アニマルライツセンターはアニマルウェルフェアの向上を目指しているし、良い取り組みをする企業や生産者も少しだけだがようやく現れてきた日本。でも、そんな努力をすべて無にするような、ひどい虐待が行われていて、この部分の改善が日本は進まない。
日本の諺にもある”臭いものに蓋をする”という悪い文化が、よく現れている。
アニマルウェルフェアとかいう以前の問題である日本の畜産業が抱えている動物虐待をまとめてみた。
恐ろしいことは、これらが一部の業者で起きている珍しいことではなく、日常的に起きていることであったり、行政も知っている(問題だと認識していない可能性はある)ことだ。
さらに恐ろしいことは、これらの暴力、動物虐待が日本では一切規制されていないことだ。
日本の⽜と畜場の50.4%は牛に飲み水を与えない。豚の屠殺場の86.4%は豚に飲み⽔を与えない*1。屠殺場の多くは、「シャワーの⽔を飲⽤⽔の代わりに している」としているというが、実際に飲んでいる⽔は仲間の糞尿まみれの⽔。シャワーは到着後すぐ、または屠殺前に浴びせられるため、シャワーの出ていないときには尿を飲む、またはただ喉の乾きに苦しむ。屠殺場に運び込まれてから24時間、輸送時間を含めるともっと長い時間、大半の動物が水を飲ませてもらえない。
日本の鶏の屠殺場(食鳥処理場)の大半が、意識を失わせることなく、首を斬る。「頸動脈の切断のみのと殺は、死への時間を⻑引かせる。」
とにかく屠殺の失敗が多い日本。年間約50万羽の鶏が首を斬るのを失敗され、生きている状態のまま次の工程である熱湯処理に進み、熱湯につけられた痛みと苦しみの中で死んでいる。皮膚は真っ赤に変色。熱湯につけられた瞬間に足をばたつかせる様子がわかる。
放置時間が長く、無人になることも多い。その間、コンテナに閉じ込められ、逃げ場のない鶏たちは、野生動物に襲われる。
そのようなことが、日々起きていて、目にしているであろうにもかかわらず、改善がなされない。
2016年にアニマルライツセンターが警察に通報した”生きたまま焼き殺す養鶏場”をはじめ、多くのありえない淘汰の方法が日本では採用されている。淘汰とは、弱った動物や大きすぎたり小さすぎるなどの”規格外”の動物を殺すことだ。
叩き殺す、焼き殺す、ビニール袋に入れて窒息死、ケージにまとめて入れて溺死させる、死ぬまで放置し衰弱死または餓死させるなどだ。
生きたまま廃棄物処理業者にわたす場合もあり、それは圧死や衰弱死や窒息死を意味しており、輸送中に死ねなかったとすれば機械で轢き殺されている可能性すらある。
屠殺場に運び込む際、輸送業者、または屠殺場の職員は電気スタンガンを多用する光景をよく見かける。執拗に押し当て、その他の方法の努力すらみられない者も多い。
日本の5%の採卵養鶏農家は、餌を止め絶食させるだけでなく、水までもを止め絶水させている。絶食だけでも多くの鶏が死亡するのに、水まで?絶食法も残酷だとされるなか、絶食絶水法はもはや最悪の動物虐待だ。
ゴミのように扱われる卵用の鶏たちの最後の日。長い時間かけてトラックで輸送された後、日中から翌日の朝屠殺されるまで、放置。
毎日毎日、放置している。
ほぼ身動きがとれない。コンテナに詰め込まれたときに骨折したり脱臼したり、足がもげてしまっている鶏もいる。
中で死亡した鶏に折り重なり、上から他の鶏たちの糞や割れた卵が降り注ぎ、濡れる。夏には卵と糞に蛆が湧くことすらある。真冬でも同じ状態。地獄すぎる。
畜産業に携わる人から、時折聞く言葉。
あいつら痛みを感じてない
蹴っても殴っても大丈夫だ、痛みを感じていない、大げさに悲鳴を上げる、殺すときも痛くない、色々な言い訳が聞かれる。しかしこれはまったく証明されていないもので、反対に、痛みを感じること、恐怖を感じること、ストレスを感じることは科学的に立証されている。
なによりも絶望的なのが、これ。日本には動物愛護管理法がある。この法律で虐待は防止されるはず?いや、全く防止されない。畜産業は口出しできないから、とか、中に入れないから、とか、管轄じゃないから、とか、色々な言い訳で指導すらしてもらえないのだ。見て見ぬふりを行政自身がする。
畜産業者はこの法律を認知すらしていないことがほとんどだ。動物愛護管理法は5年毎に改正されてきているが、その法改正の議論の中でもいつも無視。法文にひとつも畜産動物のことが書かれていない。最も日本で多い動物は畜産動物であるにもかかわらず、だ。
虐待が行われており、これは酷いと多くの人が思い、目も当てられないと多くの人が直視すらできないのに、規制は愚か、改善すらできない。このことが、もっとも残酷な事実ではないだろうか。
*2011年⾷肉衛生検査所調査