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「豚の声を聴く」サンクチュアリと企業交渉

アニマルライツセンターのクラウドファンディング挑戦にご支援をありがとうございます。
今回はじめて知り合えた方々に少し説明をすると、わたしたちは畜産動物という社会経済の支配下にある動物たちの苦しみを救うために、普段は経済の主体である企業や管轄する行政、政治、そして消費者に対する啓発を主に活動しています。つまり、直接動物をレスキューする活動は主ではありませんでした。(鶏の保護は続けています)

海外の動物保護活動では、社会を変えるための企業交渉やロビーをやる団体と、サンクチュアリ運営をする団体とは分かれているそうですが、2つの活動を1つの団体が担う輻輳感を、どうクリアして、さらなるパワーにつなげていけばよいか、日ごろおもに企業交渉を担当するスタッフには、しばらく明確な答えは見えませんでした。

それぐらい今回のレスキューは緊急で、即時の決定と施行が求められていました。その状態が2か月以上続き、このたびクラウドファンディングも終了する区切りを迎え、今やっと、ひとつの方向性が見えてきた気がしています。

ARCは業務を整理して、人員も変更し、社会と企業を変える運動を先鋭化、もう組織全体を丸っと刷新して、今の輻輳体制に臨んでます。

わたしたちの活動は動物が好きだから、かわいいからという感情には関係ないところで進めてきました。対象への愛着が活動を産むことはありますが(たとえば自然が好き、子どもが好きなど)、そこにとどまる運動は良いときはいいが、悪くすると独善的となり、結局普遍化せず、一代かぎりで終わってしまうものです。とはいえ、あらゆる運動が個人の感受性に端を発しているので、それを普遍化するために必要なのが、当事者(被害者)の意見であり存在です。

本義的に言うと、人権でも環境でも救済活動というのは、当事者の同意があって初めて成り立つものです。だから、ある社会問題を解決しようと思うなら、それに同意してくれる被害者を見つけないといけない。それを「掘り起こし」といいます。じつは社会運動はこの「掘り起こし」に時間と労力がかかるのです。運動にとって「掘り起こし」とは救済の対象を活動の中心に連れてくること。どの運動も被害者が自ら救いを求めて立ち上がったように見せるけれど、本当はすごい時間と労力をかけて、状況を活動家が作っていくものです。

わたしたちは8頭の豚をレスキューし、そのうち6頭は畜産動物の苦しみを減らす活動の中心に連れてきました。この責任は絶大です。保護によって、豚たちの声を聞き、気持ちを汲み取って、最終的には畜産動物全体の苦しみに寄り添う社会にかえていく、そんな自然な流れが整いました。

檻の中に囲われて手の届かなかった動物たちが、今、わたしたちの目の前にいる。

アニマルライツヴィレッジの豚たちは、サンクチュアリから社会を変える活動に、畜産動物の代表として参加してくれました。豚たちは毎日たくさんのことを話します。快・不快・楽しい・うれしい・つまらない・おいしい・好き・大好き……人間の言葉に置き換えられることもできないものもあります。もちろん動物と話す能力の問題ではなく、こう言ってるのかな?ああ言ってるのかな?と逡巡しながら正解を求めていく日々。豚たちの話す言葉の意味は、毎日上書きされながら、真実へ近づいていきます。これからのわたしたちの仕事は、この豚たちの真実も言葉を企業や行政や政治、そして消費者にあらゆる手段で伝えていくことです。

さらに、アニマルライツセンターの主たる活動である企業交渉においては、この動物たちの言葉をもとに、企業は何にお金をかけ、何にかけなくてよいか伝えていきます。動物たちの声はどこから聞こえるか。本や論文に書いてあるものではなく、動物たちの声を聴こうとしないなら、何百頭いる畜産場でも聴くことはできないかもしれない。動物たちの声は、彼女たち彼たちが話したいとおもう環境でしか聴くことはできません。信じられる人の前でしか本音を話さないのは人間も同じ。想像してみればわかりますが、例えば人権の救済現場でも、活動家がレスキューした人の信頼を勝ち得、真実の言葉を聴くことができるようになるには、相当の時間と献身が必要になります。

アニマルライツセンターはサンクチュアリを、とほうもない苦しみから人間を怖がり、嫌がり、心を閉ざした動物たちから、再び本当の言葉を聴くことができる場にします。それはかわいがるだけでは到達しない域。動物保護団体であるわたしたちにしかできないと信じます。新しくなったアニマルライツセンターのこれからの企業や社会への働きかけを見ていてください。

引き続きご支援を心からお願い申し上げます。

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