さくらは私たちがと殺場で出会った豚です。
2016年の冬、さくらは肛門から腸が飛び出させ、血だらけで、トラックの荷台に乗せられてやってきました。
さくらはこれまで、一生のほとんどの時間を、狭い妊娠ストールの中で過ごしてきました。
方向転換もできず、ほかの豚と触れ合うこともできず、ただ子供を産むために生かされてきました。
彼女がようやくこの狭い妊娠ストールから出ることができた日が、直腸脱のためにと殺される日でした。
寒い雪の降る日、治療のためではなく「処分」されるために、さくらはトラックに乗せられました。
激しく揺れるトラックの中で、飛び出した直腸が荷台のあちこちにぶつかり、血だらけになりながら激しい痛みにさくらは耐えました。ようやくトラックが止まり、と殺場に到着し、自分の血の臭いとは違う仲間の血の臭いをかいだ時、彼女は自分が殺されることに気が付きました。
ほかの豚たちの臓物や皮を運ぶフォークリフトが行き交う場内で、彼女は自分の番を待ちました。そして作業員に蹴られながらトラックから降ろされ、建物の奥へ押しやられ、私たちの視界からさくらは消えました。
最後の最後まで、彼女が命あるものとして扱われることはありませんでした。
私たちは、さくらのような一生を、もう誰にも味わわせたくありません。
苦痛と悲しみと暴力に、ただじっと耐えるだけの姿をもう見たくありません。
アニマルライツセンターはさくら達の苦しみを明らかにします。
そしてこの苦しみをなくすために行動を起こします。
例えばカナダではこのように極度の脱肛をしている動物を輸送することは許されていません。
なぜなら動物が苦しみからです。このような動物を輸送すれば罰金があります。
Health of Animals Regulations (C.R.C., c. 296) 136 – PART XII – Transport of Animals
しかし日本にはそのような規制は一切ありません。
脱腸してても、患部をトラックのあちこちにぶつけて血まみれになりながら運ばれます。
死にそうな動物でも、輸送中に死んでも輸送業者が責任取らないで済むよう農場と念書を交わして出発します。動けなくてもウインチでひっぱってつれ出します。
動物福祉の恐ろしく低い国日本で、動物たちは苦しみ続けています。
*直腸脱について
直腸脱は、母ブタには珍しくない病気といわれています。
http://www.thepigsite.com/pighealth/article/256/prolapse-of-the-rectum/
狭い妊娠ストールでの飼育は、直腸脱の原因となります。
https://en.engormix.com/MA-pig-industry/management/articles/rectal-prolapse-pregnant-sows-t2706/124-p0.htm