欧州を中心に世界 100 カ国以上で実践されているGAPの世界標準であるGLOBAL. G.A.P.(グローバルGAP)は適正農業規範ですが、一般的な認証のようななにか特定の付加価値をつけるものであったり、動物福祉を保証するものではありません。最低限の方やガイドラインを守り、適正に畜産業、農業を営んでいること、改善の努力をしていること、つまり怠惰でひどい状態にないことを証明するものです。
これはもちろん必要な認証であり、当然適正な環境から生み出された畜産物や農産物が売られていくべきであると思います。
しかし、いわゆる”最低ライン”はクリアしているということを証明したに過ぎない認証であるといえます。
Global G.A.P.といっても欧米のアニマルウェルフェアの団体は知らない、もしくは役に立たないと認識されているのが現状です。
それでも、JGAPや日本の一般的な畜産業から見るとそのアニマルウェルフェアに関わる基準は守られていない、もしくは守ることが出来ない状態にあります。
※福祉に関係するもので、日本では守られないことが多いと考えられる部分のみ抜粋
推奨項目として、深い藁を床に敷いていない養豚場は、ミストかスプリンクラーを用意し暑さを防ぐことなども記載されています。
さらに一歩進めたアニマルウェルフェアを担保した認証も用意されています。(アニマルウェルフェアアドオン)
このアニマルウェルフェアアドオンの中にはより細かく、以下のような必須項目が設定されています。
20-30kgの豚0.37㎡
30-50kgの豚0.49㎡
50-85kgの豚0.68㎡
85-110kgの豚0.8㎡
110kgの豚1.23㎡
※福祉に関係するもので、日本では守られないことが多いと考えられる部分のみ抜粋
日本では鶏はまるでもののように扱われているケースが多いため、一般的な低い水準も危うい項目が多いように思います。
例えば
などのゆるめの規定ですら日本では守られているとは私たちは認識していません。
その他必須項目として以下の様なものがあります。
1.自由に動く
2.正常に立つ
3.方向転換
4.翼を伸ばす
5.止まり木
6.他の鳥と接触せずに座る
1.最初に適用されたときの衛生状態
2.適切な材料および粒径
3.農場に保管するさい、雨から守られ、地べたに置かないこと
4.乾燥し、砕けやすい状態で維持するために管理すること
5.糞の希釈のための十分な深さ(最小2cm)を確保すること
6.鳥に砂浴びをさせる
7.必要に応じて、新鮮な敷料を毎日上に補充すること
また、鶏についてもアニマルウェルフェアアドオンの規定があり、その中の項目は日本ではほぼ守られていないと私たちは認識しています。
1.鳥のさらなる苦しみを防ぐために必要なときにのみ適用される。
2.適性な労働者が速やかに実施し労働者は面接時にてデモンストレーションする必要あり
3.方法は法律によって許可されている。
4.適切な方法は直ちに死に至るか意識を失い死に至る。
5.処理された数は毎日記録されること”
なお、試料がIBGE で規定されたアマゾン生態群系からのものではないことや、魚粉が含まれる場合その魚が持続可能な漁業により得られたものであるかということも規定されています。
日本の畜産に使われる動物は世界水準よりもひどい扱いを受けている
これは私たちの認識であるだけでなく、世界の認識です。World Animal Protectionの格付けでも日本はそのように評価されています。
この汚名を返上したければ、最低限Global G.A.P.の基準を守っていただきたいと思います。日本のレベルに合わせ都合よく書き直したJGAPではなく、堂々とGlobal G.A.P.にトライし、クリアできるよう努力をするべきでしょう。
日本人が動物に対してひどい扱いをする国民なのだと私たちは思っていません。直視することが出来ないほど気持ちの弱い(あえて良く言えばやさしい)国民なのではないかと思っています。
動物福祉の知識を得ると、動物たちを扱ってきたこれまでの方法がどれほど動物たちを苦しめていたのか、気が付きます。そうすると通常の感覚、ごく一般的な思いやりを持つ人間であれば、改善しなくてはならないと感じますし、罪悪感も感じるでしょう。
だからといって、動物が苦しんでいるということを知ろうとせずに、又は知った上で改善せずに、業を営み続けることは、許されることではありません。
東京オリンピック・パラリンピックでは世界から日本の状況が注目されます。現在世界のアニマルウェルフェアがどんどんあがっているため、日本との差は広がっていっています。「なんて冷たい国民なんだ」という認識をされてしまうリスクを、今現在どんどん強くしていっている状況にあるのです。
■日本の養鶏:本来生えているはずの全身の羽毛が禿げてしまっている。この光景は日本の養鶏場では一般的