議、今現在行われていると思いますが、この中で何か検討されているのでしょうか。また、何も特に検討されていないということであれば、今後どのように関係三省での共有会議を改善し、発展させていく予定があるか、伺いたいと思います。

○正田政府参考人

お答えいたします。

産業動物の福祉についての関係省庁の協力につきましては、これまで、委員の御指摘ございましたように、産業動物の動物福祉に関する関係省庁連絡会議におきまして、産業動物のアニマルウエルフェアに係る最近の対応でございますとか動物愛護団体からの要望等について、農林水産省及び厚生労働省との間で共有を図ってきたところでございます。

これに加えまして、虐待を始めといたします動物愛護管理法に違反する事例等がございましたら、地方組織を含めて情報を共有し、連携して対応していく、こうしているところでございます。

今後とも、この三省での定期的な打合せを実施することにより情報共有を進めて、連携して対応してまいりたいと考えております。

○堀越委員

正田局長、ありがとうございました。そして、御昇進おめでとうございます。

局長には大変日ごろからお世話になっております。なかなか声がかけられない存在になってしまうのではないかと思って、ちょっと危惧をしておりますが、これからも引き続き御教授いただければと思います。

先ほどから、やはり動物愛護に関しては環境省がしっかり牽引していく、それが私は本当に必要なことだと思っております。

先ほど述べさせていただきましたけれども、このつなぎ飼い、動物の、牛のつなぎ飼いの問題は、これは、これだけではやはりアニマルウエルフェアというものは担保されません。これを改善していく、その勧告を出すのがやはり環境省の役割なのではないかなというふうに思っております。

動物は当然、先ほどお話をさせていただきましたが、体重が七百キロあります。そうすると、立ったままの状況、自由に動きがとれないと関節炎が起こる、こういう状況もありますし、実際、これが生産性にも直結してくるものでありまして、これは農水省の所管になりますが、乳牛の死廃事故というのは二四・三四%、二万一千八百六十六頭に上っているわけですね。つまり、これは、関節炎や股関節脱臼で、もういわゆる死廃させなければいけないというような状況に疾病としてなってしまう、そういう頭数が出てきているわけですね。

しかし、これを農水省は、牛が現在巨大化しているのでそういう状況が起きるというふうに言われているんですが、実際は、このアニマルウエルフェアという概念をしっかり飼育の中に盛り込むことによって、関節炎を防止し、そして栄養価の高い牛乳や肉がとれることになるというところにも直結することだと思います。これらをやはり牽引していくのが私は環境省の仕事だというふうに思っておりますので、私も中から全力で応援をさせていただきますので、どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。

Tags:

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *

暴力的または攻撃的な内容が含まれる場合は投稿できません

SHARE