2018年2月23日、マイケル・ゴーブ英国環境長官政府はすべての屠殺場に動物福祉のための監視カメラを導入することを義務化する法案を発表した。英国政府によると、この法案は2018年5月から施行され、屠殺場は6ヶ月以内に準拠する必要がある。*1
2017年夏に監視カメラを導入することが国会の場で検討され始めて以降、多くの議論があったようだ。しかし、実際には寄せられた意見のうち99%が導入に賛成する意見であったといい、英国の畜産動物福祉への意識の高さを感じさせる。またセキュリティ専門家は、業界側が主張したプライバシーの保護の観点を却下している。*2
マイケル・ゴーブ環境長官は、
私たちは世界で最も高い動物福祉基準を設けており、引き続きバーを引き上げることでグローバルリーダーとしての地位を固めたいと考えています。
私たちはEUを離れるけれども、屠殺場へのCCTVカメラの導入義務は、世界中の消費者にとって、私たちが食品を非常に高い基準で生産し続けることを実証します。
これまでの協議への反応は、すべての動物がその命のあらゆる過程において、最高の敬意をもって扱われ、最高の福祉基準に従わなければならないという国民の思いの強さを明確にした。
と述べている。
日本の行政ではどうも考えられない向上心の高い、発言。
日本政府も畜産業を継続させ海外にまで売りたいと考えるのであれば、日本の実効性のある福祉基準(アニマルライツセンターは現在は動物愛護法の中で規定することを求めている)をつくり、そこに暴力がないことを証明するべきだ。
法律の中では90日間録画が保存され、食品基準庁(FSA)の獣医師が自由にアクセスできることを定めている。英国では、家禽(ニワトリと七面鳥)の電気水槽によるスタニングを禁止し、ガススタニングへ切り替えることや、外国から輸入される畜産物の福祉にたいする監視を強めることなど、さらなる福祉向上に向けた議論が続いている。
*1 https://www.gov.uk/government/news/cctv-in-slaughterhouses-legislation-laid-in-parliament
*2 https://www.ifsecglobal.com/cctv-slaughterhouses-security-professionals-dismiss-privacy-concerns-meat-industry-association/