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GLOBAL. G.A.P.はアニマルウェルフェアを保証するものではない

欧州を中心に世界 100 カ国以上で実践されているGAPの世界標準であるGLOBAL. G.A.P.(グローバルGAP)は適正農業規範ですが、一般的な認証のようななにか特定の付加価値をつけるものであったり、動物福祉を保証するものではありません。最低限の方やガイドラインを守り、適正に畜産業、農業を営んでいること、改善の努力をしていること、つまり怠惰でひどい状態にないことを証明するものです。
これはもちろん必要な認証であり、当然適正な環境から生み出された畜産物や農産物が売られていくべきであると思います。
しかし、いわゆる”最低ライン”はクリアしているということを証明したに過ぎない認証であるといえます。

それでもJGAPより高いアニマルウェルフェア

Global G.A.P.といっても欧米のアニマルウェルフェアの団体は知らない、もしくは役に立たないと認識されているのが現状です。
それでも、JGAPや日本の一般的な畜産業から見るとそのアニマルウェルフェアに関わる基準は守られていない、もしくは守ることが出来ない状態にあります。

必須項目

※福祉に関係するもので、日本では守られないことが多いと考えられる部分のみ抜粋

  • 去勢が7日以内又は麻酔ありで行われること
  • 断尾は習慣的に行われず、必要なときのみとしていること、更に行う場合は生後48時間以内に行うこと
  • 耳刻は獣医師の書面による承認が必要
  • 獣医学上福祉的な意味で必要とされなければ28日齢未満の場合は離乳させない
  • スノコ床のサイズは指定されてたサイズ以上であること
  • 豚の行動欲求を満たし尾を噛むことを防ぐため、ワラや木材や天然素材で作られたロープなどを提供すること
  • 全ての豚が乾燥し清潔な寝床を利用できること
  • 妊娠ストールや繋ぎ飼育、または拘束檻を使用しないこと。分娩ストールと4週間以内を除く
  • 分娩ストールは完全に手足を伸ばした状態で横になることができるスペースが有ること
  • 分娩ストールの上部は正常な行動ができる空間があること(背中に傷などがないことを保証すること)
  • 精神安定剤の利用は禁止されていること

推奨項目として、深い藁を床に敷いていない養豚場は、ミストかスプリンクラーを用意し暑さを防ぐことなども記載されています。

さらに一歩進めたアニマルウェルフェアを担保した認証も用意されています。(アニマルウェルフェアアドオン)
このアニマルウェルフェアアドオンの中にはより細かく、以下のような必須項目が設定されています。

  • 1㎡につき豚の収容密度についてのEUガイドラインの要求事項は守られている、または㎏/㎡あたりに許されるスペースがより広い特別な要求にしたがっているか。

20-30kgの豚0.37㎡

30-50kgの豚0.49㎡

50-85kgの豚0.68㎡

85-110kgの豚0.8㎡

110kgの豚1.23㎡

  • 掘る、噛む、気を紛らわせる、新しいものといったエンリッチメントが行われているか
  • 体の半分以上がクリーンな状態に保たれているか
  • 共食いの兆候が見られた場合のアクションプランがあるか
  • 治療用のペンが少なくとも1つ以上用意されているか。
  • 地元の規則に従った、また、人道的な方法による安楽死のポリシーが書かれているか
  • と畜場への輸送は確かな輸送業者又は農場主自身によってのみ行われているか。
  • (8時間以内の輸送であること、違うグループの豚が混ざることを避けること、適切な輸送地域であること等)
  • と畜場から生産者に対し、皮膚の病変のグレードや内臓の肺のグレードや情報をフィードバックするシステムがあるか

※福祉に関係するもので、日本では守られないことが多いと考えられる部分のみ抜粋

日本では鶏はまるでもののように扱われているケースが多いため、一般的な低い水準も危うい項目が多いように思います。
例えば

  • 病気や怪我をした動物を治療や回復のために隔離するのに適した施設をもっていること
  • 痛みや怪我や病気から常に守られるように扱われていること
  • 弱った動物の殺処分は法的要件を満たしていること(日本の動物愛護法でも「できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない」としているが、「できる限り」の努力がなされているとは言えない)
  • ストレスが最小限になるよう静に積み込み・積み下ろしがなされていること
  • 床、天井、壁は良好な状態に保たれ、衛生的に管理されていること

などのゆるめの規定ですら日本では守られているとは私たちは認識していません。

その他必須項目として以下の様なものがあります。

  • 強制換羽はなされていないこと
  • 産まれた雛の(輸送)箱のスペースは、雛1羽につき21cm2以上であること
  • すべての鳥は、次のことをすることが困難なことなく彼らを可能にするのに十分なスペースを持っていること

1.自由に動く

2.正常に立つ

3.方向転換

4.翼を伸ばす

5.止まり木

6.他の鳥と接触せずに座る

  • 飼育密度は地元の法律を守るとともに、38 kg/m² を超えないこと(ブロイラー)
  • 人工光で育てられたすべての鳥の照明は、昼夜のリズムに従い、少なくとも6時間の暗闇の期間を含み、調光時間を除いて少なくとも妨げられない4時間の暗期をとること
  • 敷料は以下が守られていること

1.最初に適用されたときの衛生状態

2.適切な材料および粒径

3.農場に保管するさい、雨から守られ、地べたに置かないこと

4.乾燥し、砕けやすい状態で維持するために管理すること

5.糞の希釈のための十分な深さ(最小2cm)を確保すること

6.鳥に砂浴びをさせる

7.必要に応じて、新鮮な敷料を毎日上に補充すること

  • 鶏、およびその施設は少なくとも毎日2回検査されれていること。また淘汰する鶏の記録により、毎日2回チェックが行われていることが確認できること
  • 歩行スコアが3(異常が確認でき全体の身体機能に影響=3以降の数値は鶏が痛みを感じていることを示している)以上のすべての足が不自由な鶏を認識していること、また鶏の毎日の検査を担当する労働者が訓練されていること
  • 歩行スコアが4(機能が重度に悪化、しかし歩くことはできる)または5(足が完全に不自由)の場合、動物福祉に配慮し速やかに淘汰されること

また、鶏についてもアニマルウェルフェアアドオンの規定があり、その中の項目は日本ではほぼ守られていないと私たちは認識しています。

  • 飼養密度の要件は最大で33kg / m2とし、特定の顧客でもkg体重/m2の要件を満たされているか?
  • アンモニアのレベルは20ppm未満でなければならず、CO2のレベルは3000ppm未満か?
  • DOCs(1日齢の雛)を導入された日に、敷地上部で測定された床温を記録しているか。
  • すべての鶏はいつでもよく管理された敷料にあくせすできるか。
  • 労働者は適切な敷料管理に関して詳しいか?
  • 環境エンリッチメントが提供されているか。
  • 責任ある抗生物質の使用のポリシーが規定され、実行され、レビューされているか。
  • サイトの6サイクル(平均)の間低レベルでの皮膚炎(足、飛脚、胸)の発生がないか。
  • 病気の鶏の淘汰は以下の要件を満たしているか。

1.鳥のさらなる苦しみを防ぐために必要なときにのみ適用される。

2.適性な労働者が速やかに実施し労働者は面接時にてデモンストレーションする必要あり

3.方法は法律によって許可されている。

4.適切な方法は直ちに死に至るか意識を失い死に至る。

5.処理された数は毎日記録されること”

  • 鶏の捕獲や輸送に関わるすべての労働者は訓練を受け有能であり職務の書面による指示を受けているか。
  • 屠殺場への鶏の輸送は認定された運搬業者により行われているか。
  • 到着時の輸鶏の羽や足のダメージと到着時の死亡数について屠殺場から生産者へのフィードバックシステムがあるか。
  • 死体評価に基づいた非難のレベルと偏差に基づいた生産者のためのアクションプランについて屠殺場から生産者へのフィードバックシステムがあるか。

なお、試料がIBGE で規定されたアマゾン生態群系からのものではないことや、魚粉が含まれる場合その魚が持続可能な漁業により得られたものであるかということも規定されています。

最低限Global G.A.P.基準を守ってほしい

日本の畜産に使われる動物は世界水準よりもひどい扱いを受けている

これは私たちの認識であるだけでなく、世界の認識です。World Animal Protectionの格付けでも日本はそのように評価されています。
この汚名を返上したければ、最低限Global G.A.P.の基準を守っていただきたいと思います。日本のレベルに合わせ都合よく書き直したJGAPではなく、堂々とGlobal G.A.P.にトライし、クリアできるよう努力をするべきでしょう。

日本人が動物に対してひどい扱いをする国民なのだと私たちは思っていません。直視することが出来ないほど気持ちの弱い(あえて良く言えばやさしい)国民なのではないかと思っています。
動物福祉の知識を得ると、動物たちを扱ってきたこれまでの方法がどれほど動物たちを苦しめていたのか、気が付きます。そうすると通常の感覚、ごく一般的な思いやりを持つ人間であれば、改善しなくてはならないと感じますし、罪悪感も感じるでしょう。
だからといって、動物が苦しんでいるということを知ろうとせずに、又は知った上で改善せずに、業を営み続けることは、許されることではありません。
東京オリンピック・パラリンピックでは世界から日本の状況が注目されます。現在世界のアニマルウェルフェアがどんどんあがっているため、日本との差は広がっていっています。「なんて冷たい国民なんだ」という認識をされてしまうリスクを、今現在どんどん強くしていっている状況にあるのです。

■日本の養鶏:本来生えているはずの全身の羽毛が禿げてしまっている。この光景は日本の養鶏場では一般的

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