養豚場の中で、最も動物が死に、また殺す場面が多いのは繁殖場です。ただ死産だったりするのではなく、そこでは毎日のように殺す作業が発生しています。立てなかったり、弱っていたり、発育が悪かったり、発育が見込めなかったりといった理由で、子豚たちは殺されています。
この農場は、子豚を分娩ストールの檻のフチに首の後ろを力いっぱいにぶつけることで、殺処分をしていました。即死させることはかなり困難です。
日本では、多くの農場が豚の心臓に消毒薬(逆性石鹸:パコマ)を注入し、血液を凝固させて殺します。これは消毒薬の目的外使用であり、国際的にも全く許容される殺し方ではありません。
子豚の場合は二酸化炭素で殺すケースもあるようですが、多くはありません。二酸化炭素の場合も同様に、非常に苦しみます。
これら殺処分時の苦しみ、恐怖、痛みは、畜産場で発生する苦しみ、恐怖、痛みのほんの一部でしかありません。工場畜産では、誰も知らない場所で、動物たちの苦しみ、恐怖、痛みが大量に生み出され続けています。
業として、一箇所にたくさんの動物を集約して飼育していれば、そこには必ず動物の苦しみが発生します。例外はありません。
肉や卵、乳製品などの畜産物は、動物たちの苦しみの上で成り立っています。誰かの犠牲の上になりたつ幸せは、それは許容されるべきものではありません。今すぐに、是正していかなくてはならないものです。今すでに発生してしまっているからと言って、現状維持を続けてはならないのです。
にも関わらず、日本では畜産物の消費量は上がり続け、犠牲になる動物の数は増え続けています
アニマルウェルフェアは、人の社会、地球の持続可能性のためにも必須のものです。しかし、「動物たちが苦しんでいる」ただそれだけの理由で、緊急の課題として、お金をかけて、取り組み改善するべき課題です。
世界中の企業が、畜産の不完全さを認め、自分たちがいかにアニマルウェルフェアを上げていくのか、動物への暴力をどう減らしているのか、情報公開をしています。一部のより先進的な企業は、工場畜産から離れようと、より多くの取り組みをしてその情報を公開しています。しかし日本はあらゆる食品企業がいまだに自分たちが動物にどう配慮しているのか、実際にどの程度動物たちの苦しみを減らす方策を取っているのか、公表せず、情報を持ってすらいません。自分たちがどのような飼育状況の肉を仕入れているのかすら、知らないのです。
この質問はあらゆる場面で聞かれる質問です。いくつか理由があります。