2018年2月23日(金)の衆議院予算委員会第6分科会で、堀越啓仁(立憲民主党・市民クラブ)衆議院議員が、アニマルウェルフェアに関する質問を行ってくださいました。
動画をこちらで見ることができます。(14:00~)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=47815&media_type=wb
農林水産大臣と農林水産省から以下の言葉が聞かれたことは、大きな前進です。
「今委員がご指摘のように、世界の傾向、それからわが国の畜産も世界のマーケットを意識して展開をしていかなくちゃいけないということであれば、世界に通用するものに前進させていくということは極めて重要だろうと思っておりますので、実態を捉えながら、その方向でしっかり努力していきたいと思っております。」農林水産大臣
「農林水産省としましては関連団体に対しまして、関連法令等を遵守すべく計画的な集荷を促す内容の注意喚起を行なってきているところでございまして、引き続き改善の努力をしてまいりたいと思います。」農林水産省
「農林水産省としてはですね、動物の愛護及び管理に関する法律を遵守をするということは、当然のことだと考えておりまして、環境省及び厚生労働省とも連携をして、アニマルウェルフェアを推進することが重要だと考えております。」農林水産大臣
アニマルウェルフェア質問は3点行われました。
ケージフリー飼育への切り替えやストールフリー飼育への切り替えなどの、設備投資を必要とするアニマルウェルフェアの改善について、農林水産省はどのような対策を考えているかお聞かせください。また時期的なマイルストーンも合わせてお願い致しますと質問がされました。
これに対し、 枝元 真徹生産局長は以下のように答弁しました。この中で、日本のアニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針がアメリカ・カナダと同等の水準と考えているという驚くべき発言がありました。アメリカは州ごとに異なるため同等の州もあるのかもしれませんが、10州が妊娠ストールを禁止、6州がバタリーケージを禁止、カナダも妊娠ストール廃止となっており、誤認であるように思います。
今委員御指摘のとおり、アニマルウエルフェア、飼養管理指針等に基づきまして推進をしているところでございます。
具体的には、各畜種につきまして、OIEにおきます国際基準に則したアニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の作成、また、アニマルウエルフェアに対応した飼養管理の優良事例の生産者への紹介、生産者、流通業界、消費者等への普及のためのセミナーやシンポジウムの開催などを支援してきているところでございます。
また、畜舎等の施設整備を補助する畜産クラスター事業の採択におきましても、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針に則した飼養管理を行っている場合に、加算ポイントを設けているところでございます。
アニマルウエルフェアにつきまして、具体的な目標時期を定めているものではございませんけれども、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に必要な食材提供に向けましたGAPの取組の加速化ですとか、国際基準の策定や改訂に合わせました飼養管理指針の見直しなどを通じて、アニマルウエルフェアを定着させていきたいというふうに考えてございます。
また、御指摘がございました豚のストール飼いですとか採卵鶏のバタリーケージでございますが、御指摘のとおり、EUですとかスイスでは、域内法等によりまして、常時ストールでの母豚を飼うことですとか採卵鶏をバタリーケージで飼うことは禁止されてございます。
ただ、豚と採卵鶏に係りますアニマルウエルフェアの考え方につきましては、まだOIEの指針が定められていないという状況にございます。
我が国において定めております豚及び採卵鶏の飼養管理指針につきましては、アメリカ、カナダと同等の水準というふうに私どもは考えてございますけれども、OIEの指針が策定されれば、それに則して見直しを行ってまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
続けて齋藤 健農林水産大臣は、以下のように答弁し、これまでの日本のスタンス(日本と欧米のアニマルウェルフェアは異なるなど)から一歩前に出た重要な答弁であったと感じます。
アニマルウエルフェアにつきましては、その国の文化ですとか国柄ですとかと絡む問題でありますので、それぞれの国でいろいろな考えがあろうかと思います。
ただ、今委員御指摘のように、世界の傾向、それから我が国の畜産も世界のマーケットを意識して展開をしていかなくちゃいけないということであれば、今局長が説明させていただきましたように、世界に通用するものに前進をさせていくということは極めて重要だろうと思っておりますので、実態を踏まえながら、その方向でしっかり努力をしていきたいなというふうに思っております。
成鶏つまり採卵鶏の食鳥処理場において処理前に長時間放置されるという問題について、各省庁での改善の意向をぜひ示していただきたい、どのように改善をするのかお聞かせくださいと質問がされました。
枝元生産局長は、以下のように答弁しています。しかし、アニマルライツセンターの調査では時期に関係なく夜間放置が行われており、繁忙期にかかわらず不適切な状態に陥っていると考えています。しかし、改善を促すとはっきりお答えであるため、今後どのように改善がなされるか、監視を行いたいと思います。
御指摘いただきましたとおり、採卵鶏として役目を終わりました成鶏につきましては、一般的には成鶏専門の食鳥処理場で処理されるケースが多うございます。こういう成鶏も含みます産業動物の集荷、輸送、保管等に当たりましては、関係法令等におきまして、動物の健康の保持、また快適性にも配慮した対応が求められているということでございます。
生産のサイドから見ますと、鶏卵卵価、鶏卵の価格が低下する年明けですとか夏場には、食鳥処理場の処理能力を超えまして成鶏の出荷が一時的に集中して、処理待ちの時間が長くなる場合があって、夜間の長時間放置等の課題があるということは私どもも承知をしてございます。
農林水産省としては、関係団体に対しまして、関係法令等を遵守すべく、計画的な集荷を促す内容の注意喚起を行ってきておるところでございまして、引き続き改善に向けて努力をしてまいりたいと存じます。
畜産業、屠畜、輸送における動物愛護管理法の遵守についても各省庁連携が必要であると考えますが、農林水産省としてのお考えをお聞かせくださいと質問がされました。
これに対し、齋藤 健農林水産大臣からは以下のように答弁がなされました。現在、農林水産省や厚生労働省は現場に入っていますが、動物愛護法に関連するまたはアニマルウェルフェアに関連する指導はほぼなされていません。頑なに衛生面のみの指導にこだわります。しかしこの答弁を聞く限りは、動物愛護、アニマルウェルフェアに関しても指導が行われるべきであることを示しているように思います。行政職員が指導ができるよう、動物愛護管理法の中の連携機関に、農林水産省、厚生労働省の関連部局を含めるべきであると改めて感じます。
農林水産省としては、動物の愛護及び管理に関する法律を遵守するということは当然のことだと考えておりまして、環境省及び厚生労働省とも連携をして、アニマルウエルフェアを推進することが重要だというふうに考えています。
このため、昨年十一月、アニマルウエルフェアに配慮した飼育管理の基本的な考え方を、都道府県の生活衛生、環境部局等ともよく連携をして、畜産関係者等に周知をするように都道府県宛てに通知をさせていただきました。また、昨年十二月には、農林水産省、環境省、厚生労働省の三者で定期的な連絡会議を設置させていただきまして、関係省庁との連携を今強化しているところであります。
いずれにいたしましても、この違反事例みたいなものがもし出てくれば、きちんとした対応をするということは当然のことでございます。
最後に堀越議員からは、これら畜産動物のアニマルウェルフェアが喫緊の課題だと思っていると述べられ、重ねての改善の要請がなされました。
○堀越分科員 立憲民主党・市民クラブの堀越啓仁でございます。
昨年の特別国会において、所属する環境委員会で初質疑をさせていただきまして、今回二回目の質問をさせていただくことになっております。改めて感謝申し上げます。
また、現在、環境委員会に所属しておりまして、今後、自称自然系議員を目指していきたいというふうに思っております。この機会にぜひ、齋藤大臣におかれましては、官僚を目指された際に環境省を目指されたという経緯があると承知しておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
それでは、農水省にまず質問をさせていただきたいと思います。
環境委員会で昨年取り上げさせていただきました畜産動物のアニマルウエルフェアということについてなんですけれども、畜産動物に関するアニマルウエルフェアの必要性というのは、既に、ワンヘルスの考えから、人や社会の健康や衛生のために、いわゆるOIEを始め世界で取り組まれております。
欧米ではケージフリーの卵が今主流となってきておりまして、先日は、韓国が、鶏の飼育面積をことし七月からEU並みの一羽当たり七百五十平方センチメートルにすることを明らかにしたと報じられておりまして、一方、その反面、日本は、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の中ですら、推奨面積を四百三十から五百五十五平方センチメートルとしております。
また、繁殖用の母豚を拘束して飼育する妊娠ストールについても、欧米だけでなく、中国やブラジル、タイを含む世界の大手食肉企業が廃止をしていっております。しかし、日本は、二〇〇七年よりも二〇一四年の方が妊娠ストールの使用率というのはふえているわけでございまして、ちょっと逆行してしまっている部分があるなという印象を持たれてしまうというところでございます。
この鶏のケージ飼育廃止と豚の妊娠ストールの飼育廃止は、アニマルウエルフェアへの取組を見る上で象徴的なものと捉えられておりまして、他国と日本でアニマルウエルフェアへの取組状況の差がかなり開いてしまっている、いよいよ明白になっているというふうに言わざるを得ない状況だと思っております。
日本でも、東京オリンピック・パラリンピックを契機としまして、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針をもとに、農林水産省がアニマルウエルフェアを推進していることは十分承知をさせていただいておりますけれども、しかし残念ながら、やはり現場では、こういったバタリーケージですとかあるいは妊娠ストールの使用率の縮小に向けた国の積極的な取組というのは、やはり聞き及んではいないというところだと思います。
東アジア、東南アジア、南米、南アフリカなどでこれら飼育方法を廃止していく動きが実際起こっている中で、やはり、欧米のやり方が必ずしも日本の農業に適しているわけではないという独自の見解は、もう通用しないところまで来てしまっているのかなという認識を私は持っております。経済連携協定や自由貿易協定が各国と結ばれていく中で、世界のアニマルウエルフェアの流れから日本が取り残されて、競争力を失うのではないかと強く危惧をしている次第でございます。
そこで、齋藤大臣にお伺いいたします。
ケージフリー飼育への切りかえやストールフリー飼育への切りかえなどの設備投資を必要とするアニマルウエルフェアの改善について、農林水産省はどのような対策を考えておられるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
また、時期的なマイルストーンもあわせてお願いいたします。
細かいところは参考人の方でも結構でございますので、よろしくお願いします。
〔主査退席、江藤主査代理着席〕
○枝元政府参考人 具体的な対策について、私の方から御説明いたします。
今委員御指摘のとおり、アニマルウエルフェア、飼養管理指針等に基づきまして推進をしているところでございます。
具体的には、各畜種につきまして、OIEにおきます国際基準に則したアニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の作成、また、アニマルウエルフェアに対応した飼養管理の優良事例の生産者への紹介、生産者、流通業界、消費者等への普及のためのセミナーやシンポジウムの開催などを支援してきているところでございます。
また、畜舎等の施設整備を補助する畜産クラスター事業の採択におきましても、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針に則した飼養管理を行っている場合に、加算ポイントを設けているところでございます。
アニマルウエルフェアにつきまして、具体的な目標時期を定めているものではございませんけれども、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に必要な食材提供に向けましたGAPの取組の加速化ですとか、国際基準の策定や改訂に合わせました飼養管理指針の見直しなどを通じて、アニマルウエルフェアを定着させていきたいというふうに考えてございます。
また、御指摘がございました豚のストール飼いですとか採卵鶏のバタリーケージでございますが、御指摘のとおり、EUですとかスイスでは、域内法等によりまして、常時ストールでの母豚を飼うことですとか採卵鶏をバタリーケージで飼うことは禁止されてございます。
ただ、豚と採卵鶏に係りますアニマルウエルフェアの考え方につきましては、まだOIEの指針が定められていないという状況にございます。
我が国において定めております豚及び採卵鶏の飼養管理指針につきましては、アメリカ、カナダと同等の水準というふうに私どもは考えてございますけれども、OIEの指針が策定されれば、それに則して見直しを行ってまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
○齋藤国務大臣 アニマルウエルフェアにつきましては、その国の文化ですとか国柄ですとかと絡む問題でありますので、それぞれの国でいろいろな考えがあろうかと思います。
ただ、今委員御指摘のように、世界の傾向、それから我が国の畜産も世界のマーケットを意識して展開をしていかなくちゃいけないということであれば、今局長が説明させていただきましたように、世界に通用するものに前進をさせていくということは極めて重要だろうと思っておりますので、実態を踏まえながら、その方向でしっかり努力をしていきたいなというふうに思っております。
○堀越分科員 御答弁ありがとうございます。
先ほど局長からもお話がありましたとおり、農林水産省独自の取組として、アニマルウエルフェアそのものに対する啓発、啓蒙活動等々を行っているその結果として、やはり国民の皆様もそこの認知度というのがかなり上がってきていると私は認識しております。
パラリンピック、オリンピック等々で選手村で扱う食材を、やはりこのアニマルウエルフェア、OIEの基準にのっとった食材を使うということを決めておりますので、その辺に関して、現在日本が生産しているその状況がそれに準ずる形になるのかということで、不安を持たれておられる方々もいらっしゃいますし、この件に関しては、新聞や週刊誌、あるいはテレビなどでも報道されているということもございますので、皆さんの、これはやはり各省庁連携をして取り組まなければいけないことだというふうに思っております。先ほど齋藤大臣の方からも心強い答弁をいただきましたので、ぜひこれも進めていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
次に、先ほどの点と準ずるところがあるんですけれども、アニマルウエルフェアが必要なのは農場内だけではなくて、やはり農場から、それから屠畜ですね、屠畜場や食鳥処理場に出荷された動物について無関係でいるわけには当然いきません。
成鶏、つまり採卵鶏の食鳥処理場において、処理前に長時間放置されてしまうという問題もあります。実際、採卵鶏も、最終的に肉やあるいは化粧品として使われることがあります。その目的で屠畜されているということでございますけれども、農場から出荷されて、長時間かけて輸送がされる、そしてその後の屠畜場内で十七時間以上放置されるというケースが実はあります。関東にある成鶏食鳥処理場六件のうち五件が夜間放置を行っていることがわかっておりまして、これはもう慣習的に行われていることであろうということを示唆しております。
その間、この鶏たちは一切水すら飲めない、そして、非常に狭い輸送用のケージでぎゅうぎゅう詰めで全く身動きがとれないというような状況でありまして、その状態で一晩過ごすということは、動物福祉をかなり大きく低下させてしまうということになります。さらには、ケージが重なっておりますので、上のケージの鶏たちのふん尿あるいは割れた卵等々が降ってきて、非常に体を汚して不衛生な状況になってしまう。そして、地面にはふん尿と卵がたまり、夏場にはウジが湧いてしまうというような状況も実際あります。
十二時間以上給餌、給水が断たれることは、OIEの基準に反しているんですね。実際は十七時間放置されるというケースがあるということでございますので、動物福祉上の問題も抱えておりますが、これは衛生上も極めて大きな問題であるというふうに思っております。鳥インフルエンザやカンピロバクターなどのウイルスや細菌に汚染が拡大する原因にもなりかねない。これら成鶏の肉は、先ほど申し上げたとおり、加工食品、冷凍食品になったり、あるいは化粧品の原料になったりしておりますので、衛生管理上も非常に問題があると私は考えております。
この問題が起きている場所は食鳥処理場であって、その所管は、当然ですけれども厚生労働省の所管になっているわけですけれども、しかし、動物を受け入れる側での改善はしようがないわけでございまして、出荷計画を立てる農場、あるいは輸送の段階での改善が必要だというふうに考えております。これは、OIE動物福祉規約にも繰り返し書かれております。
このことは、農林水産省の課題でもあり、さらには動物福祉、動物愛護を管理監督する環境省の取組も重要でございます。三省が一体となって取り組まなければ改善ができないと私は思っております。
これらについて、各省庁で改善の意向をぜひ示していただきたいという思いと、そして、どのような改善を図っていくのかというところに関しまして、農林水産省の見解を伺いたいと思います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、採卵鶏として役目を終わりました成鶏につきましては、一般的には成鶏専門の食鳥処理場で処理されるケースが多うございます。こういう成鶏も含みます産業動物の集荷、輸送、保管等に当たりましては、関係法令等におきまして、動物の健康の保持、また快適性にも配慮した対応が求められているということでございます。
生産のサイドから見ますと、鶏卵卵価、鶏卵の価格が低下する年明けですとか夏場には、食鳥処理場の処理能力を超えまして成鶏の出荷が一時的に集中して、処理待ちの時間が長くなる場合があって、夜間の長時間放置等の課題があるということは私どもも承知をしてございます。
農林水産省としては、関係団体に対しまして、関係法令等を遵守すべく、計画的な集荷を促す内容の注意喚起を行ってきておるところでございまして、引き続き改善に向けて努力をしてまいりたいと存じます。
○堀越分科員 今、インターネットやあるいは新聞、週刊誌等々でこれも大きく取り上げられておりまして、もう本当に目も当てられないような映像がインターネット等々では多々流れておりますので。これを私が危惧しているのは、東京オリンピック、この契機に海外の選手がそういったものを見てしまった際には、やはりこれは大きな問題になるというふうに私は思っております。
やはり動物愛護管理法の制定から、動物愛護に関する、アニマルウエルフェアに関する意識が国民の皆さんも高まってきております。私の支援者の方々でも、これを何とかしてくれという声がかなり上がっております。もちろん、優良なたんぱく源ですから、国民の皆さんにしっかりそれを提供する、安定した提供をしていくというのはやはり農水省の管轄の責務だと思いますけれども、動物福祉という概念もしっかり海外基準にのっとったものにしていかなければ、大きな問題になるというふうに思っております。
とりわけ、先ほどおっしゃっていた動物の健康保持ということが重要になるということでございますので、現状の、今のバタリーケージを含め、あるいは輸送、屠畜までのその間の放置の時間、これは動物たちにとっては非常に苦痛以外の何物でもないというふうに思っております。人間に例えるならば、もう考えられないぐらいの本当に窮屈な状況ですので、やがて食肉になるんだからいいやということではなくて、やはり最後の最後まで、私たちの血となり肉となるその命をいただいているわけでございますので、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに再度お願いを申し上げたいと思います。
続きまして、また産業動物に関してなんですけれども、産業動物も、動物愛護及び管理に関する法律の中で規定された愛護動物であり、暴力的行為から守られなくてはならないと思います。しかし、現在、農場内、あるいは輸送時、屠畜場内、食鳥処理場の中で起きている暴力的な扱いについては、やはり見過ごされている状況があると考えております。
例えば、屠畜場内への搬入時に、動物は当然怖がるわけですので、そういった場合の誘導にスタンガンを無理に押し当てたり、殴る、蹴るなどの不適切な扱いが日常的に行われているところもありました。また、通常五羽程度入れるバタリーケージに七羽ですとか八羽等を詰め込んでいる農場もいまだにあると承知をしております。豚の密飼いも増加傾向にありまして、これは年に一度立入調査を行う行政職員も知られている状況になっております。しかし、動物愛護又は福祉の観点からも指導は一切なされていないように承知をしております。
また、妊娠ストールのような飼育においても、環境エンリッチメントを行うことによって、現状の施設のままでも十分改善余地がある、しようがあるにもかかわらず、福祉向上における指導というのはなされていないなというふうに感じております。この傾向は、屠畜や食鳥処理場でより顕著でございます。
動物愛護管理法には産業動物も含まれております。年間十億頭近い産業動物が利用されているにもかかわらず、畜産業にかかわる多くの方がそのことを認識できていない状況にあります。業務が分断されることにより動物福祉がないがしろにされることは、望ましくありません。暴力が存在し、非人道的状況に陥っているにもかかわらず、改善がなされないことは、日本の畜産物の品質、あるいは信頼性や安全性の低下に、著しく下げることにつながると私は考えております。
畜産業は、一般の人は立ち入ることはできませんが、密室状態にあるわけではなく、行政職員がたびたび立ち入り、又は屠畜場では公務員が常駐しております。少なくとも、福祉的な問題を発見したり、暴力を見かけたりした際には、動物愛護管理法に基づき指導、勧告、告発が行われるべきではないでしょうか。
そこで、環境大臣政務官を務められた大臣に伺いたいと思います。動物愛護管理法の遵守についても各省庁連携が必要であると考えておりますが、農林水産省のお考えをぜひお聞かせくださいませ。
○齋藤国務大臣 農林水産省としては、動物の愛護及び管理に関する法律を遵守するということは当然のことだと考えておりまして、環境省及び厚生労働省とも連携をして、アニマルウエルフェアを推進することが重要だというふうに考えています。
このため、昨年十一月、アニマルウエルフェアに配慮した飼育管理の基本的な考え方を、都道府県の生活衛生、環境部局等ともよく連携をして、畜産関係者等に周知をするように都道府県宛てに通知をさせていただきました。また、昨年十二月には、農林水産省、環境省、厚生労働省の三者で定期的な連絡会議を設置させていただきまして、関係省庁との連携を今強化しているところであります。
いずれにいたしましても、この違反事例みたいなものがもし出てくれば、きちんとした対応をするということは当然のことでございます。
○堀越分科員 心強い御答弁、ありがとうございます。
本当にこの問題について、たび重なる発言で申しわけございませんが、喫緊の課題だというふうに思っておりますし、日本のすぐれた畜産物をしっかり海外に輸出していくという選択肢もこれから進めていくに当たり、やはりこういった屠畜に関するところまで海外のOIEの基準にしっかり高めていくということが非常に求められているところだと思いますので、ぜひこのあたりの是正もお願いしたいと思います。
そして、あわせて、先ほどちょっと述べさせていただきました環境エンリッチメント、これは、動物の、いわゆるその特性を生かすというか、環境を整備して管理をしやすくする、飼育動物の福祉を格段に向上させる強力な手段としても有用でございまして、動物園なんかでもそれを今導入しているというところでございます。ここに関しては、啓発、啓蒙活動、あるいは移送にかかるときに、動物たちにどういうふうに配慮をすれば動物たちが怖がらず、速やかに誘導できるのか、効率を上げるというところにも直結してくることだと思っております。海外ではこういった取組もなされておりますので、そういったところもぜひ、仕事を簡略化することができるんだということも含めてお示しいただけるとありがたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku%20/003619620180223001.htm