鳥インフルエンザに怯える養鶏業者の多くの恐怖は、基本的に自分たちのごはんの種となってお金に変えている鶏=つまり財産が殺処分されてしまうことだろう。動物保護団体からすれば無用な苦しみが加わることが懸念であるし、一般市民からすればそこからいつか市民をも殺すウイルスに発展するのではないかという恐怖だ。
これまでに、鳥インフルエンザA H5N1によって455人(WHO2020年報告)が亡くなっている。鳥インフルエンザA H7N9によって212人(WHO2015年報告)が亡くなっている。悲しいことに、最初に報告される死亡者の多くが若い人や子どもたちであることが多い。親を含めた悲しみやいかに・・・
今のところ、豚インフルエンザと異なり、H5N1もH7N9も人から人への感染力は弱く、動物に直接触れたり、動物がいる環境にいる人が感染する傾向にある。しかし、いくつかのアミノ酸が変異すれば、また遺伝的集約が起きれば、いつでもCOVID-19のようなパンデミックに繋がりかねない。世界中の疫学者が常に怯え、また右往左往しているのはこのインフルエンザAではなかろうか。ふと終結したのかなと思われる期間があっても、着々と進化を重ね、少しお休みしていただけでしたみたいな顔で次の感染拡大が起きている。
野鳥が自然宿主であろうが、自然から養鶏場を完全に切り離すことは不可能だ。空気は常に取り入れられているし、人も出入りする。人と動物の密度が高い場所で、パンデミックは起こりやすいことは歴史的に間違いがない。集約的畜産はまさに感染症の温床になり得て、またウイルスの増殖能力を一気に高め、一気に強力化する。殺処分を担当した人々にも感染してきたことが*3わかっている。低原生から高原生に突然変異すると考えられていることも、誰もが知っていることであろう。
さて、タイトルの通り、鳥インフルエンザを恐れるのであれば、まずは闘鶏という劣悪な娯楽を排除することに、気持ちをさいただろうかという提案をしたい。
自分たちが言うのも何だが、国内の市民運動は小さく弱小なので、多くの男性が興じる違法賭け事を潰すには力不足だ。しかし超巨大産業である養鶏、そこに付随する飼料産業や流通小売産業には力がある。
過去に実際に闘鶏が一つの原因となった鳥インフルエンザ流行があった。タイでの2004年の最初に報告された死亡は18歳の闘鶏業者であった*1。
鳥インフルエンザの報告の遅れの要因の大きな一つが闘鶏であった。高価で高い金を生み出すため殺処分されてはたまらないからだ。
日本ではその証拠はない、なぜなら多くの闘鶏で行われる賭博も、動物を傷つく状態に置くことも違法であるからだ。隠れて行われていることに対して、日本政府、地方行政はほぼ機能しない。
地元に住んでいる養鶏業者ならアプローチできるのではないか、むしろ自分たちがやっている可能性だってあろう。
闘鶏は隠れてコソコソ行われ、しかも究極的にストレスが掛かり、さらに飼育も劣悪であることがほとんどだ(工場畜産ほどではないかもしれないが・・・)。闘鶏の試合は数十分~数時間に渡り、血が流れる。移動も不規則で、かつ遠方まで移動される。誰がどこでやっているかわからないし言わないため、対策のとりようもない。弱った個体や死体をそのへんに捨ててしまったりもする(違法)。緊急事態宣言の現在も、もともと隠れてやっている闘鶏は続いているという噂も耳にする、パチンコに行く人よりもたちが悪い、なぜならそこが感染源になっても決して口外しないだろうから。。。畜産業を営む人なら知っているはずだ、屋外であったとしても感染は広がることを。しかも靴を履き替えるわけでもなければ消毒をするわけでもない。
方法は簡単だ。
行政や政治家に、事業者として、闘鶏を取締り、排除してくれと提案していただくだけだ。
日本は経済優先社会なのだから、そのことを少し社会貢献的に、ついでに自分のところの商売のために利用してはどうだろうか。
闘鶏は沖縄に限らず、各地で行われている。
*1マイク・デイヴィス[ 感染爆発 鳥インフルエンザの脅威]
*2https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/tbed.12506
*3https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3323407/
その他参照 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25800453/ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1865597/
写真:クックハウス