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本来の姿の鶏は、大変仲間とのコミュニケーションが発達しており、もちろん飛ぶこともでき、巣も作ります。
卵をとられそうになれば母鳥は抵抗します。
人間と同じで一羽一羽に個性があります。スイスのBerne大学での鶏の足にチップを付けてそれぞれの鶏の行動パターンを探る研究では*、グラフを見るだけで別の動物だと言うほどの一貫性があったといいます。それぞれの鶏が自らの生活スケジュールに非常にこだわっていることがこの研究で明らかになりつつあります。
しかし現代の工場型畜産では、鶏たちは本来の習性を発揮できない状況で、個々の鶏に選択の自由はなく狭いバタリーケージの中で閉じ込められ機械のように(バタリーの語源は「連続した一つの装置」の意です)扱われてしまっています。

 

クチバシの切断

まず、生後0~10日くらいの間に、雛はデビーク(ビークトリミング)つまりくちばしの先を切り取られます。

人間にたとえれば、つめを切るようなものと想像する人もいるかもしれませんが、それは誤りです。
クチバシは複雑に神経が通う機能的な器官で、デビーク時には出血、デビーク時の痛みだけではなく、その後慢性的な痛みを経験すると言われています。

デビークについての詳細はこちら

バタリーケージ

一般的に鶏たちは雛~中雛~成鶏~出荷に至る生涯を狭いケージの中で過ごします。
雛の時は雛用のケージに、少し大きくなると中雛用のケージに、卵を産む日齢になると成鶏用のケージに移動されます。何段にも積み重なったケージに鶏を詰め込んでいるバタリーケージでは1羽辺りに与えられる面積はアイパッド一枚分しかありません。ケージの中には止まり木も、巣も砂場もありません。
止まり木は、特に夜寝るときに鶏が積極的に利用するものです。被食種である鶏にとって高いところは「安全」で安心できる場所でもあります。しかし止まり木はケージの中にありません。
巣も鶏にとって不可欠なものです。鶏には安全な巣の中で卵を産みたいという欲求があります。また被食種である鶏には、隠れたいという欲求もあります。しかしその欲求がかなえられることはありません。
すべての鳥類と同じく体を清潔に保つために砂浴びをしたいという欲求もありますが、砂場は設置されていません。
しかし砂場がなくとも、鶏たちはしばしば給餌箱に頭をつっこみながら両翼を動かし、砂浴びの真似事をします。
羽は汚れ、金網ですれ切れます。 土の上を歩いていれば自然に擦り切れる爪は、伸びきり、金網にからまります。効率のみを追求したこのケージは鳥にとって非常に酷な状態です。穴の開いたケージの隙間や針金の間、床下の隙間に羽や頭や足が挟まり、死んでしまうまで放置されてしまうこともあります。EUではすでにこのバタリーケージは禁止になっています。欧州委員会の科学獣医学委員会による報告書は、バタリーケージに対して非常に批判的であり、「現在使用されているバタリーケージは、その小ささと酷さで、鶏の福祉にとって本質的な重大な欠点を有することが明らか」と結論づけています*。諸外国のバタリーケージ廃止状況はこちら
*European Commission:  Scientific Veterinary Committee, Animal Welfare Section.  Report on the welfare of laying hens.  30 October 1996.  Brussels, Belgium.  Conclusion 9 (emphasis added). 

(2015年日本のバタリーケージ養鶏場)


(2016年日本のバタリーケージ養鶏場 左下隅に死体が放置されています)

 

強制換羽

産卵を開始して約1年が経過すると、卵質や産卵率が低下します。この時点でと殺される場合もありますが、長期にわたって飼養しようとする場合には、強制換羽がおこなわれます。強制換羽とは、鶏に2週間程度、絶食などの給餌制限をおこない栄養不足にさせることで、新しい羽を強制的に抜け変わらせることです。換羽期に羽毛が抜けかわると再び卵を産むようになるという鶏の生態を利用し、生産効率を上げるために行われています。
ショック療法ともいえる強制換羽は、通常の鶏飼育時よりも死亡率が高いことが知られています。 日本の採卵養鶏の66%で強制換羽が行われており、そのうち絶食あるいは絶食絶水法での強制換羽は81%で実施*2されています。

(2015年 日本の養鶏場 強制換羽で死亡した鶏たち)
 
出荷
採卵鶏は卵の生産量が落ちる1~2年で屠殺されます。
採卵用の鶏を「廃鶏」(と殺)するときの取引価格はただ同然です。卵用の鶏は”肉”としての価値は低いからです。
そのため輸送~と殺までの扱いもブロイラーよりもさらにむごく、輸送時間もブロイラーより長く、夏の暑い日には食鳥処理場(鶏の屠殺場)につくまでに熱中症で死んでしまうこともあります。さらに食鳥処理場では餌は勿論水も与えられず、その日に屠殺しきれなかった鶏たちは翌日にまわされます。

(2015年日本の食鳥処理場 水も餌も飲めない状態で、すし詰め状態のカゴに収容されたまま翌日の屠殺に持ち越された採卵鶏たち。)
 

 

*2 2014年飼養実態アンケート調査報告書
 http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/index.html


キャンペーンページへ http://save-niwatori.jimdo.com/

 
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