「豚は寒さに強い」というの、根拠のないデマです。
他のほとんどの哺乳類にはUCP1と呼ばれる遺伝子があります。この遺伝子は動物が低温で体温を調節するのを助けます。しかし豚にはこのUCP1が欠けています。そのため寒さに弱く、脂肪が蓄積しやすく、冬季には生まれたばかりのブタが死亡しやすくなります*。
雪の降る中、吹きさらしの係留所で、ブタたちは次の日のと殺まで、寒さに耐えなければなりません。
さらに「体の汚れを落とすため」に係留所でかけられるシャワーは冬でも冷水が使われ、豚の体をひどく冷やします。
『ブタは皮毛が発達していないため、暑熱にも寒冷にも弱く、鼻以外の部位では汗腺も発達していないため暑熱にさらに弱い。(中略)寒冷時には群がり、震え、発熱で対応する』
-「畜産技術」2009年1月号
『10℃以下の冷たい気候で、歩行困難や倒れる豚の率が高まる』
– テキサス工科大学
http://www.depts.ttu.edu/animalwelfare/Research/Transport/index.php#10
『周囲の温度が低すぎる場合、シャワーはブタをひどく冷やします。
気温が5℃以下ならば、ブタにシャワーを継続して浴びせないこと』
– ブリストル大学
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9854768
日本も批准するOIE(世界動物保健機関)の動物福祉基準には次のように記載されています。
散水によって、動物(特に家きん)の体温調節能力が低下する可能性があることを、散水する際には考慮すること。非常な低温や突然の極端な温度変化に曝されている動物のリスクも考慮されること。
- OIE動物福祉規約 第7.5章「動物のと殺」全文仮訳
法的拘束力はありませんが、中国の豚屠殺の技術基準(GB/T 22569 中華人民共和国国家質量監督検験検疫総肉・国家標準化管理委員会が作成したガイドライン)には次のように記載されています。
シャワーの時間は2時間を超えるべきではない。環境の温度は5度より低い際には、シャワーを使うことを禁止する。
– 豚屠殺の技術基準
2016年 日本のと殺場の豚たち
*中国で寒さに強い遺伝子組み替え豚が誕生2017年10月29日 (財経新聞) http://www.zaikei.co.jp/sp/article/20171029/408612.html
FOOD FOR THOUGHT CRISPR Bacon: Chinese Scientists Create Genetically Modified Low-Fat Pigs October 23, 2017 http://www.npr.org/sections/thesalt/2017/10/23/559060166/crispr-bacon-chinese-scientists-create-genetically-modified-low-fat-pigs