[Rio 2016 Taste of the Games]の中には、動物を守ることのできるいくつかの項目が出てくる。
まず、最初に、日本語で言う「環境」には多くの場合森林や海や生態系というイメージがあるが、世界で使われる「Enviroment=環境」には人が暮らす環境も、動物が暮らす環境も、つまり人工的な環境も含まれる。そして持続可能性の中に当然動物の環境が含まれている。
自然からかけ離れた工場畜産(毛皮やウールなども含む)で作られた製品は持続可能性はないと考えられている。理由は、持続可能な開発として定義される”公衆の健康を促進し、健康への脅威からの保護を向上させる”を著しく損なうからだ。また、大量の畜産物の生産が地球全体の過剰開発、過剰搾取につながっているからだ。
2012年のロンドン・オリンピック/パラリンピックでも、2016年のリオ・オリンピック/パラリンピックの持続可能な調達に関する規定には、この考え方が反映されている。
環境法規やブラジルの労働法規、ILOコア規則を含め、ブラジルの法令を遵守する調達元から調達したもののみとすること
児童労働の撤廃を含め、サプライチェーン内のリオ2016労働慣行を遵守する調達元から調達したもののみとすること
食品安全や原産地情報が確保でき、そして環境破壊がないことを証明するトレーサビリティのメカニズムを備えていること
日々の管理のなかで、社会福祉と動物福祉を促進し、ブラジルの熱帯雨林やその他の生態系を保護し、経済発展をもたらす土地管理プロセスを含み、社会福祉と動物福祉を促進する健康的で持続可能な生産プロセスを行う生産者から調達したものであること
このコミットメントを基本とし、各調達物について詳細が規定されている。動物に関連する部分のみを抜き出した。
カテゴリー | 手順と利用できる認証 | コミットメント |
魚介類 | ・ 養殖 – ASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会) ・ 天然漁業 – MSC(海洋管理協議会) | ・ 職人的な漁法を使い、持続可能な餌を給餌し、貯蔵密度においても動物福祉に配慮する、社会的、環境的管理プロセスを有する小規模な養殖場からのASC認証の魚介類の購入と消費を優先する。 ・ すべて魚介類は個々の漁場までさかのぼって完全にトレーサビリティができること。 ・ 認定魚介類をプロモートするために、あらゆるレベルでの利害関係者やサプライヤーとの契約において、ASC(養殖)、MSC(天然捕獲漁業)、IPERJ/ SEDRAPの支援を行う。 ・ 2016年リオオリンピック/パラリンピックの期間前または期間中に行われる教育と行動変化に関連する共同プロジェクトに関わるコラボレーションを支援する。 |
ビーフ | ・ 持続可能な畜牛生産システム基準 ・ 持続可能な農業ネットワーク基準 ・ 持続可能な農業ネットワーク認証(SAN) ・ レインフォレスト・アライアンス ・ ブラジルの法律で定められた「Produto Orgânico(有機畜産)」認証マーク | ・森林破壊ゼロに署名した生産者 ・ すでに下記にあげるような社会的、環境的さらに動物福祉の実践を含む管理システムを持っているか、あるいはRio 2016を協力して履行する意思をもつ、いずれかの生産者が優先される; ・ 高い生産効率の牧場管理 ・ 動物福祉プログラム ・ 群れの植物検疫管理 ・ 土壌保全プログラム ・ 水質保全プログラム |
牛乳・乳製品 | ・ PAS Milk ・ レインフォレスト・アライアンス ・ ブラジルの法律で定められた「Produto Orgânico(有機畜産)」認証マーク | ・ 森林破壊ゼロに署名する生産者(酪農家を含む) ・ レインフォレスト・アライアンスシール認証を持つ生産者が優先される |
鶏肉・卵 | ・ ブラジルの法律で定められた「Produto Orgânico(有機畜産)」認証マーク | ・ 社会的、環境的、動物福祉的実践を行うための管理システムをすでに持つ(又はRio 2016を協力して履行する意思を持つ)生産者 ・ すべての新鮮な卵はCaipira(地鶏)が産んだものとする(高い動物福祉のため、ケージ飼育ではない卵であり、化学物質やホルモン剤を使用しない自然な野菜類のエサを与えられている卵) |
蜂蜜 | ・ ブラジルの法律で定められた「Produto Orgânico(有機畜産)」認証マーク | ・ リオデジャネイロ州内の蜂蜜を調達する。難しい場合はブラジル国内のサプライヤーを探すこと ・ 蜂蜜は持続可能な農業ネットワーク(Sustainable Agriculture Network (RAS))に沿って生産されること |
同じガイドラインの4章目には、[OUR VALUE]価値の提供を規定する章がある。
この中には、健康に配慮した食事を提供するようにという内容が含まれる。
その基本原則の中の「健康的な提供」には、こう書かれている。
どんな食事においてでも、バランスが鍵になります。
限られた提供では、特定の食物グループが不足するかもしれないことを意味します。ところが、あまりに多くのメニューが、特定の種類の食物(澱粉、砂糖、その他のコンフォートフード(懐かしさを醸すような食べ物で多くの場合高カロリー高炭水化物で簡易な容易で済ますことができる食べ物を指す))に惹きつけられる多くの人々のためのものになってしまうことがあります。
食物と飲料は、食べ物で人々をはっぴーにするためで満足にして良いものではなく、健康的な選択に人々を導く社会的義務があります。
たとえば、赤身肉の製品を徹底的に代替させることは、心臓病を減らすのに役立ち、さらに全体的な二酸化炭素排出を最小にするという利点も加わります。
世界はすでに、畜産物を減らす利点に気が付き、動き始めていることを証明する、リオ・オリンピック/パラリンピックの調達コミットメントとなっていました。
このリオオリンピックパラリンピックを景気とし、ブラジルの動物福祉のレベルが上がっているという情報もあります。
かつての東京オリンピックのように、オリンピックが経済的にその国を直接的に盛り上げるということは多くの場合、すでにおこらないことになっていると思います。かけた金額以上の見返りがあるとすれば、それはアニマルライツやアニマルウェルフェアを含む文化的、道徳的発展です。
東京オリンピックは、最低限、この規定を下回ることなく、そして4年もたつのですから、世界はさらにこれを向上させたガイドラインを望むでしょう。
もちろん、私たち日本人も、これを上回る、誇りを持てるガイドラインになり、それが実践されることを望んでいます。