台湾では、動物保護法第13条に基づき「家禽と家畜を人道的に屠殺する準則」が制定されています。
この準則に違反すれば、台湾動物保護法第13条には、「国の主管機関は実際状況に即して人道的に動物を屠殺する準則を制定しなければならない。」とあり、これの準則に従わずに動物を屠殺した場合は動物保護法第30条に基づき処罰されます。
日本には、このような、屠殺場において動物福祉を担保できるような法的枠組はありません。法的な枠組みがないことが、屠殺場で非人道的な行為が起こってしまっていることの要因といえます。
*『畜禽人道屠宰準則』( 民國 97 年 09 月 25 日 發布 )
第1条
当準則は動物保護法(以下「当法」と略称する)第十三条に照らして定める。
第2条
当法は屠殺場における行う家禽と家畜屠殺作業に当てはまる。家禽と家畜を車から降ろし、追い立て、保定、気絶と瀉血が含まれる。
第3条
当法の用語は次の通りである。
(1)家禽と家畜:牧畜法第二十九条第一項に定められる屠殺場で屠殺のおこなわれる家畜または家禽を指す。
(2)降ろし:交通工具あるいは容器から家禽と家畜を降ろすことを指す。
(3)繋留:指定区域に家禽と家畜の置くことを指す。
(4)保定:家禽と家畜を動かさないように抑えると固定することを指す。
(5)気絶:機械、電気、化学、もしくは他の方法で家禽と家畜に意識を失わせることを指す。
(6)瀉血:刃物あるいは器具で家禽と家畜の心臓を刺し抜く、または主な血管を断り切って、血液を外部に排出させることを指す。
第4条
車から家禽と家畜を降ろすにあたって、または屠殺場で移動させる際には、暴力、刃物あるいは不当な電撃行為で強制追い立てをしてはいけない。追い立てるために、一部の家禽と家畜に電撃をしなければならない場合、その電圧を50ボルト以下に確保するとともに、連続して電撃の行うことを避ける。
体が不自由で意識がある家禽と家畜を引きずってはいけない。移さなければならない場合、補助的な施設を使って家禽と家畜を移す。
第5条
家禽と家畜を繋留する場所は、清潔な飲用水を提供するとともに、傷つける恐れのある刃物、あるいは尖ったもので家禽と家畜にマークをつけてはいけない。
第6条
家禽と家畜屠殺場での作業は屠殺場設定標準と屠殺作業準則に従うとともに、人道的で効果がある気絶と十分な瀉血を通して行わなければならない。
電撃器物、打擊器物、気体気絶設備または他の人道的気絶作業標準に適う設備は良好な状態にメンテナスをしなければならない。
第7条
家禽と家畜の屠殺は人道的気絶作業をするために、家禽と家畜の種類と気絶方法に則って適切な保定を与えなければならない。
第8条
家禽と家畜の人道的に気絶する方法、動物種、注意事項は下記のとおりです。
(1)電撃気絶:豚、羊を適用し、品目によって、電流と電圧を適切に調節する。
(2)打撃気絶:豚、牛または家禽を適用する。家禽を適切に保定させるとともに品目によって、適切な工具と打撃部位を選ぶ。但し、棍棒など原始時代の工具でその動物を打擊してはいけない。
(3)気体気絶:豚と家禽を適用し、品目によって気体の成分と濃度を調節する。
(4)他の気絶方法は国の所轄が別に公布する。
第9条
家禽と家畜を効果的に気絶する判定基準は次の通りである。
(1)家畜:瞼の反応がない、失調性呼吸、耳捻りと鼻に反応がない、全体のバランスが崩れ、声がない、または動かさない。
(2)家禽:瞼の反応がない、規則的な呼吸を失い、翼が緊密に体とつながり、肢体が硬直し、体が無意識に震え、陸生家禽の頸は垂れ、 あるいは水生家禽の体と頭が垂直である。
第10条
気絶させない家禽と家畜は瀉血を行ってはいけない。但し、下記のいずれかの項目にも該当する場合を除く。
(1)宗教
(2)特別な風習
(3)他の国の所轄により認定されること。
第11条
瀉血作業は家禽と家畜が気絶されてから意識が回復するまでの間に行うこと。
第12条
屠殺衛生検査規則第九条第一項に該当する家畜病気や負傷しているものを早く直接に致死できる方法で屠殺しなければならない。
第13条
当法は頒布の日から効力を発生する。
(翻訳:ARCスタッフ王又尼)
*台湾で畜産動物の屠殺に関する準則がもう一つあります。それは「屠宰作業準則」という法規則です。
『屠宰作業準則』は『牧畜法』に即して制定されたものです。(「屠宰作業準則」については翻訳をしていません。)