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最低ランクのG-2020日本の畜産動物福祉の評価-動物保護指数(API)  

世界14か国に拠点を持ち、国際的な動物保護活動を行うWAP(世界動物保護協会)が、2020年版の動物保護指数(API)レポートを発表しました。対象となったのは50か国。この中には日本も含まれます。

このレポートはWAPによる恣意的なものではなく、作成にあたってWAPは広範囲に情報を精査しています。

WAPは、政府、獣医最高責任者(CVO)、およびそれぞれのOIEの代表と協力して、50か国の報告のそれぞれに含まれるすべての情報が正しいこと、および見過ごされているポリシーや法律がないことを確認しました。
APIで評価された50か国の各CVOは、公開前にレポートを受け取り、フィードバックを提供するために1か月が与えられました。 関連する場合、CVOからのフィードバックは、Webサイトの国ごとのレポートの最終版に統合されました。-Our stakeholders-About the Animal Protection Index (API)より翻訳

その精査の結果、日本の畜産動物福祉の評価は最低ランクのGにランク付けされました。

2014年のWAPの日本の畜産動物福祉評価はDでしたのでさらに下がったことになります。

2020年の各国の畜産動物福祉の評価ランクは次の通りです。

オーストリア スウェーデン
ニュージーランド スイス ポーランド デンマーク オランダ
韓国 タンザニア スペイン フランス イギリス ドイツ イタリア カナダ ブラジル メキシコ
インド フィリピン オーストラリア 南アフリカ ウクライナ トルコ アメリカ コロンビア
タイ インドネシア ケニヤ ルーマニア マレーシア アルゼンチン チリ ウルグアイ
日本 中国 ロシア エジプト ニジェール エチオピア ナイジェリア アルジェリア モロッコ ベラルーシ イラン パキスタン ミャンマー ベトナム ベネズエラ ペルー アゼルバイジャン

この記事では畜産動物福祉の評価についてのみ取り上げますが、APIは畜産動物だけでなく、動物の知覚が法律で認められているか、動物に苦痛を与えることを禁止する法律があるか、展示下の動物、毛皮産業、コンパニオンアニマル(ペット)、サーカスなどの娯楽利用、実験に使われる動物、政府による動物保護の取り組み、OIE動物福祉基準の遵守状況と多岐にわたり評価をおこなっています。畜産動物福祉以外の分野の評価についてはこちらをご覧ください。

(翻訳はボランティアスタッフHarukaさんの協力でアニマルライツセンターが独自に行ったものです)

2020年版WAP評価 農業に用いられる動物の保護について

日本-評価G

飼育

「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和48年)第2条及び第7条第1項の虐待防止及び注意義務の規定は、本区分の動物に適用される。
同法第44条に基づき、残酷な扱いに対して刑事罰を与えることのできる「保護動物」の区分に列挙されていること以外では、本法には、畜産に用いられる動物の福祉上のニーズに具体的に対処する内容は存在しない。畜産に用いられる動物は、第3章第2節「動物取扱業の規制」の対象外とされている。
第7条第4項は、大臣は、関係行政機関の長と協議の上、動物の飼養及び保管に関し遵守すべき基準を定めることができると規定している。
この法律に基づいて作成された指針には、「産業動物の飼養及び保管に関する基準」(昭和62年総理府告示第22号、農林水産省の後援を受け、首相官邸が日本畜産技術協会と共同で作成)が含まれており、これは、農場の衛生管理、動物虐待の回避、動物の輸送などについての勧告を含む、畜産動物の扱い方についての指針となっている。 しかし、これらの基準の翻訳は執筆時点では見つかっていない。

飼養 – ブタ

特にブタの飼養に関連した政策や法律はない。

飼養 – ブロイラー鶏

特にブロイラー鶏の飼養に関連した政策や法律はない。

飼養– 採卵鶏

特に採卵鶏の飼養に関連した政策や法律はない。

飼養– 乳牛及び子牛

特に乳牛及び子牛の飼養に関連した政策や法律はない。

輸送

特に畜産動物の輸送に関連した政策や法律はない。

屠殺

屠殺については、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年)第40条に、動物を処分しなければならない場合には、その動物の苦痛をできる限り少なくする方法を用いなければならないこと、また環境大臣はその方法に関連した指針を提供することができると規定されている。
「動物の殺処分方法に関する指針」(平成7年総理府告示第40号)には、動物の屠殺に関する詳細が記載されている。この指針は、すべての屠殺方法が、動物に与えられる苦痛を最小限に抑えるものあり、産業動物の飼養と保管に関する基準などの他の基準に沿っていることを求めるものである。

分析

「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和48年)の一般的な虐待防止規定は、法執行メカニズムを含めて、畜産動物(魚類を除く)に適用され、さらに畜産動物に関するいくつかの指針が作成されている。
「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和48年)第 39 条では、動物福祉の非営利法人、獣医師団体その他の動物の福祉と適切な飼養に関する普及と意識向上のために活動している団体の代表者で構成される地域協議会の存在が論じられている。これらの協議会は、地域の動物福祉推進者の任命を補助し、その活動を支援するものである。
「産業動物の飼養及び保管に関する基準」(昭和62年)は、具体的な指示を与えておらず、また、農家がこの指針に従っているかどうかを確認するための正式な検査または執行体制もない。また、「動物の殺処分方法に関する指針」(平成7年)においても、動物の屠殺の前後における不必要な苦痛の防止が不明瞭である。

法執行メカニズム

畜産動物を殺したり、負傷させりすると、罰金または2年以下の懲役に処せられる。正当な理由なく給餌や水やりを中止して衰弱させたり、遺棄したりする残虐行為は罰金に処せられる。
しかし、大臣の指針に含まれる具体的で詳細な規定に関する法執行メカニズムは存在しないように見受けられる。

主な推奨事項

• 日本政府は、飼養、輸送及び屠殺の段階における畜産動物の飼養のための具体的な福祉要件を詳述した法律を制定することが求められる。このような要件は法的拘束力があり、種に特化したものでなければならない。農場及び屠殺場の定期的な検査は、動物福祉に特に焦点を当てて実施されるべきである。この法律は、OIEの動物福祉基準に沿ったものでなければならず、飼養、輸送及び屠殺の全過程を通じて動物の「5つの自由」を保護するものでなければならない。

• さらに、日本政府は、畜産動物にとって最悪の形態の監禁を禁ずることが求められる。特に、分娩用ストール、雌豚用のストールケージの使用を禁止すべきである。ブロイラー鶏の飼養密度も、最大 30 kg/m 2以下とする。子豚の体の部位の切除や採卵鶏のくちばしのトリミングなどの外科処置は、麻酔下で鎮痛薬を使用した場合を除き行ってはならない。

• 日本政府は、すべての家畜の人道的な屠殺を義務付けるよう求められる。動物は、屠殺前に瞬時に意識を失い、苦痛を感じなくなるようにすべきである。今日、世界中の宗教当局の間では、屠殺前のスタニングは宗教的な原則に適合しているとのコンセンサスが高まっている。人道的なハラール屠殺は、動物の頭蓋骨が無傷で、屠殺前に動物が意識を回復する場合、屠殺前にスタニングで一時的に意識を消失させることを許している。したがって、動物は出血する前に意識を失っていなければならず、不可逆的な意識消失が確認されるまでは、それ以上の処理を行うべきではない。いかなる動物にも、それが本質的に苦痛であることから、他の動物が屠殺されるところを強制的に目撃させてはならない。

• 長距離輸送に伴う動物福祉上の重大な懸念から、日本政府は、生きた動物の長距離輸送 (8時間以上) を禁止し、食肉のみの取引に切り替えることを強く求められる。長距離輸送は、すべての動物にとって慢性的なストレスを伴うものであり、動物の種や輸送手段によっては、過密状態、疲労、過度の暑さや寒さ、不十分な換気や食物や水へのアクセスを伴い、病気、痛み、怪我、または死に至る可能性があるため、本質的に残酷である。

*過去の評価PDF

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