私たちは、動物への暴力行為が、情報提供やアニマルライツセンターの調査で判明した各と畜場へ、改善要望をおこなっています。
2019年12月、横たわることもできない短い紐で、飲水もできない状態で夜通し繋留していたと畜場(以下Eと畜場)へも改善を求めていました。
3月に電話で確認し、Eと畜場の回答をいただきましたのでご報告します。
改善してもらえることになったのは次の二点
Eと畜場の話では、興奮している牛は短くしないと暴れて引っかかったり落ちたりして、死んだケースもあるということでした。それならば前日搬入ではなく当日搬入すればいいのではないかと問いただしましたが、業者や農場の都合もあり、それができないこともあるとのこと。ただ、できるだけ当日搬入にするようにお願いしているというものでした。
見知らぬ場所に長い間揺られて連れてこられた牛が不安で興奮してしまうのは不思議ではありません。そもそもと畜場で夜間にわたる長時間の係留はすべきではないのです。彼らの最期の日を少しでも穏やかなものにしようという配慮があるなら、見知った農場でぎりぎりまで過ごさせてと畜場へ連れていくべきだと思います。
牛は「経済動物」というカテゴリに入れられています。人間側の都合がある程度優先されてしまうのは畜産と言うシステムを肯定するならしかたがないかもしれません。でも明日殺すという最期の日に、もっと思いやりを持てないのでしょうか。
「どうせ明日殺すのだから」と言うような考えを国際社会は許していません。日本も加盟するOIEは屠殺における動物福祉基準で「つなぎ縄や個別のストールが飼養される場合は、動物が怪我や苦痛を受けることなく、立ち上がり、横臥できるようにすること。」と求めています。
と畜場における動物の扱いについては問題が山積みです。アニマルライツセンターは署名を集め行政へ提出し、個々のと畜場への改善要望しています。少しでも早く状況が改善され、動物の苦しみが減るよう、どうか皆さまからもと畜場を所管する厚生労働省へ意見を届けてください。
厚生労働省 「国民の皆様の声」募集 送信フォーム
また、動物を苦しめる扱いをしていると畜場があれば、アニマルライツセンターまで情報をお寄せ下さい。
【追記】後日、アニマルライツセンターは、長期繋留は、肉質の観点からも問題となる可能性があるという情報をEと畜場に提供しました。Eと畜場から生産者のほうへこの情報を伝えてくださったということです。
日本の屠殺場で、この牛は鼻輪にとおされたとても短いロープで係留され、翌朝の屠殺を待っていました。
ロープの長さは、牛が横たわることができないだけでなく、頭を上にもたげることも、うつむくことも制限されるほど短いものでした。著しく行動を制限された牛はそこに立ち続け、足踏みしたり舌で口の周りをなめたりしていました。飲水設備もありません。しかしたとえあったとしても、その短いロープではそこに口が届かなかったでしょう。かれは翌日殺されるまでこの状態です。
横たわることができる
いずれも動物を扱う際に当たり前の、最低限のレベルのものだと思います。しかしそのわずかな配慮もないがしろにされています。「畜産動物」ならどんな扱いをしてもいいのでしょうか。
どうせ殺すのだからどんな扱いをしてもいいと言うのなら、人間もいつか死ぬのだからどんな目に合ってもいいといいということになります。
アニマルライツセンターはこの屠殺場へ次の4点の改善を求めています。
外国に輸出する屠殺場では、このような扱いは許されません。アメリカ、ブラジル、香港、オーストラリア、EU、カナダ、台湾、ニュージーランドに輸出するときは繋留時に飲水できることが求められていますし、EUは「牛が必要に応じて横臥」できることを求めています。繋留が長期にわたる場合は給餌を求める国もあります。
日本も諸外国にならって、せめて最低限の配慮をするべきです。
動物の畜産利用は無くさなければなりませんが、畜産が廃止される前にまだまだ膨大な数の動物が殺されていきます。日々殺されていく彼らの状況が、少しでも改善されることを願います。