飼料にほとんどが使われる南米産の大豆、その生産地における人権侵害については以前もこの記事で指摘したが、この人権侵害が増加してしまっている。
先住民族に対する暴力事件は増加の一途を辿っている。
2018年には110件
2019年には277件
2020年には304件
2020年の内訳は、権力の乱用(14);殺害の脅迫(17); さまざまな脅威(34); 殺人(182); 過失致死罪(16); 痛みを伴う傷害(8); 民族的文化的人種差別および差別(15); 殺人未遂(13); 性的暴力(5)となっている。*1
2020年の悪化は新型コロナウイルスの影響もある。先住民族にたいしても新型コロナウイルスは感染を広げ、またこれらの人々まで医療が届かなかったということも起きている。ウイルスの感染経路は、パンデミックの最中にこれらの地域で違法に行動し続けた侵略者によって持ち込まれたという。ボルソナロ政権は新型コロナウイルスに対する対策を軽視したことで知られるが、都市部に暮らす人々はともかく、先住民というこのグローバル経済の中に加わらずに生きたいと願う人達にまで、影響を及ぼしたのだ。
ブラジルのニュースサイトを見ると、日々、先住民族に対する殺人事件や暴行事件、権利獲得のための戦いの記事が出ている。先住民族は暴力や侵略を受けるだけでなく、教育が不足し、医療が不足し、ている。私達日本の人々には想像もできないほど、深刻で、悲惨な事が起きている。
昨日現大統領のボルソナロは再選を目指して大統領選に正式立候補を発表し選挙運動に入った。この数年で法律も変え、アマゾンをここ15年の中で最も多く破壊し、先住民族に対する暴力犯罪を見逃し続けた彼が再び再戦するのかどうか、それは畜産業、飼料生産の農場、アマゾンで行われる採掘業などの利害関係者、さらにはその業者と取引関係のある商社や飼料会社などの力の大きさにかかっているのかもしれない。
日本に輸入される大豆粕の32.4%は南米から来ている。国産の鶏肉、卵、豚肉にされる鶏や豚たちはこれらの大豆を食べさせられている。南米で起きている人権侵害の一端を、日本の人々は間違いなく担っている。理不尽に侵略され殺される人々の状況を悪化させることに加担するのかどうか、それはあなたの買い物にもかかっている。