どんな施設であっても、大量の動物を扱う施設では、動物の苦しみ、苦痛が生まれています。
なぜなら動物は人間の思うように動かすことができる機械ではないからです。
そして動物は苦しみから逃れたい、怖いことからは逃げたい、死にたくない、という本能を持ち、自分が脅かされることを感じれば、パニックを起こしたり、抵抗したり、動けなくなったりする、心を持ったいきものだからです。
世界では、動物福祉を保つための監視カメラ(CCTV)を、と畜場にも導入しようという運動が広がってきています。
これは、日本にも必要な仕組みです。
密室状態であったり、第三者による監視のない状態で、動物の福祉を守ること、ましてや向上させることは、相当な精神力と強い意志が必要です。
人間はそんなに完璧な動物ではありません。
英国最大の動物の権利団体アニマルエイドはCCTV導入のキャンペーンを繰り広げています。
2009年から2014年までに、ランダムに選択されたと畜場の内部調査で、そこでは法律に違反する虐待が数多く映しだされていました。
虐待の内容は、動物を取り押さえるなどの屠畜の工程で扱いが乱暴になりすぎて虐待になっているものと、殴る蹴るなどの故意に(ストレスのはけ口のように)苦しみを与えているものが有ります。前者であっても、その対応が効率とそして言うことを聞かない動物への悪意や怒りが混じっているように見えます。
つまり、業務の工程であっても、故意の虐待にほかならないのです。
No Slaughter is Cruelty-Free from Animal Aid
内部の獣医師はそのような行為を見ていなかった、または見ていても報告しなかったことが証明されました。
自主的な規制は機能しなかったのです。
アニマルエイドの呼びかけに応えてスーパーマーケットが屠畜場にCCTV導入を訴えたため、2010年以降、CCTVを導入すると畜場が増えてきています。
英国では、赤肉(牛や羊)のと畜場は53%、白肉(豚や鶏)のと畜場は71%で動物福祉のためのCCTVが設置されています。しかし、それを監視するの担当者が、独立した機関で動物福祉を守る位置にいない人であれば、監視カメラが設置されていても機能しません。事実、動物福祉や動物本来の生態についての深い知識がなければ、問題のある行為を問題であると認識できないものなのです。
すでに200人以上の国会議員がCCTV導入に賛同しています。この動きは確実に英国のと畜場を改善に導くでしょう。
そんな中、2015年12月30日、イスラエルの農業省が全ての屠畜場に動物虐待を防止するための監視用のライブカメラを導入していかなくてはならないと発表しました。
この決定は、2012年から複数の屠畜場での残虐な行為が明らかにされテレビでも放映されてきたためでした。
イスラエルでは、動物の権利団体Anonymousが調査とロビー活動を繰り広げてきました。2015年7月には、調査で明らかになった鶏への虐待のために、農業省大臣はSoglowek屠畜場の閉鎖を決定しています。
このイスラエルの対応は世界初のもので、画期的な決定です。この決定により、約400台のカメラと、約50台の録画システムが、50の屠畜場に導入されることになります。農業省は2016年の間に全ての導入が完了するようにと述べています。
今、アニマルライツセンターには多くの畜産現場の情報が集まってきています。それ以前、私は海外から送られてくる動画や写真を見て、「日本人はこんなひどいことはしないのではないか」と思っていました。しかしその期待は裏切られました。
日本は海外同様、時にはそれ以上に、動物のいる施設では動物への虐待的扱いが行われています。日常的に。
日本の動物を扱う施設にも、監視が必要です。
自主的な規制は、英国という動物への配慮が国民性だと言われるほどの国であってさえも、全く機能していなかったことが証明されているのです。日本で自主規制は全く機能していないと考えられます。
比較的動物の怯えの少ないであろう屠畜場への運搬一つとっても虐待が行われているのですから。
今、日本の動物施設の多くは密室状態にあります。
これを変え、動物福祉の観点から動物への扱いを監視する仕組みを、導入しなくてはなりません。
しかし、日本の動物の権利運動、日本の動物への配慮はまだまだそこに到達できていません。
動物たちを救うために、アニマルライツセンターに力をおかし下さい。