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災害はすぐそこ。ちゃんと動物を守れるようにしてください

毎年災害はひどくなっているように感じる。被災地が増えるたびに、畜産動物の犠牲数が万単位で増えていく。気候変動はまっさきに弱者に襲いかかっていくことをすでに実証しているようだ。

農林水産省は「台風第 10 号の接近等に伴う農作物等の被害防止に向けた技術指導の徹底について 」とする技術指導を各都道府県などに通知した。またSNSなどでも「備蓄や非常用電源の確保等を行い、豪雨や台風襲来に備えましょう!」とするページをシェアしている。役割を果たしてくれていることはありがたい限りだ。

しかし私達はこれでは動物たちは守ることができないのではないかと危惧する。

アニマルライツセンターは以下の内容を求めている。残念ながらこれでも守ることができない動物は多数出るだろう。それは集約的畜産を続けている限り、解決はしない。

それでも、畜産農家にはまずできることとして、災害計画を立て、避難場所の確保、備蓄、訓練、電源が断たれたとしても死なない環境づくり、日頃からの動物のハンドリングなど、できることをやってほしいと願う。

  • まず、避難可能な場所を確保することを検討すること
      1. 詳細の避難についての方法は、カナダ政府の「農場飼育動物のための緊急事態への備え」所定の場所で保護するための計画/安全な場所への避難計画 を参照してください
      2. 避難のための点検及びトレーニングを定期的に実施すること

  • 家畜を避難させることが現実的でない場合は、畜産農家は、動物たちを安全かつ適切に生存させる強力なシェルターと十分な食料と水、その他維持に必要な以下の項目を必ず用意すること
    1. 飼料を備蓄すること
      1. 台風など予測できる場合は被害が予測される日数に合わせた量を確保すること
      2. 地震など予測できない災害に備え、常に1週間分の備蓄をすること
      3. 施設が破損しても、又は電気がなくても給餌できる仕組みの準備
    2. 飲料水を備蓄すること
      1. 電気がなくても少なくとも1週間は動物に水を確保できる設備の準備
        (手動ポンプ、使用できる井戸水や川の水などの揚水の準備、又は貯水槽の整備)
      2. 施設が破損しても、又は電気がなくても給水できる仕組みの準備
    3. 停電時に使用できる補助電源の準備、及び燃料
      1. 燃料は日本の災害で常に課題になるため、災害時に活用できる量を備蓄すること
      2. 燃料の備蓄にあたっては使用推奨期限(石油連盟によると灯油・軽油は6ヶ月、重油は3ヶ月)を守ること
      3. 通電火災の知識の徹底を行うこと
    4. 暑さ、寒さや湿気等のための対策を取れる状況を作ること
      1. 過密であれば暑さによる熱ストレスや、湿気によるストレスが発生するため、飼養密度を常に適正なものに保つこと
      2. ファンやミストがなくても死亡しない飼育環境を恒常的に保つ、つまりは過剰な集約的畜産を見直すこと
      3. 壁が破損するなどに備え、幕やシートなどを余分に用意しておくこと
    5. 農場非常用キットを用意すること
      1. カナダ政府の「農場飼育動物のための緊急事態への備え」ステップ3:農場非常用キットを準備する 参照
    6. 動物を淘汰しなくてはならない場合の淘汰のための薬剤の用意、または淘汰を依頼する経路の確保
      1. 動物を生かすことができないと判断する基準を提示すること
      2. 上記にはアニマルウェルフェアが著しく侵害される場合を含め、その判断方法を提示すること
      3. 淘汰の方法は、事前に意識を失わせ、かつ麻酔効果の手立てを講じた安楽なものであること。また、国際基準(OIEコード)を厳守すること
      4. 急いでと畜場に出荷する場合にあっても、と畜場でのアニマルウェルフェア低下を招かないよう、計画的に行うこと
      5. 淘汰又はと畜までの間であっても、餓死や衰弱死することがないよう、アニマルウェルフェアが保たれるようにすること
    7. 自主的な災害計画(準備とともに発生時の対応方法、連絡先や応援要請等)を策定すること
    8. 被災時の近接農家の連携強化。被害を受けた畜産農家が、周辺の畜産農家から協力を得られる関係の構築(当事者が被害で動けない等の状況をフォローできる体制)すること
    9. 定期的に災害のための備蓄を点検すること
    10. 定期的に緊急時の手順、水の確保等を従業員とともにトレーニングすること
      ※講習だけではなく実際のトレーニングを行うことを強く推奨

  • 国、及び各都道府県行政は、畜産動物の保護及び農家の支援のため、以下の項目を用意すること
    1. 準備不足の畜産業者への予備電源確保
    2. 畜産動物を含めた給水の確保
    3. 畜産農家を含めた備蓄燃料の確保
    4. 行政として、最低限、災害時の安楽死処分の方法や手順等を策定すること
      1. 淘汰の方法は、その際使用する安楽死方法は事前に意識を失わせ、又その際に麻酔効果を得られる方法を利用した安楽なものであること。また、国際基準(OIEコード)を厳守すること
    5. 災害が予測されている場合、事前に各農家に対策の徹底を毎回呼びかけること
    6. 定期的に各畜産農家に1及び2の災害対策の点検、トレーニングを呼びかけること

  • その他、有識者やケーススタディ等を含め、詳細なマニュアルを策定し、全国全ての畜産農家が災害対策を行うよう徹底すること

  • 管理しきれない、守りきれない数の動物を飼育しないよう日頃より徹底すること

 

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