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屠殺場での豚虐待(2020-2021年)について動物愛護行政へ指導願い

コチラの記事でお伝えしていた、2020年から2021年にかけて豚への虐待的扱いがあったCと殺場と、Fと殺場へ、それぞれのと殺場を管轄する動物愛護部局へ改善指導願いをしていました。

その結果を報告します。

▼Cと殺場 ▼F屠殺場

C屠殺場

C屠殺場は今回だけでなく、2016年にも虐待的行為(スタンガンの多用、蹴る、豚の上に乗って顔を蹴る)が明らかになり、当時、同と殺場を管轄する食肉衛生検査所に改善を要望していました。食肉衛生検査所ではこの時の虐待的行為を問題ととらえ、「従業員が、豚搬入業者等による虐待とみられる行為を発見した場合、不適切な取り扱いを止めるよう、適宜是正する」「豚搬入業者に対し、OIE規約及び改善方法を配布し、周知を図る」などの改善への取り組みが行われました。
(当時の詳細はコチラをご覧下さい)

しかしながら2020年から2021年にかけての調査により、虐待的行為がまたも明らかになりました。

Cと殺場を管轄する動物愛護部局への要望(2021年8月4日)

2020年〇月〇日及び〇月〇日、2021年〇月〇日及び〇月〇日に、Cと殺場において、動物愛護管理法に抵触すると思われる行為が見られたため、改善指導をお願いしたく、ご連絡差し上げました。

Cと殺場での動物愛護管理法に抵触すると思われる行為は、輸送されてきたトラックから係留所へ豚を追い込む時。及び収容時の次の行為です。

・電気スタンガンの多用
・豚の上に乗って蹴る、ホース様のもので何度も鞭打つ
・搬入後、翌日の屠殺まで収容される係留所が過密

当該行為の動画はこちらから視聴、ダウンロードしていただけます。
〇〇

—-豚を移動するために行われる手技の問題について

屠殺場での動物の移動について、日本も加盟するOIE(国際獣疫事務局)は、動物福祉基準(第7.5章 動物の屠殺)の中で次のように求めています。

・と殺される動物に、他の動物の上を乗り越えて歩くことを強制しないこと。
i) 動く場所がほとんど、もしくはまったくない動物は、動きを強要する追い立て道具やその他の補助道具や肉体的暴力を受けないこと。電気式追い立て道具や刺し棒は、非常時のみ使用し、動物を移動するため日常的に使用しないこと。その使用は、動物の移動を補助する必要があり、動物の移動先に空間があるときのみ限定的に使われること。追い立て道具やその他の補助道具は、その動物が応答せず移動しない時には、繰り返し使用しないこと。そのような時は、何か物理的もしくはその他の障害が、動物の移動を妨げていないかどうか調査すること。
ii) そのような装置の使用は、豚と大反芻動物の体の後部への充電式駆り立て器具の使用に限定され、目、口、耳、生殖部分や、腹部等の敏感な場所には使用しないこと。そのような道具は、何歳の馬、羊、山羊に対しても、また仔牛、仔豚に対しても、使用しないこと。
iii) 有益で、許容される追い立て道具には、パネル、旗、プラスチックパドル、フラッパー(皮又は粗布の付属した短いストラップのある長いステッキ)、プラスチック袋(*1)及び金属製のラトル(*ガラガラ鳴らすもの)がある。これらは、不当なストレス無しで動物の移動を指示する方法として使用すること。

(第7.5.2条 動物の移動及び取り扱い より引用。同基準の全文翻訳はこちらからご覧いただけます。 https://www.hopeforanimals.org/slaughter/417/

また畜産技術協会が作成し、農林水産省が普及に努めている「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の輸送に関する指針」 https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/animal_welfare.html も上述したものと同じことを求めています。

OIEの動物福祉基準(第7.5章 動物の屠殺)及び「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の輸送に関する指針」には、畜産動物の移動手法が記載されていますが、当法人がまとめたものも添付させていただきます。

web記事)https://www.hopeforanimals.org/pig/calm-moving-pig/
資料)〇〇
*資料は閲覧、ダウンロードしていただけます。

—-過密な収容について

Cと殺場では2020年〇月〇日及び〇月〇日に、闘争が起こるほど過密に飼育されていました。いずれも日曜日で、翌日の屠殺まで過密な状態で過ごさなければならなくなります。

屠殺場での収容について、日本も加盟するOIE(国際獣疫事務局)は、動物福祉基準(第7.5章 動物の屠殺)の中で次のように求めています。

・収容所は、収容する予定の動物数に対し、十分な収容量を持っていること。飲水は、動物がいつでも摂取でき、その提供方法は、収容される動物に適切なものにすること。
・収容ペンは、可能な限り多くの動物が、起立し壁にもたれて横たわることができるようにデザインすること。
・もともとの動物の集団は、可能な限り一緒に飼育し、それぞれの動物には、立ち上がり、横臥し、方向転換するための十分なスペースを与えること。お互いに敵対関係にある動物たちは、引き離されるものとする。

(第7.5.3条 収容所の設計及び建築及び、第7.5.4条 収容所における動物の保護管理 より引用。同基準の全文翻訳はこちらからご覧いただけます。 https://www.hopeforanimals.org/slaughter/417/

Cと殺場における行為は、業務上必須の行為ではなく、動物愛護管理法第44条第二項の動物虐待罪に当たる可能性もあると当法人は思っております。

2020年6月1日から施行された改正動物愛護管理法では、動物の愛護及び管理に関する業務を担当する地方公共団体の部局と畜産地方公共団体の部局と畜産との連携の強化が盛り込まれたところでもあります。畜産動物も愛護動物であり、適切な扱いが必要であることを、畜産動物を取り扱う皆様にも認識していただきたきたいと思っております。

ご多用中、お手数をおかけして大変恐縮ですが、何卒ご指導いただけますよう、よろしくお願いいたします。

これについて、Cと殺場を管轄する動物愛護部局からは次の回答(2021年9月9日)をいただきました。

  • 動物愛護部局と〇〇食肉衛生検査所と話し合いを行い、Cと殺場とも問題共有を行った。
  • Cと殺場に出入りする輸送業者にアニマルウェルフェア輸送の指針を周知した。把握している輸送業者には口頭で直接注意した。
  • スタンガンは以前から控えるように言っていたのに使っていることは看過できない。今後もこのような使用の継続は許されないことを伝えた。
  • スタンガン、ホースでの鞭打ち、豚の上に乗る、過密収容などをしないようにセンター敷地内で張り紙、看板設置で注意喚起をおこなった。
  • 不適切な行為を確認した場合はその場で検査所職員が注意することとする。
  • 現在のところ検査所職員の確認できる範囲では虐待行為はない(ただし休日の前日搬入は不明。この場合は自助努力となる)。
  • これから、これらの問題点を〇〇県農林部局(畜産部局)とも共有するとのこと

2016年にあった虐待的行為が今も行われていることから、この回答で安易に安心することはできません。しかし少なくとも県全体で豚への行為を問題と捉え、その上で具体的な取り組みがされることになりました。

Fと殺場

Fと殺場は、2020年から2021年にかけて初めて調査したと殺場です。

Fと殺場を管轄する動物愛護部局への要望(2021年8月4日)

2021年〇月〇日及び〇月〇日、〇月〇日、〇月〇日に、Fと殺場において、動物愛護管理法に抵触すると思われる行為が見られたため、改善指導をお願いしたく、ご連絡差し上げました。

Fと殺場での動物愛護管理法に抵触すると思われる行為は、輸送されてきたトラックから係留所へ豚を追い込む際の次の行為です。

・電気スタンガンの多用
・蹴る、豚の上に乗って蹴る、扉の留め具で叩く
・衰弱や歩行困難な豚を電気スタンガンや蹴り、叩きで、強制的に移動させる

当該行為の動画はこちらから視聴、ダウンロードしていただけます。
〇〇

電気スタンガンの多用により豚は怯えて固まって動けなくなり、それによりさらに作業者は電気スタンガンを使用しています。スタンガンの多用で、トラックの二階から転がり落ちる豚もいました。移動先が詰まっていて動くことができないのにスタンガンを押し当てられ、前の豚の背中に乗り上げる場面も見られました。

屠殺場での動物の移動について、日本も加盟するOIE(国際獣疫事務局)は、動物福祉基準(第7.5章 動物の屠殺)の中で次のように求めています。

・と殺される動物に、他の動物の上を乗り越えて歩くことを強制しないこと。
i) 動く場所がほとんど、もしくはまったくない動物は、動きを強要する追い立て道具やその他の補助道具や肉体的暴力を受けないこと。電気式追い立て道具や刺し棒は、非常時のみ使用し、動物を移動するため日常的に使用しないこと。その使用は、動物の移動を補助する必要があり、動物の移動先に空間があるときのみ限定的に使われること。追い立て道具やその他の補助道具は、その動物が応答せず移動しない時には、繰り返し使用しないこと。そのような時は、何か物理的もしくはその他の障害が、動物の移動を妨げていないかどうか調査すること。
ii) そのような装置の使用は、豚と大反芻動物の体の後部への充電式駆り立て器具の使用に限定され、目、口、耳、生殖部分や、腹部等の敏感な場所には使用しないこと。そのような道具は、何歳の馬、羊、山羊に対しても、また仔牛、仔豚に対しても、使用しないこと。
iii) 有益で、許容される追い立て道具には、パネル、旗、プラスチックパドル、フラッパー(皮又は粗布の付属した短いストラップのある長いステッキ)、プラスチック袋(*1)及び金属製のラトル(*ガラガラ鳴らすもの)がある。これらは、不当なストレス無しで動物の移動を指示する方法として使用すること。
(第7.5.2条 動物の移動及び取り扱い 1. 総論 より引用。同基準の全文翻訳はこちらからご覧いただけます。 https://www.hopeforanimals.org/slaughter/417/

また畜産技術協会が作成し、農林水産省が普及に努めている「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の輸送に関する指針」 https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/animal_welfare.html も上述したものと同じことを求めています。

OIEの動物福祉基準(第7.5章 動物の屠殺)及び「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の輸送に関する指針」には、畜産動物の移動手法が記載されていますが、当法人がまとめたものも添付させていただきます。

web記事)https://www.hopeforanimals.org/pig/calm-moving-pig/
資料)〇〇
*資料は閲覧、ダウンロードしていただけます。

Fと殺場における行為は、業務上必須の行為ではなく、動物愛護管理法第44条第二項の動物虐待罪に当たる可能性もあると当法人は思っております。
2020年6月1日から施行された改正動物愛護管理法では、動物の愛護及び管理に関する業務を担当する地方公共団体の部局と畜産地方公共団体の部局と畜産との連携の強化が盛り込まれたところでもあります。畜産動物も愛護動物であり、適切な扱いが必要であることを、畜産動物を取り扱う皆様にも認識していただきたきたいと思っております。

ご多用中、お手数をおかけして大変恐縮ですが、何卒ご指導いただけますよう、よろしくお願いいたします。

これについて、Fと殺場を管轄する動物愛護部局の回答は、現時点(2021年9月17日)で次の通りです。

  • 動物保護団体から苦情があったという情報提供を〇〇食肉衛生検査所を介して豚を取り扱う業者に行う予定である。しかし動画にあるような行為が動物愛護管理法上NGだという根拠はないため指導はできない。
  • そのため、実際に情報提供を行ったかどうかについて回答することもできない。

これまで、複数の屠殺場での動物への虐待行為について、改善要望をしてきましたが、「そもそも問題行為かどうか」という時点で躓いてしまうケースはあまりなかったように思います。
「動ける場所がないのに執拗にスタンガンを押し当てる」「トラックの二階から豚を転がり落してしまうような追い込みをする」「弱って動けない豚を蹴ったりする」。Fと殺場でのこれらの行為が問題として認識すらされないのであれば、「家畜」なら何でもしてもいいという無法地帯になってしまいます。

この動物愛護部局へは、これまで改善要望をしてきたほかのと殺場での虐待行為について、それぞれの行政がどのような対応をとってきたかを伝えました。そしえてまずはFと殺場で行われているような行為が問題であるということを認識していただき、そのうえで改善指導と具体的な取り組みをしてほしいと改めてお願いしているところです。

動画はC屠殺場とF屠殺場

私たちにできること

前に進む場所がないのに電気スタンガンを繰り返しあてられ、前の豚の背中に乗り上げる豚。怯えてトラックから降りられずにいると、尻尾を強く捩じられる牛。短いひもにつながれて翌日の屠殺までの長い時間を過ごさなければならなかった牛。係留所に飲水設備がなく、翌日の屠殺まで渇きに耐えなければならない牛と豚。翌日の屠殺まで過密な収容に耐えなければならない豚。

すべて、これまで私たちが見てきた屠殺場の動物たちです。彼らは自分自身ではどうすることもできません。

  • 署名をする「と畜場での残酷な行為を廃止してください」
  • SNSを活用して屠殺場の実態を知らせる
  • 行政へ意見を届ける 環境省 農林水産省 厚生労働省 
    三省とも「屠殺場の福祉」はウチの所管ではないと回答するかもしれませんが、責任逃れをせずに三省協力して問題改善に取り組んでほしいと伝えてください。
  • 動物性食品の摂取を減らす、あるいは止める
    根本的な問題は動物の大量生産と大量消費にあります。一頭一頭へ配慮する余裕もないほど次々と屠殺場に動物が送り込まれているという実態があります。動物性食品の摂取を減らしたり止めたりすることは苦しみの削減に直結する、今からすぐにでも始められる取り組みです。

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