現在(5月13日から6月11日)、「家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令」のパブリックコメントが募集されています。
これは、豚熱(旧称:豚コレラ)が国内で広がっていることをうけ、今年3月9日付けで飼養衛生管理基準(豚、いのしし)が改正され、4月3日には家畜伝染病予防法の一部を改正する法律が改正された流れに続くものです。
今回の改正では飼養衛生管理基準(豚、いのしし)をさらに見直し、そして他の畜産動物の飼養衛生管理基準についても見直しを行うという内容になっています。
改正案についてアニマルライツセンターは下記のとおり意見を提出しました。国民が施政に意見を届けることができる貴重な機会です。難しい言葉である必要はありません。ぜひ皆様からも意見を届けてみてください。
〆切は6月11日です。
ご意見はこちらから↓
家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案の意見・情報の募集について
*「関連資料、その他」の飼養衛生管理基準の改正の考え方の概要に今回の改正の概要が書かれています。
*豚の飼養衛生管理基準については3月9日付の改正で「放牧の制限」がすでに盛り込まれてしまっています。
(追記)署名も立ち上げました。署名はコチラから
今回の改正案で特に気になるのは、飼養衛生管理基準(牛、水牛、鹿、めん羊、山羊)、飼養衛生管理基準(豚、いのしし)において放牧が大きく制限されるような次の2つの基準があることです。
おそらく、放牧であれば感染リスクが高まるという考えのもと、このような放牧に特化した基準が加わったのだろうと思います。しかしこのような基準を追加しなくても、飼養衛生管理基準は放牧・舎飼にかかわらず同じように病原体の侵入防止対策を求めています。さらに飼養衛生管理基準(豚、いのしし)については豚熱を受けて明確な項目も追加されています。
野生動物との接触防止が講じられ、さらに豚熱についてはワクチンの接種も行われている中、放牧を制限するような項目を追加することに科学的な裏付けはみあたりません。放牧と舎飼いでは特に放牧のほうが感染リスクが高いという証拠も見当たりません。アジア、ヨーロッパで感染を広げているアフリカ豚熱(アフリカ豚コレラ)についても、過去の感染を見ると舎飼だろうと屋外だろうと違いはありません。韓国での例では、非常にバイオセキュリティが強固であり優秀とされていた舎飼畜産場が最初の感染事例になりました*1。畜舎内で飼育することは感染予防にはなっていません。放牧が舎飼よりも優れている点もあります。それはアフリカ豚熱などのウイルスは太陽光によって不活化できる点です*2。
現在の防疫の考え方を改めるべきときです。
太陽の光にあたり、運動をし、免疫をあげることに加え、通常の舎飼と同様に野生動物や人の出入りについての対策を取っている放牧飼育が、太陽の光を浴びずに糞尿にまみれ薄暗い豚舎の中に閉じ込められたストレスの多い状態の舎飼よりもリスクがあるとは考えられません。
放牧の中止の項目を加えることは、究極のアニマルウェルフェアともいえる放牧畜産の広がりを妨げ、制限と消毒に頼った感染症に貧弱な養豚システムだけを残していくことにつながってしまいます。
アニマルライツセンターが提出した意見
飼養衛生管理基準(牛、水牛、鹿、めん羊、山羊)、飼養衛生管理基準(豚、いのしし)の次の二点の削除を提案します。
「畜舎外での病原体による汚染防止」の項目の、「大臣指定地域においては、放牧場、パドック等における舎外飼養を中止」の一文。
「放牧制限の準備」の項目
理由:野生動物との接触防止を講じ、さらに豚熱に関してはワクチンの接種も行われている中、放牧を制限するような項目を追加する必要性はありません。舎飼いと比べて放牧のほうが感染リスクが高いという根拠もみあたりません。韓国では、非常にバイオセキュリティが強固であり優秀とされていた舎飼畜産場がアフリカ豚熱(アフリカ豚コレラ)の最初の感染事例になりました。放牧が舎飼よりも優れている点もあります。それはアフリカ豚熱などのウイルスは太陽光によって不活化できる点です。
アニマルウェルフェアは畜産において重要な関心事項であり、放牧畜産の広がりを妨げてしまうような項目は削除していただきたいと思います。
アニマルライツセンターが提出した意見
密飼いの防止について、全ての畜種に密飼いの数値基準を設定したほうが良いと思います。
全国の飼養衛生管理基準の遵守状況(平成30年2月1日現在)を読むと「適切な密度での飼養」と言う項目に対して乳牛96.4%、肉牛93.9%、豚97.4%、採卵鶏98.5%、肉用鶏98.9%が遵守していると回答していますが、実態とのかい離があるように思います。
例えば、「アニマルウェルフェアの考え方に対応したブロイラーの飼養管理指針」では1m2あたり33~43kgが望ましいとされています。しかし2014年の調査では日本のブロイラー養鶏の平均飼育密度は46.68kgとなっています。経営者からすれば詰め込んだ方が利益が高いと考えて、過密になりがちですが、明確な数値基準を設けて一律に水準を上げれば、畜産経営体間の不公平がなくなります。また数値基準があれば家畜保健衛生所も指導しやすく、ひいては伝染病予防につながると思います。
*別の畜種について、農林水産省が「密飼い」の参考値として「飼養衛生管理基準に関するパンフレット」で示す数値と実態を比較すると下記のとおりです。
肉牛:参考値5.4m2に対して13.7~42.1%の範囲で参考値5.4m2に満たない(2009年畜産技術協会による全国実態調査参照)
乳牛:参考値2.4m2に対して63.5%で2.2m2未満の飼育(2014年畜産技術協会による全国実態調査参照)
豚:0.8m2の参考値に対し、少なくとも19.8%の豚が0.65m2未満で飼育(2014年畜産技術協会による全国実態調査参照)
採卵鶏:セミウインドウレスとウインドウレス鶏舎の一羽当たりの平均面積はそれぞれ262m2、389m2で(2008年畜産技術協会による全国実態調査参照)、いずれも農水省が参考値として示す最低ラインの400cm2を下回る
密飼いの数値についての詳しい情報はコチラをご覧ください。
アニマルライツセンターが提出した意見
飼養衛生管理基準にアニマルウェルフェアの必要性を明示すべきだと思います。
OIE(世界動物保健機関)の陸生動物衛生規約 第7.1 章 「アニマルウェルフェアの勧告に係る序論」には「動物の健康とアニマルウェルフェアの間には決定的な相互関係がある」としています。2018年10月25日 欧州議会は「アニマルウェルフェア、抗菌薬の使用、および産業用ブロイラー農業の環境への影響に関する決議」の中で、「アニマルウェルフェアはそれ自体が予防策として機能し、動物が病気になるリスクを減らし、それによって抗菌薬の使用を減らし、しばしばより高い生産結果をもたらす」としています。「もし動物のウェルフェアが劣悪であれば個体がり患する確率は増加することが多い・・・疾患の発生はウェルフェアの改善によりしばしば低下するであろうし、疾患に対する抵抗力が不十分であることはウェルフェアが劣悪であることを示唆する(動物への配慮の科学2009から引用)」という研究者もいます。
アニマルウェルフェアは病気を予防する重要な要素です。
アニマルライツセンターが提出した意見
EUで行われている対策同様に、国内での動物性が含まれる食品の飼料への利用を禁止することを求めます。
「21 処理済みの飼料の利用」の内容を以下のように修正することを提案します。
「飼養する家畜に肉を扱う事業所等から排出された食品循環資源(食品循環 資源の再生利用等の促進に関する法律(平成十二年法律第百十六号)第二条 第三項に規定する食品循環資源をいう。)を原材料とする飼料を給与してはならない。」理由:アフリカ豚コレラの主要な感染経路の一つが食品残さや食品副産物であり、高温で熱することを規定していても全ての飼料について検査するわけではなく、感染源となるリスクはゼロにはなりません。アフリカ豚コレラについてはワクチンもまだなく、またワクチンがある豚熱についてもワクチン投与は遅く、衛生管理では防ぐことが出来ず15万頭を超える豚が殺されました。リスクは少しでも減らすべきです。
アニマルライツセンターが提出した意見
「14 他の畜産関係施設等に立ち入った者等が衛生管 理区域に立ち入る際の措置」について、過去一週間以内に大臣指定地域へ渡航した者を生管理区域に立ち入らせないこととするよう、以下のように除外規定を修正することを提案します。
「14 当日に他の畜産関係施設等に立ち入った者(当該農場の 従事者、家畜防疫員、獣医師、家畜人工授精師、削蹄師、飼料運搬業者、集 乳業者その他の畜産関係者を除く。)及び過去一週間以内に大臣指定地域に立ち入り、又は海外から入国し、 又は帰国した者を衛生管理区域に立ち入らせないようにすること。」理由:島国である日本において、アフリカ豚熱の感染は野生動物ではなく人間の移動または食品によってもたらされることに間違いはありません。そのため、従業員を含め、海外渡航をした者の衛生管理区域への立ち入りを最低1週間制限すべきでです。またCSFについてはすでに国内で感染が存在するため、これ以上拡大させないために、従業員を含め、大臣指定地域からの帰還した者の衛生管理区域への立ち入りを厳しく制限すべきです。
*1 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7113569/
*2 http://www.fao.org/3/a-aj214e.pdf
参照 飼養衛生管理基準遵守指導の手引き(豚及びいのししの場合)令和2年4月17日
写真/日本で数少ない放牧養豚
2020/6/12 追記:放牧中止が撤回されました。
お願いです。
家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令について、放牧制限の規定を削ってください。
お願いします。
食べられてしまう悲しい運命の動物たちです。これ以上動物の自由を奪わないでください。
いつまで、私達人間と同じように愛を感じて生きている、生き物を苦しませ続ければ気が済むのでしょうか?放牧させている環境は地球環境にも良いですし、どうせ奪う命なら少しの間だけでも自由を与えてあげて下さい。
これから私達に必要なのはJustice! Compassion! Empathy!(全ての生き物に不都合なく公正な思考・行動!慈悲と慈愛の心!共感力!)
どんどん自然から離れた方法で、命を生産、工業製品のように扱うことに反対です。
貴重な、自然の状態で、生き物にストレスの無い飼育しているところを、つまらない、根拠の無い理由で取り締まるのはやめてください
全ての生き物が自由に生きられる世界のためになってほしいです
人間には思いやる心があります。
動物たちがただ自然の中で動き探検し、仲間と遊んだり喧嘩したり・・・そういった純粋なことにも人間が制限をする必要があるのでしょうか?
今回のコロナウイルス・パンデミックでほんの少しの間の自粛生活でも息苦しさを感じた人間はおおいのです。それとは比較にならないくらい身動きもできず、彼らの当然である自然に普通に生きるという権利を奪うという考えは、あまりにも身勝手過ぎます。
どうか人間の食料などになる動物たちに生きている間だけでも、普通の生き方をさせてあげてください。
密飼いされるストレス理解できますか?生まれてから死ぬまで、満員電車にいるなんて耐えられますか?耐えられないと思うのであれば、確かな命に耳を傾けてください。
私たち人間が生きるために、常に何かの命が犠牲になっていて、それは自然界では1つの循環でもあるので、善悪を問うことではありませんが、せっかく命をいただくのではあれば、健全なものをいただき、私たちも健全に生きなければ、命も報われません。
日本の食の安全レベルは世界ではかなりの低基準です。日本では当たり前に出荷され、日本人が普通に食している食肉は、欧米基準では安全面で完全にアウトです。そのくらいのものを食べさせられている中で、少しでも健康な豚を育てようとする良識ある畜産者が日本にもいらっしゃいます。
このような放牧規制は、良識ある人のお仕事を潰してしまうことになりかねませんし、なにより私たち日本人の健康を無視した、とてもおかしい案だと思います。
生き物は大量生産品ではないです。
大事な命を「いただきます」ので、その命が少しでも自由な環境で生活できるように、制限しないでください。
放牧制限に断固反対します。
動物達の苦しみが理解できませんか⁉︎
動物は物ではありません。
人間と同じ生きている生き物です!
自然に逆らわないでください。
命あるものがその命らしく生きられることが大事だと思っています。そして、わたしたちもその命をいただいて生きています。対処療法ではなく、病気が蔓延する原因を根本から見直し、健全な畜産を目指してほしい。放牧はとても大切なその命を尊重する方法であり、根本的解決の初歩だと思っております。動物たちが本来の彼ららしく生きられる環境を整えて、最大限感謝して命をいただける世界になりますように!
命を頂いているということを忘れないで欲しいです
狭い檻に入れられ、自由もなく、本能も奪われ、日々退屈という拷問を受け、子供を生まされ続け最愛の子を舐めてあげること出来ず、数カ月で命を奪われるのに法律で放牧制限とは…。
見てください!豚も牛も鶏も生きてるし感情もあります。どうか…時代の流れに逆行するような法律だけは阻止して下さい。お願いします。
放牧豚や平飼い卵の愛好家です。
生きている間は人も家畜もストレスが少なく健康的であって欲しい。
食に感謝。
放牧制限に絶対反対です。