5月31日、衆議院環境委員会において、堀越啓仁議員(群馬)が、鶏たちを生きたまま茹で殺す”放血不良”の問題について改善を、またOIEの動物福祉規約の動物愛護担当職員への周知徹底を求めました。
以下、堀越議員の発言を掲載します。(太字はアニマルライツセンターがマーク)
立憲民主党・無所属フォーラム、自然系国会議員の堀越啓仁でございます。<中略>
現在、国の食肉検査等情報還元調査によると、2017年度に食鳥処理された肉用の鶏の29万1845羽、そして、採卵鶏として使われていた鶏、つまり成鶏の18万2820羽、合計で47万4665羽、すごい数字ですけれども、これが放血不良で全廃棄又は処理禁止になっています。
放血不良というのは、ネックカット、首を切る際に鶏が動いてしまって、頸動脈をきれいに寸断することができず、そして放血、血を抜くことができない状況のまま、つまり生きた状況のまま、次の処理である熱処理、お湯の中に入れられていってしまう。こうすることによって、生体反応によって皮膚が当然赤くなってしまうわけです。こういう状況の鳥肉というのは市場に出回ることができませんので、これを処理、全廃棄されてしまうという状況になっています。
これは、何のために殺されたのかという人道的な問題もありますが、こういう状況は、イギリスでは、こういう事態が判明した場合には、食鳥処理場の経営者は、不必要な苦痛を与えたとして有罪判決を受けている、こういう事例もあります。このときの報道によれば、鶏たちは、二分間生きたまま熱湯の中で苦しんで死亡したという調査結果が出ておりますが、やはりこれは当然日本でも同じ時間でありますし、同じ状況であるというのは間違いなく存在しているわけです。
そして、国内の食鳥処理場は気絶処理を行わないことが多いと聞いておりまして、そのため、首を切るのに失敗する確率が高くなっているというふうに思われます。さらに、本来、湯漬け直前にそれをチェックする監視員が立っているべきですが、それがないなど、管理や意識も不十分であるということが原因の一つだと言わざるを得ない状況だと思っています。
この解決方法、たくさんあると思いますが、やはり意識をしっかり高めていくということ、そして監視を増員させるなど、当然必要だと思います。こういったことで、欧米では、施設自体を失敗がより少ない施設へと更新していくことでこれらの事例は大幅に減らしていくことができるわけです。
そこで、いつも私が比較し取り上げているOIEの動物福祉規約の七の五章には、動物の屠畜の部分には、意識ある又は生きた鳥が液体加熱タンク処理装置に入ることがないよう最大限の努力が払われるものとすると禁止事項に強く訴えられているわけですが、先ほどお話しさせていただいた事象は、これはもう動物愛護管理法に違反していると私は考えています。しかし、現在、この日本では、放血不良で苦しんで死んだ鶏の数が過去十年間見ても減少していないんです、変わっていない。先ほどお話しさせていただいた、二〇一七年度には四十七万羽が熱湯に生きたまま入れられて、苦しみながら死んでしまう、そしてそれが食べられるわけではなく廃棄されてしまう、こういう事態がまさに今起こっています。
この食鳥処理場の中で起こっていること、環境省は厚生労働省の管轄であるというふうに言われておりますが、厚生省は、過去の委員会答弁の中で何度も、動物福祉に関しては環境省の所管だ、つまり、責任は環境省にあるんだ、そういうことを訴えております。
放血不良は、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、非常に人道的な観点から見てもこれは看過できるようなものではありませんし、国際基準に照らし合わせても、現在の国内法違反であろうものとして、これはゼロにするべきだというふうに思っております。
しかも、このように死んだ鶏が市場に出回らないということは、別の観点からいえば、先日も食品ロス削減推進法が可決いたしました、私も消費者問題特別委員会の中で質問に立たせていただいたり、決議文を各党根回しをさせていただいて提出させていただいたという観点からもありますので、こういった観点からもやはりこれはゼロにしていくべきだというふうに思っております。
この件について、環境省として改善の意思はあるのか、さらに、現在も連絡会議等を行っておりますけれども、各関係省庁と連携をして早急に改善に取り組むべきだと思っておりますが、環境省の見解を伺いたいと思います。
これに対し、環境省は、いつもどおり関係省庁と共有されたと回答しました。堀越議員が改善への取り組みを求めたのに対し、具体的な解はありませんでした。
この生きたまま動物を茹で殺すという行為は、現行の動物愛護法にも違反しているのではないでしょうか。代替手段があり、また減らすことができ、ゼロにすることだってできるのです。
堀越議員は、放血不良の問題とともに、鶏たちのと畜方法についても言及、日本の遅れを指摘し、より人道的で、かつ人の福祉にもつながる欧米で取られる方法に移行すべきであることを訴えてくださいました。
この食鳥処理場での処理の方法に関して、やはりこれはもう一度改め直さなければいけないというふうに思っております。
やはり、意識を失わせていない状況の中で、ベルトコンベヤー式に運ばれる装置の中に足をひっかけて、そして運ばれるという状況では、当然鶏はばたばた動きますから、ネックカットが失敗するということは当然考えられるわけでございますので、まず、これは作業をされている方々の精神的な負担、身体的な負担、労務負担を軽減するということにもつながりますし、そして、さらに動物福祉も保たれ、さらに生産性の向上にもつながる。これは、農林水産だけではなく、厚生労働省、環境省、全てにとって、各関係省庁にとってウイン・ウインになることにつながると思います。
堀越議員は環境省が策定している産業動物の飼養及び保管に関する基準に具体性がなく、現場の方にとってはなにをすればよいかわからないものになっていると指摘。畜産動物の飼養管理はグローバルな視点で見なくてはいけないことや、科学的根拠を持って成立しているという性格を持つ、OIE動物福祉規約を利用することを提案しました。
このOIEの基準の中で、採卵鶏についてはまだ確定しておりませんが、そのほかの畜種、輸送、屠畜、豚コレラのような防疫対応時の殺処分について、詳細に記載された、しかも科学的根拠を伴った基準があります。
先日、農林水産委員会における私の質問に対して農水省は、このOIEの動物福祉規約について、批准したときに、各都道府県に対して、OIE基準の精神にのっとってやるようにということで周知を徹底していると明言されました。
同じように、動物福祉等に関しては、動物愛護担当職員の知っているべきものであるというふうに思います。しかし、私が把握している限りでは、このOIEの動物福祉規約を各都道府県の動物愛護担当職員はなかなか熟知されていないという状況があると思います。
今後、このOIEの動物福祉規約に対して、講習会を行うであるとか、あるいは資料をしっかり配付して意識向上を図るであるとか、そういったことが私は必要だと思っています。図るべきだと思っています。この件について環境省の見解を伺いたいと思います。
各都道府県の動物愛護担当職員に、畜産動物についての知識がなく、そもそも指導するスキルがないという課題がありますが、OIE規約を利用すれば一定のレベルまでそのスキルを引き上げることが容易にできるのです。
この提案に対し、環境省は
環境省におきましては、毎年、地方公共団体の担当職員が動物愛護管理をめぐる課題や基本的考え方等の専門的知識を習得できるよう、動物愛護管理研修を行っているところでございます。
引き続き、こういった研修を通じまして、地方公共団体の職員の専門性向上のための研修の実施等に努めるとともに、あわせまして、こうした場を活用いたしまして、御指摘ございましたOIEの動物福祉規約等の国際的な動向につきましても周知に努めてまいりたいと考えております。
と回答しました。OIE規約等の国際的な知見を取り入れることができることは、動物にとって朗報です。
日本独自のいびつな解釈をした、歴史の薄い、さらには科学的ではない「動物愛護」は、通用しないのですから・・・
アニマルライツセンターはOIEの動物福祉規約等の国際的な動向が、動物愛護担当職員にたいして周知徹底が守られることを監視していきます。
○堀越委員 立憲民主党・無所属フォーラム、自然系国会議員の堀越啓仁でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、改めて感謝を申し上げます。
それでは、今日たくさん聞いていきたいことがありますので、質問に入らせていただきたいと思います。
まず最初に、私のライフワークとして何度も環境委員会の中でも取り上げさせていただきましたアニマルウエルフェアについて伺いたいと思います。
現在、国の食肉検査等情報還元調査によると、2017年度に食鳥処理された肉用の鶏の29万1845羽、そして、採卵鶏として使われていた鶏、つまり成鶏の18万2820羽、合計で47万4665羽、すごい数字ですけれども、これが放血不良で全廃棄又は処理禁止になっています。
放血不良というのは、ネックカット、首を切る際に鶏が動いてしまって、頸動脈をきれいに寸断することができず、そして放血、血を抜くことができない状況のまま、つまり生きた状況のまま、次の処理である熱処理、お湯の中に入れられていってしまう。こうすることによって、生体反応によって皮膚が当然赤くなってしまうわけです。こういう状況の鳥肉というのは市場に出回ることができませんので、これを処理、全廃棄されてしまうという状況になっています。
これは、何のために殺されたのかという人道的な問題もありますが、こういう状況は、イギリスでは、こういう事態が判明した場合には、食鳥処理場の経営者は、不必要な苦痛を与えたとして有罪判決を受けている、こういう事例もあります。このときの報道によれば、鶏たちは、二分間生きたまま熱湯の中で苦しんで死亡したという調査結果が出ておりますが、やはりこれは当然日本でも同じ時間でありますし、同じ状況であるというのは間違いなく存在しているわけです。
そして、国内の食鳥処理場は気絶処理を行わないことが多いと聞いておりまして、そのため、首を切るのに失敗する確率が高くなっているというふうに思われます。さらに、本来、湯漬け直前にそれをチェックする監視員が立っているべきですが、それがないなど、管理や意識も不十分であるということが原因の一つだと言わざるを得ない状況だと思っています。
この解決方法、たくさんあると思いますが、やはり意識をしっかり高めていくということ、そして監視を増員させるなど、当然必要だと思います。こういったことで、欧米では、施設自体を失敗がより少ない施設へと更新していくことでこれらの事例は大幅に減らしていくことができるわけです。
そこで、いつも私が比較し取り上げているOIEの動物福祉規約の七の五章には、動物の屠畜の部分には、意識ある又は生きた鳥が液体加熱タンク処理装置に入ることがないよう最大限の努力が払われるものとすると禁止事項に強く訴えられているわけですが、先ほどお話しさせていただいた事象は、これはもう動物愛護管理法に違反していると私は考えています。しかし、現在、この日本では、放血不良で苦しんで死んだ鶏の数が過去十年間見ても減少していないんです、変わっていない。先ほどお話しさせていただいた、二〇一七年度には四十七万羽が熱湯に生きたまま入れられて、苦しみながら死んでしまう、そしてそれが食べられるわけではなく廃棄されてしまう、こういう事態がまさに今起こっています。
この食鳥処理場の中で起こっていること、環境省は厚生労働省の管轄であるというふうに言われておりますが、厚生省は、過去の委員会答弁の中で何度も、動物福祉に関しては環境省の所管だ、つまり、責任は環境省にあるんだ、そういうことを訴えております。
放血不良は、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、非常に人道的な観点から見てもこれは看過できるようなものではありませんし、国際基準に照らし合わせても、現在の国内法違反であろうものとして、これはゼロにするべきだというふうに思っております。
しかも、このように死んだ鶏が市場に出回らないということは、別の観点からいえば、先日も食品ロス削減推進法が可決いたしました、私も消費者問題特別委員会の中で質問に立たせていただいたり、決議文を各党根回しをさせていただいて提出させていただいたという観点からもありますので、こういった観点からもやはりこれはゼロにしていくべきだというふうに思っております。
この件について、環境省として改善の意思はあるのか、さらに、現在も連絡会議等を行っておりますけれども、各関係省庁と連携をして早急に改善に取り組むべきだと思っておりますが、環境省の見解を伺いたいと思います。
○正田政府参考人 お答えいたします。
環境省では、動物愛護管理法に基づきまして、産業動物の適正な取扱いを確保するために、飼養者等が遵守すべき産業動物の飼養及び保管に関する基準を定めるとともに、動物を殺処分しなければならない場合については、その動物にできる限り苦痛を与えない方法によることを動物の殺処分に関する指針において定めているところでございます。
また、産業動物への対応につきましては、関係省庁との連絡会議を設けまして、情報共有等を通じてその連携を図っているところでございます。
御指摘のございました廃棄処分になる鳥の放血不良の件につきましても、定期的に実施してございます関係省庁との打合せにおいて情報共有されたところでございます。
引き続き、産業動物の適正な取扱いが浸透していくよう、関係省庁との密な連絡体制を確保してまいりたいと考えております。
○堀越委員 正田局長、ありがとうございます。
動物福祉に対して大変理解していただいている局長でございますので、これからも連絡会議の中で、実効性が保たれる、そういった制度をしっかりつくっていただきたいというふうに思っています。
この食鳥処理場での処理の方法に関して、やはりこれはもう一度改め直さなければいけないというふうに思っております。
やはり、意識を失わせていない状況の中で、ベルトコンベヤー式に運ばれる装置の中に足をひっかけて、そして運ばれるという状況では、当然鶏はばたばた動きますから、ネックカットが失敗するということは当然考えられるわけでございますので、まず、これは作業をされている方々の精神的な負担、身体的な負担、労務負担を軽減するということにもつながりますし、そして、さらに動物福祉も保たれ、さらに生産性の向上にもつながる。これは、農林水産だけではなく、厚生労働省、環境省、全てにとって、各関係省庁にとってウイン・ウインになることにつながると思います。
そして、更に言えば、EPAの中で求められておりますけれども、アニマルウエルフェアに対してしっかり取り組んでいかなきゃいけない、これはもう世界の潮流ですので、日本の畜産業、一次産業を守っていくためにも、これはやはりアニマルウエルフェアに取り組んでいかなきゃいけないということにもつながりますので、そこを牽引していくのが私は環境省であると思いますので、引き続き、これは実効性の保たれるものに変えていただかなければいけないというふうに思っております。
そして、この放血不良のように、改善策が十分あるにもかかわらず、なかなか改善してこない、これは産業動物の現場には多々あるように見受けられております。この不適切な飼養管理についてはどうしても見過ごされている部分があると思います。屠畜場では、長時間水が飲めないこと、あるいは絶食、絶水の強制で羽を抜かれてしまう、不適切な淘汰方法など、数多く見受けられます。
幾ら動物取扱業から産業動物を除外しているからといっても、この動愛法遵守徹底、周知徹底は環境省の役割であると考えております。これはやはり、この不適切な飼養管理についても、注意喚起、何も指導しない、これはあってはならないことだと思います。残念ながら、環境省策定の産業動物の基準は曖昧で、十億頭の動物について規定するには余りにも短いものになっていて、それを見ても、実際に何をすれば、わからないという現場は私はあると思っております。
この中で、しかし、そうはいっても、広い世界ですから、私も何度も言っておりますけれども、畜産動物の福祉に関しては、やはり国際基準のOIEの基準というのがもともと存在しますので、この基準をしっかり遵守していくということは非常に重要なことだと思っています。
このOIEの基準の中で、採卵鶏についてはまだ確定しておりませんが、そのほかの畜種、輸送、屠畜、豚コレラのような防疫対応時の殺処分について、詳細に記載された、しかも科学的根拠を伴った基準があります。
先日、農林水産委員会における私の質問に対して農水省は、このOIEの動物福祉規約について、批准したときに、各都道府県に対して、OIE基準の精神にのっとってやるようにということで周知を徹底していると明言されました。
同じように、動物福祉等に関しては、動物愛護担当職員の知っているべきものであるというふうに思います。しかし、私が把握している限りでは、このOIEの動物福祉規約を各都道府県の動物愛護担当職員はなかなか熟知されていないという状況があると思います。
今後、このOIEの動物福祉規約に対して、講習会を行うであるとか、あるいは資料をしっかり配付して意識向上を図るであるとか、そういったことが私は必要だと思っています。図るべきだと思っています。この件について環境省の見解を伺いたいと思います。
○正田政府参考人 お答えいたします。
環境省におきましては、毎年、地方公共団体の担当職員が動物愛護管理をめぐる課題や基本的考え方等の専門的知識を習得できるよう、動物愛護管理研修を行っているところでございます。
引き続き、こういった研修を通じまして、地方公共団体の職員の専門性向上のための研修の実施等に努めるとともに、あわせまして、こうした場を活用いたしまして、御指摘ございましたOIEの動物福祉規約等の国際的な動向につきましても周知に努めてまいりたいと考えております。
○堀越委員 ぜひこれも更に広げていっていただきたいと思います。
動愛法は、畜産関係、屠畜関係となると、各省庁、厚生労働省、農林水産省、所管が分かれるところではありますが、やはり動物福祉というものに関して、動物愛護に関しては、唯一の法律である動物愛護法によって担保されるものであって、それを所管する環境省の仕事というのは私は大きいと思いますので、ぜひ私は応援させていただきたい、その立場でお願いを申し上げたいと思っております。