結論から言うと、改善されていません。
アニマルライツセンターは2016年、D屠殺場(と畜場)で豚に対して「電気スタンガンの多用」「耳や尻尾をつかんで引っ張る」「体を蹴る」「豚の上に乗り顔を蹴る」「脅かすような大きな声を立てる」などの虐待行為が行われていることを確認しました。D屠殺場には、こういった暴力行為をやめて欲しいという要望と同時に改善策を示し、OIE(世界動物保健機関)の動物福祉基準を提出し、関係者に周知してもらうようお願いしました。
その後先方からは、OIE(世界動物保健機関)の動物福祉基準を関係者間に周知したこと、と畜場の動物福祉関係について講習会を実施したこと。今後も動物福祉に関する啓蒙を図っていくこと、係留所に看板を立て、不適切な扱いへの注意喚起を行う。などの回答をいただいていました。
当時の、D屠殺場とのやり取りについてはコチラをご覧ください。D屠殺場からの回答は前向きで実際的なものでした。係留所に看板も掲げられました。
しかしそれから4年が経過した2020年、再度この屠殺場を視察したところ、豚たちは以前と変わらない暴力的な扱いを受けていることが分かりました。
動画:D屠殺場における動物の扱いの比較/2016年と2020年
アニマルライツセンターは2020年6月、これらの暴力的な扱いについて、この屠殺場を所管する食肉衛生検査所に、再度連絡をとりました。前回同様、食肉衛生検査所はD屠殺場と連絡をとり、次のような回答を得ました。
下写真:新たに取り付けられた看板。黄色の部分が追加され、係留所の数か所に掲げられています(2021年9月確認)
しかし私たちは、2020年のD屠殺場の状況をみて、この回答で安心することができませんでした。D屠殺場のスタッフは皆スタンガンを持ち(中には両手で持っている人もいました)、他のやり方を試してみてどうしても動かないからスタンガンを使う、というのではなく、はじめからスタンガンが使用されていました。それ以外の追い込み方法は念頭にないように見えました。
前に進む場所がない豚たちにスタンガンを当て続ける輸送業者や、蹴られる豚たちを見て、以前と同じような文書のやり取りで改善されるとは思えず、食肉衛生検査所ではなく、D屠殺場に直接面会を申し入れました。
しかしD屠殺場からは面会を断られました。
私たちはこれからD屠殺場での虐待的扱いが簡単になくなるとは思っていません。
D屠殺場だけではありません。
2016年に、やはりD屠殺場と同じように豚を蹴る、電気スタンガンの多用などの虐待行為を行っていたC屠殺場。アニマルライツセンターはそこにも改善策を示し要望書を提出し、先方からはD屠殺場と同じように実際的で前向きな回答が得られました。しかし2020年の視察で改善されていないことが分かっています。
アニマルライツセンターはこれからも、屠殺場での動物への虐待行為について、要望を続けていきます。しかし忘れないでほしいのは、これらの例で分かるように、これまで屠殺の問題に取り組んできて改善されたというケースはほとんどないということです。
その責任を、屠殺場やそこで働くスタッフに一方的に押し付けるつもりはありません。動物が大量生産大量消費され、モノのように扱われてしまう社会を作ってきたのは私たち一人ひとりだからです。
みなさんにお願いがあります。
日本だけで一年間に
豚 16,319,598頭
牛 1,043,276頭
鶏 802,588,000羽
これだけの動物が殺されています(2019年)。
動物を大量生産大量消費し、モノのように扱い続ける社会は、倫理的で持続可能な社会だとはいえません。なぜなら、動物福祉の問題だけでなく、人獣共通感染症、抗生物質耐性菌、水質汚染、森林破壊、温室効果ガス排出、と様々な問題を引き起こしているからです。動物をモノのように扱ったつけは私たちに跳ね返ってきます。
私たち一人一人の行動が、動物を守り、私たち自身を守り、地球を守ることに繋がります。
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