日本人は、卵の一人当たりの消費量が世界で3番目に多い。アメリカ合衆国でさえ年間一人当たり約250個であるが、日本人は年間約330個消費しているのだ。
その日本には、卵の生産のために175,917,000羽(データ:農林水産省 100羽以下の経営施設は除く)が飼養されてる。日本人口が約1億3千万人であるので、日本人の人口よりはるかに多い数を、飼育している。その採卵鶏の99%以上がバタリーケージで飼育されている。
まず、人工的な箱の中でふ化したひよこは、雄雌の鑑別をされ、雄は二酸化炭素やシュレッダーでつぶされ殺される。一方、雌は木箱で集団である程度まで育てられてから、バタリーケージに入れられる。
バタリーケージには、開放型・ウィンドレス・セミウィンドレスがあるが、ウィンドレスの場合は1坪あたり126羽もの鶏を収容している。これが最も人道性のない、4段5段と天井までケージが積み重ねられたバタリーケージだ。
バタリーケージを採用している養鶏場の割合は、日本は92%だ。ほとんどの卵がバタリーケージで苦しむ鶏が身を削って産み落とした卵バタリーケージの広さは、日本の場合1羽あたり平均B5サイズ(257mm×182mm)だ。満員電車から一生出られないというような状況だが、耐えられる人がいるのだろうか?
2羽~6羽ほどで飼育をするため、鶏は本能的にその中で序列を作る。そのため、つつき合いが起きたり、弱い鶏は餌が満足に食べられなかったりする。つつき合いでのケガを防ぐためとして、雛のときにくちばしを切られる。切られた痛みのために水が飲めなくなる雛もいる。
足元は金網でできており、爪は伸び放題で網目にからまっている。
2016年日本の養鶏場
しかもその床は、卵を人が奪うため(卵が前に転がる。)に、8度~12度ほど傾斜している。
今も日本中で1億7千羽の鶏たちが、このストレスフルな状況を耐え忍んでいる。
そして、1年ほど卵をうみ続けたのち、廃鶏と呼び名が変わり、出荷され殺され、肉にされる。その肉の多くは、ミンチにされハンバーグやハムなどの加工品、レトルト食品、スープの素にされている。
さらに最近の日本の養鶏業における大きな変化は、1戸あたりの飼養頭数が、ここ20年で約3倍に増加していることだ。(1991年は1戸当たり15,855羽→2011年は1戸当たり46,878羽 )日本の養鶏業界は、福祉とは反対方向にすすんでいるのだ。
「アニマルウェルフェアの考え方に対応した 採卵鶏の飼養管理指針」(社団法人畜産た 採卵鶏の飼養管理指針」(社団法人畜産単にアニマルウェルフェアの考え方を紹介し面積や具体的な飼育基準などは平均値が掲載されているにすぎず、アニマルウェルフェアをリードするものにはなっていない。しかし、取り組みの小さな一歩であることは確かであり、この取り組み、そしてさらなる改善を後押しするのは、私たち市民自身だ。
ただし、日本ではあまりにも認知が低く、アニマルウェルフェアに配慮するということがなんのためなのか知らない人がほとんどだ。