世界で進む屠殺場へのCCTVカメラの導入。これは当然日本でも必要なものです。しかしまだ日本は偏見が強く社会的議論すら始まっていません。
2015年12月30日、すべての屠殺場にCCTVを導入するとイスラエル農務省が発表*1し、運用されています。しかし、地元の動物権利団体によると、録画されるのはほんの数分であり、運用制度の改善の必要を訴える。とはいえ、録画される時間は決まっておらず、主に監視カメラによる動物虐待の抑止力を狙ったものと言えます。
2018年2月23日、英国は高い福祉のために、イングランドの屠殺場へのCCTVカメラ導入を定めた法律を制定しました。2018年5月に施行されました。半年の猶予期間内に取り付けられなくてはならないとされており、詳細なルールもあります*3。公認獣医師によって無制限に閲覧できます。
2019年1月、スコットランド政府は2019年中にすべての屠殺場にCCTVカメラ導入を定めた法律を導入することを発表しました。1月時点ですでにスコットランドの80%の屠殺場にはCCTVが導入されています。*4
2017年、前年にフランス中の複数の屠殺場の虐待について内部告発が行われたため、フランス政府はCCTVカメラの試用を開始しました。マクロン大統領もすべての屠殺場にCCTVカメラを導入することを公約に掲げていました。2018年10月、議会の決定は任意の屠殺場での実験にとどまったものの、今後フランスの動物保護団体による起訴が増加すると予測されています。*5
大きな屠殺場が、法的な枠組みとは別に独自にCCTVカメラを導入しています。それは管理する責任として虐待を防止したいからです。オーストラリアでも独自に設置したCCTVカメラ映像にうつった不適切な取扱がリークされています。Humane Slaughter Association(HSA)は米国でCCTVカメラによるアセスメントに助成金を出しています*6。
屠殺の現場にいる大多数はごく不通の人間です。しかし一部、倫理観、道徳観が欠如していたり、ふざけていたり、怠慢であったりする人がいることは間違いがありません。それはどの職場も同じです。しかし、動物の苦痛、生命、倫理、そういったものと直結している屠殺場では、一部の人の虐待的扱いがあることは許されません。動物の苦しみを減らすことは動物を利用する人間の責務であり、また虐待があるということはその施設の品質の悪さを表しますし、暴力の介在は労働環境や人の心理をも蝕んでいきます。
消費者のニーズ、購入するスーパー等のニーズが有るからであったとしても、改善に向かっている屠殺場がある中、日本の屠殺場はそうではありません。残念ながら日本人がとりたがる認証HACCPにアニマルウェルフェア要件はほぼ含まれません(とらないより遥かにマシですが)。
日本の内部の方の話しでも、暴力的な人間がいて無用な苦痛、苦悩を動物に与えていることがわかっています。更に日本で多いのは、悪意があるのではなく怠惰であったり、改善の意思のない現場が多数あることに寄る無意識の暴力が横行していることです。
隠された現場には、かならず弱者(動物)の想像を絶する苦しみ、痛みがあり、隠され続ける限り、改善は100%ありえないということを、何度でもお伝えしておきたいと思います。
そして、録画されていることは、まちがいなく、暴力抑止につながるのです。
Leaked CCTV – Australia from leaked.com.au on Vimeo.
*1 http://www.moag.gov.il/yhidotmisrad/dovrut/publication/2015/Pages/Cameras_in_slaughterhouses.aspx
*2 https://www.gov.uk/government/news/cctv-in-slaughterhouses-legislation-laid-in-parliament
*3 https://www.gov.uk/government/publications/cctv-in-slaughterhouses-rules-for-operators
*4 https://www.bbc.com/news/uk-scotland-scotland-politics-46810587
*5 https://frenchfoodintheus.org/4025
*6 https://www.hsa.org.uk/downloads/hsa-announces-funding-for-ellie-rh-and-ew-amends.pdf