2019年の貿易統計によると、フォアグラ(アヒル(カモ)とガチョウの脂肪質の肝臓)の輸入量は2018年と比較すると33%減少し、過去最低となったことがわかりました。
2019年の輸入量は71,744KGであり、羽数に換算すると(1羽あたりの脂肪質の肝臓を600gで計算)119,573羽分のフォアグラを輸入したことになります。
前年の2018年は105905KG、羽数に換算すると176,508でした。
56,945羽分が減少していることがわかります。日本の消費として有意に減少していることは明確です。
2016年には腫瘍輸入国のフランスで鳥インフルエンザが発生し、輸入量は2015年の140,706KGから83,707KGまで急激に減少しました。その間、ハンガリーからの輸入量が急増、またスペイン、ブルガリアからも業者はフォアグラを買い漁った様子が見られます。まさに、畜産物の危うさを露呈したわけです。
しかし、フォアグラがなくても誰も困らなかったのです。苦情があったなどという報道は何一つありませんでした。
2017年もその影響が尾を引いており、フランスからの輸入量は低く、ハンガリー、スペイン、ブルガリアに加え、業者はカナダとアメリカ合衆国からも輸入し、輸入量を135,194KGまで回復させました。しかし、一度要らないとわかったフォアグラは2018年も2019年も、減少しつづけたのです。
そして2016年の鳥インフルエンザによる打撃の年の輸入量をも下回りました。一時的な需要を賄ったスペインやブルガリア、カナダ、アメリカ合衆国からの輸入はゼロになりました。フランスからの輸入も鳥インフルエンザの影響を受ける前の2015年と比較すると3分の1の輸入量になっています。ハンガリーも同様です。
私達はこう考えます。
フォアグラは、もういらない。
消費者はエシカルではない、暴力を伴う食べ物を、もう拒否しているのだ。
フォアグラはその生産過程に必ず積極的な暴力を伴います。オスの水鳥たちの顔を掴んで口をこじ開け、強制的に餌を鉄パイプで餌を流し込み、肝臓を通常の10倍に膨れ上がらさせるのです。
昨年にはニューヨーク市がフォアグラの販売を禁止したことは日本でも大きく取り上げられ、フォアグラという珍味が時代に拒否されつつあることを報じました。欧米が拒否して余った商品はアジア各国、特に拒否しない日本に売られてくる傾向がどの製品にもあります。そうなってはなりません。暴力に加担する商品を日本に住む人々は受け入れたくはありません。
日本の法制度や政治は保守的であるため、法的に輸入を禁止することは難しい国ですが、消費者の力は生きています。
消費者が拒否すること、そしてレストランや小売店の中にいる良心のある人々が拒否をすることにより、この暴力をなくしていくことができます。
欧米の倫理観に日本が遅れているという劣等感が日本にはありますが、私達はそうは思いません。日本はこのフォアグラという商品を生産したりはしていません。消費は着実に減っています。真実を知った人の多くがフォアグラを拒否するからです。
これがフランスで金賞をとったフォアグラ農場の実態です。
メスは生まれたその日に殺されます。
成長した後、オスに待っているのが強制給餌。
鳥の渡りの時期にとった脂肪が多い肝臓も一部効果なものとして存在しているが、これはフォアグラの品評会で拒否されたことがある。つまり、人道的に作られるフォアグラはない。