OIEの動物福祉規約「疾病管理を目的とする動物の殺処分」の仮訳を掲載します。
仮訳と言ったのは、本来この規約の翻訳公開はOIEに批准している日本が正式に行うべきものだからです。しかしこの動物福祉規約「疾病管理を目的とする動物の殺処分」が2005年につくられ、2016年に改定されても、日本では翻訳すらされていない状況です。
「農場における産業動物の適切な方法による殺処分の実施について」とする通知が環境省・農水省の連名で出され、国は、国内農場での動物虐待をなくそうと努力をはじめましたが、実際には産業獣医師でさえもどのように殺すことが適切なのかわかっていないケースが多々見られるという有様です。そこで一定のラインで福祉を担保できる方法として、このOIE動物福祉規約は役に立ちます。
なお、畜産技術協会はアニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の農場内における殺処分に関する指針を2018年に策定し公開していますが、畜種ごとの規定がなく、どの方法を取ればいいかの判断は困難です。鶏と牛が同じであるはずもないのです。
アニマルライツセンターは国に、OIEの動物福祉規約を正式に翻訳・公開してほしいと要望していますが現在のところされていない状況です。以下はアニマルライツセンターの仮訳です
【仮訳】
第7.6章 疾病管理を目的とする動物の殺処分
第7.6.1条 一般原則
本勧告は、動物を殺処分する決定が行われたという前提に基づくものであり、当該動物のウェルフェアをそれが死亡するまで確保する必要性に対処するものである。
- 動物の人道的殺処分に関係するすべての者は、関連する技量及び能力を保持するものとする。能力は、正規の訓練又は実務経験を通じて得ることができる。
- 作業手順は、必要な場合には、当該前提に立って作業している個別の環境に合わせて調整されるものとし、アニマルウェルフェアに加えて、安楽死の方法の感性論、当該方法の費用、作業者の安全、バイオセキュリティ及び環境面に焦点を当てるものとする。
- 殺処分は、当該動物の殺処分の決定後、可能な限り敏速に実施されるものとし、当該動物が殺処分されるまで、通常の飼養管理が維持されるものとする。
- 動物の取り扱い及び移動は、最小限に抑えられるものとし、それが行われる場合には、以下に規定する勧告に従い、実施されるものとする。
- 動物の保定は、効果的な殺処分を円滑に行う上で十分なものであり、アニマルウェルフェア及び作業者の安全に係る必要条件に従うものとする。保定が必要な場合には、殺処分が最小限の遅延で行われるものとする。
- 疾病管理を目的として動物が殺処分される場合には、使用される方法は、即時の死亡、又は死亡まで持続する即時の意識喪失をもたらすものであるものとする。意識の喪失が即時でない場合には、意識喪失への導入は、不可逆的又は可逆的可能性が最小であるものとし、避けることができる不安、痛み、苦難又は苦痛を動物に与えないものとする。
- 若齢の動物は、アニマルウェルフェアへの配慮から、高齢の動物よりも前に殺処分されるものとする。感染した動物は、バイオセキュリティへの配慮から、最初に殺処分されるものとし、続いて、接触した動物が殺処分され、残りの動物の殺処分は最後に行うものとする。
- 当該手順は、アニマルウェルフェア、作業者の安全及びバイオセキュリティに関し、一貫して効果的であることが確保されるよう、所管当局による継続的な監視を受けるものとする。
- 作業手順が終了した時には、採用された手技並びにアニマルウェルフェア、作業者の安全及びバイオセキュリティに対するその影響を記載した書面による報告が行われるものとする。
- これらの一般的原則は、自然災害後や動物数の間引き等その他の目的で動物の殺処分が必要となった場合にも適用されるものとする。
第7.6.2条 組織構造
疾病管理のための緊急事態対応計画は、国家的段階で施行されるものとし、管理組織、疾病管理方針及び作業手順の詳細が含まれるものとする。アニマルウェルフェア上の配慮は、当該疾病管理緊急事態対応計画の中で取り扱われるものとする。当該計画には、動物の人道的殺処分に利用可能な、適切な数の有能な人材の確保に関する計画も含まれるものとする。地方段階の計画は、国家的計画を基礎とし、地域の情報によって特徴付けられるものとする。
疾病管理緊急事態対応計画は、動物の移動管理の結果生じるおそれのあるアニマルウェルフェアの課題に対処するものとする。
作業活動は、専門家チームの人材を指名し、必要なアニマルウェルフェア及びバイオセキュリティ上のその者による基準厳守を確保する権限を持つ公的獣医師によって指揮されるものとする。当該人材を指名する場合には、当該関係者が必要な能力を持っていることが確保されるものとする。
当該公的獣医師は、影響を受けた一つ又はそれ以上の数の土地建物にわたるすべての活動を所掌し、効率の良い作業を促進するため、計画(コミュニケーションを含む)、作業及びロジスティックスに関し、コーディネーターの支援を受けるものとする。
当該公的獣医師は、OIEのアニマルウェルフェア及び動物衛生に係る勧告の厳守における一貫性を確保するため、影響を受けたすべての土地建物での作業に関し、人的支援者及び後方事務支援者に対する全般的ガイダンスを行うものとする。
当該公的獣医師に対し報告義務のあるチーム長に指揮された専門家チームが、影響を受けた各土地建物での作業のため展開されるものとする。当該チームは、すべての必要な作業を実施する能力を有する人材から構成されるものとする。状況によっては、一人の人材が、二つ以上の任務を満たす必要がある場合がある。各チームは、一人の獣医師が含まれる又は常時獣医学的助言の利用ができるものとする。
動物の殺処分に関連するアニマルウェルフェア上の課題を考慮し、基本的な人材、その責任及び必要な能力は、第7.6.3条に規定される。
第7.6.3条 専門家チームの責任及び能力
- チーム長
- 責任
- 影響を受けた土地建物での全般的作業を計画すること。
- アニマルウェルフェア、作業者の安全及びバイオセキュリティに係る必要条件を決定並びに対処すること。
- 当該土地建物の関連動物に対し、国家の規則及びこの勧告に従い、人道的殺処分を円滑に行うため、人のチームを組織し、簡潔な支持を与え、管理すること。
- 必要な後方支援事務を決定すること。
- アニマルウェルフェア、作業者の安全及びバイオセキュリティ上の必要条件が満たされていることを確保するため、作業を監視すること。
- 進捗状況及び問題に関し上に報告すること。
- 殺処分の終了時に、採用された手技並びにアニマルウェルフェア、作業者の安全及びバイオセキュリティ上の結果に対するその影響を記載した書面による報告を提出すること。
b. 能力
- 通常の動物飼養管理に対する正しい理解
- アニマルウェルフェア、並びに殺処分過程に関連する基礎的な行動学的、解剖学的及び生理学的プロセスに対する正しい理解
- 土地建物でのすべての活動を管理し、時間通りに成果を上げる技量
- 農家、チーム員及び大衆に対する心理学的影響に関する知識
- 効率的なコミュニケーションの技量
- その作業が引き起こす環境負荷に対する正しい理解
2. 獣医師
- 責任
- 動物が、避けることができる痛み及び苦難を受けることなく殺処分されることを確保するため、最も適切な殺処分法の実施を決定及び監督すること。
- アニマルウェルフェアのための追加条件(殺処分の順番を含む)を決定及び実施すること。
- 殺処分手順の中の適切な時に、有能な者による当該動物の死亡の確認が行われるよう確保すること。
- バイオセキュリティ処置を通じて、疾病が当該土地建物内で又はそこからまん延するリスクを最小限に抑えること。
- アニマルウェルフェア及びバイオセキュリティ処置を継続的に監視すること。
- チーム長と協力して、採用された手技及びそのアニマルウェルフェアに対する影響を記載した書面による報告を準備すること。
b. 能力
- アニマルウェルフェア、とりわけ失神法及び殺処分の有効性を評価し、欠点を是正する能力
- バイオセキュリティのリスクを評価する能力
3. 家畜飼養管理者
a. 責任
- 適否に関し、現場施設を検討すること。
- 必要な場合には、一時的な動物取り扱い施設を設計及び建築すること。
- 動物を移動し、保定すること。
- アニマルウェルフェア及びバイオセキュリティ処置を継続的に監視すること。
b. 能力
- 緊急事態の状況及び密接な係留が必要な場合に動物を取り扱う能力
- バイオセキュリティ及び封じ込め原則の正しい認識
4. 動物の殺処分担当者
a. 責任
有効な失神法及び殺処分を通じて、動物の人道的殺処分を確保するものとする。
b. 能力
- 法規で必要とされる場合には、必要な設備を使用する免許
- 関連する設備を使用及び整備する能力
- 関係動物種に対し技法を使用する能力
- 有効な失神法及び殺処分を評価する能力
5. と体廃棄担当者
a. 責任
効率的な死体の廃棄が確保されるものとする(殺処分作業が妨げられないことを確保するため)。
b. 能力
当該担当者は、利用可能な設備を使用及び整備し、関係動物種に対し技法を適用する能力を備えているものとする。
6. 農家/所有者/管理者
a. 責任
- 必要な場合の援助
b. 能力
- その動物及び環境に関する具体的知識
第7.6.4条 動物の人道的殺処分を計画する際の注意事項
影響された土地建物では、動物の人道的殺処分を含む多くの活動を行う必要がある。チーム長は、当該土地建物における動物の人道的殺処分に関し、以下の各号の注意事項を含む要領を作成するものとする。
- 動物の取り扱い及び移動を最小限に抑えること。
- 影響された当該土地建物において動物を殺処分すること。ただし、事情によっては、殺処分のために当該動物を他の場所に移動する必要がある場合もある。殺処分が食肉処理場で行われる場合には、動物のと畜に関する第7.5条の勧告に従うものとする。
- 殺処分される動物の種、数量、週齢及び大きさ並びにそれらを殺処分する順序
- 動物を殺処分する方法及びその費用
- 動物の畜舎、飼養管理、場所及び当該農場への近寄りやすさ
- 動物の殺処分に必要な設備の利用可能性及び有効性並びに当該方法を用いた必要な数の動物の殺処分に必要な時間
- 当該土地建物での殺処分を支援する利用可能な施設(当該土地建物へ持ち込まれ、その後持ち出される必要のある補助施設を含む)
- バイオセキュリティ及び環境問題
- 殺処分を実施する者の健康及び安全
- 制限された動物用医薬品又は毒薬の使用、当該過程の環境に対する影響等関連するおそれのある法律問題
- 動物を保有する近くの土地建物の存在
- 死体の移動、廃棄及び処分の可能性
当該要領は、殺処分に適用される手順の様々な段階(殺処分場所、殺処分方法等の選定)及び動物の移動を制限する措置を考慮することによって、当該殺処分のウェルフェアに反する影響を最小限に抑えるものとする。
殺処分要領を作成する場合には、すべての動物が人道的に敏速に殺処分されるのを確保するため、選択された方法が、一貫して信頼できることが不可欠である。
第7.6.5条 第7.6.6条から第7.6.18条に規定される殺処分方法に係る総括表
当該方法は、アニマルウェルフェアの観点から望ましい順番ではなく、機械、電気及びガスによる方法の順番で規定されている。
動物種 | 対象世代 | 方法 | 保定の必要性 | 不適切な適用に対する アニマルウェルフェア上の懸念 | 参照条文 |
牛 | すべての世代 | 銃弾 | 不要 | 非致死的創傷 | 第7.6.6条 |
新生仔を除くすべての時期 | 貫通式家畜銃、その後のピッシング又は放血 | 必要 | 失神法の無効 非致死的創傷、死亡前の意識の回復 | 第7.6.7条 |
成畜のみ | 非貫通式家畜銃、その後の放血 | 必要 | 失神法の無効、殺死亡前の意識の回復 | 第7.6.8条 |
動物種 | 対象世代 | 方法 | 保定の必要性 | 不適切な適用に対する アニマルウェルフェア上の懸念 | 参照条文 |
牛(続き) | 仔牛のみ | 電気利用、二段階通電法 | 必要 | 失神法無効後の心停止に関連した痛み | 第7.6.10条 |
仔牛のみ | 電気利用、単回通電法(方法1) | 必要 | 失神法の無効 | 第7.6.11条 |
すべての世代 | バルビツールその他の薬剤の注射 | 必要 | 非致死的な投与量、注射部位に関連する痛み | 第7.6.15条 |
緬羊及び山羊 | すべての世代 | 銃弾 | 不要 | 非致死的創傷 | 第7.6.6条 |
新生仔を除くすべての世代 | 貫通式家畜銃、その後のピッシング又は放血 | 必要 | 失神法の無効、非致死的創傷、死亡前の意識の回復 | 第7.6.7条 |
新生仔を除くすべての世代 | 非貫通式家畜銃、その後の放血 | 必要 | 失神法の無効、死亡前の意識の回復 | 第7.6.8条 |
新生仔 | 非貫通式家畜銃 | 必要 | 非致死的創傷 | 第7.6.8条 |
すべての世代 | 電気利用、二段階通電法 | 必要 | 失神法無効後の心停止に関連した痛み | 第7.6.10条 |
すべての世代 | 電気利用、単回通電法(方法1) | 必要 | 失神法の無効 | 第7.6.11条 |
新生仔のみ | CO2/空気混合物 | 必要 | 無意識の緩徐な導入、導入の嫌悪 | 第7.6.12条 |
新生仔のみ | CO2を混合した窒素又は不活性ガス | 必要 | 無意識の緩徐な導入、導入の嫌悪 | 第7.6.13条 |
新生仔のみ | 窒素又は不活性ガス | 必要 | 無意識の緩徐な導入 | 第7.6.14条 |
すべての世代 | バルビツールその他の薬剤の注射 | 必要 | 非致死的な投与量、注射部位に関連する痛み | 第7.6.15条 |
豚 | すべての世代 | 銃弾 | 不要 | 非致死的創傷 | 第7.6.6条 |
新生仔を除くすべての世代 | 貫通式家畜銃、その後のピッシング又は放血 | 必要 | 失神法の無効、非致死的創傷、死亡前の意識の回復 | 第7.6.7条 |
新生仔のみ | 非貫通式家畜銃 | 必要 | 非致死的創傷 | 第7.6.8条 |
すべての世代 | 電気利用、二段階通電法 | 必要 | 失神法無効後の心停止に関連した痛み;失神トングの設計は、新生仔の小さな頭部又は体幹には適当ではない。 | 第7.6.10条 |
すべての世代 | 電気利用、単回通電法(方法1) | 必要 | 失神法の無効 | 第7.6.11条 |
新生仔のみ | CO2/空気混合物 | 必要 | 無意識の緩徐な導入、導入の嫌悪 | 第7.6.12条 |
新生仔のみ | CO2を混合した窒素又は不活性ガス | 必要 | 無意識の緩徐な導入、導入の嫌悪 | 第7.6.13条 |
動物種 | 対象世代 | 方法 | 保定の必要性 | 不適切な適用に対する アニマルウェルフェア上の懸念 | 参照条文 |
豚(続き) | 新生仔のみ | 窒素又は不活性ガス | 必要 | 無意識の緩徐な導入 | 第7.6.14条 |
すべての世代 | バルビツールその他の薬剤の注射 | 必要 | 非致死的な投与量、注射部位に関連する痛み | 第7.6.15条 |
家きん | 成鶏のみ | 貫通式及び非貫通式家畜銃 | 必要 | 失神法の無効、非致死的創傷、死亡前の意識の回復 | 第7.6.8条 |
初生ヒナ及び卵のみ | 解離 | 不要 | 非致死的創傷、非即時性 | 第7.6.9条 |
成鶏のみ | 電気利用、単回通電法(方法2) | 必要 | 失神法の無効 | 第7.6.11条 |
成鶏のみ | 電気利用、単回通電法、その後の殺処分(方法3) | 必要 | 失神法の無効、死亡前の意識の回復 | 第7.6.11条 |
すべての世代 | CO2/空気混合物 方法1 方法2 |
必要 不要 | 無意識の緩徐な導入、導入の嫌悪 | 第7.6.12条 |
すべての世代 | CO2を混合した窒素又は不活性ガス | 必要 | 無意識の緩徐な導入、導入の嫌悪 | 第7.6.13条 |
すべての世代 | 窒素又は不活性ガス | 必要 | 無意識の緩徐な導入 | 第7.6.14条 |
すべての世代 | バルビツールその他の薬剤の注射 | 必要 | 非致死的な投与量、注射部位に関連する痛み | 第7.6.15条 |
すべての世代 | 頚椎脱臼 | 不要 | | 第7.6.17条 第1項 |
すべての世代 | 断頭 | 不要 | | 第7.6.17条 第2項 |
成鶏のみ | 飼料又は水への麻酔薬の投入、その後の適切な殺処分法 | 不要 | 無意識導入の無効又は緩徐 | 第7.6.16条 |
馬科 | すべての世代 | 銃弾 | 不要 | 非致死的創傷 | 第7.6.6条 |
新生仔を除くすべての世代 | 貫通式家畜銃、その後のピッシング又は放血 | 必要 | 失神法の無効、非致死的創傷、死亡前の意識の回復 | 第7.6.7条 |
すべての世代 | バルビツールその他の薬剤の注射 | 必要 | 非致死的な投与量、注射部位に関連する痛み | 第7.6.15条 |
第7.6.6条 銃弾
- 序論
- 銃弾は、散弾銃、ライフル銃、拳銃又は専用の無痛と畜機から発射される自動推進体である。
- 近距離使用を目的として最も一般的に使用される火器は、以下のものである。
- 無痛と畜機(特別に製造又は調整された単発兵器)
- 散弾銃(12、16、20、28口径及び.410)
- ライフル銃(.22周縁起爆式弾薬)
- 拳銃(.32から.45の様々な口径)
- 遠距離使用を目的として最も一般的に使用される火器は、ライフル銃(.22、.243、.270及び.308)である。
- 遠距離から使用される銃弾は、頭蓋骨又は当該動物の頚部上部の軟組織(上頚部狙撃)の貫通並びに不可逆的震盪及び死亡をもたらすことを目的とし、適当な訓練を受けた有能な狙撃手によってのみ使用されるものとする。
2. 効果的な使用のための必要条件
- 狙撃手は、作業を行っている場所の人の安全を考慮するものとする。視覚及び聴覚を保護する適当な装置が、すべての関係者に装着されるものとする。
- 狙撃手は、当該動物が動いていないこと、正確な照準を可能とする正しい姿勢であることを確かなものとし、射撃距離は、可能な限り短い(拳銃の場合には5-50センチメートル)ものとする。ただし、銃身が、動物の頭部に接触しないものとする。
- さまざまな動物種の週齢及び大きさにとって正しいカートリッジ、口径及び銃弾のタイプが使用されるものとする。理想的には、弾薬が衝撃時に膨張し、頭蓋骨内でそのエネルギーが放散するものとする。
- 射撃された動物は、脳幹反射の消失が確かなものであることの確認を受けるものとする。
3. 利点
- 銃弾は、適切に使用されれば、急速で有効な殺処分の方法を提供する。
- 保定は最小限で済むかまったく必要とせず、適当な訓練を受けた有能な狙撃手が離れたところから殺処分する場合に使用することができる。
- 自由空地における興奮した動物の殺処分に適している。
4. 欠点
- 当該方法は、当該区域の人及び他の動物にとって、潜在的に危険である。
- 非致死的創傷を与える可能性がある。
- 脳組織の破壊が、いくつかの疾病の診断を妨げるおそれがある。
- 体液の漏出に、バイオセキュリティ上のリスクがある場合がある。
- 法令上の条件が、使用を排除又は禁止している場合がある。
- 有能な人材が限られている。
5. 結論
当該方法は、牛、緬羊、山羊、豚及び馬科(空地にいる大動物を含む)に適している。
第7.6.7条 貫通式家畜銃
- 序論
貫通式家畜銃は、圧縮空気又は空包で稼動する銃からボルトが発射されるものである。遊離した自動推進体はない。
当該家畜銃は、動物の大脳皮質及び中脳を貫通する位置で頭蓋骨を標的とするものとする。ボルトの頭蓋骨への衝撃が意識の喪失を生み出す。ボルトの貫通による脳の物理的損傷が、死亡をもたらす場合がある。ただし、動物の死亡を確実なものにするため、発射後には、可能な限りすみやかにピッシング又は放血が行われるものとする。家きん種に対する家畜銃の発射は、頭蓋骨及び脳の即時の破壊をもたらし、死亡へと繋がる。当該方法の使用に関する詳細な規定は、第7.5章を参照されたい。
2. 効果的な使用のための必要条件
- カートリッジ式銃及び圧縮空気銃では、ボルトの速度及びボルトの長さが、製造業者の勧告に従い、動物の種類及びタイプに適ったものであるものとする。
- 家畜銃は、頻繁に清掃され、良好な稼動状態に維持されるものとする。
- 過熱を防止するため、二丁以上の銃が必要な場合があり、発射が無効であった場合には、予備の銃が使用できるものとする。
- 動物は、保定されるものとする。最低限、カートリッジ式銃の場合には囲みに収容され、圧縮空気銃の場合には誘導路に置かれるものとする。
- 作業者が、当該動物の頭部に近づくことができるよう確保するものとする。
- 作業者は、最適な部位の頭蓋骨に垂直に家畜銃を発射するものとする。
- 動物の死亡を確実なものにするため、失神法の適用後には、可能な限りすみやかにピッシング又は放血が行われるものとする。
- 動物は、脳幹反射の消失を確実なものにするため、失神法から死亡まで、継続的に監視されるものとする。
3. 利点
- カートリッジ式器具の移動性が、動物を動かす必要性を減少させる。
- 当該方法は、意識喪失持続期間の即時の開始を誘導する。
4. 欠点
- 劣悪な銃の整備及び誤発射並びに不正確な銃の位置取り及び向きが、劣悪なアニマルウェルフェアをもたらす場合がある。
- 失神後の痙攣が、ピッシングを困難にし、危険にする場合がある。
- 当該方法は、興奮した動物に適用することが困難である。
- カートリッジ式銃の繰り返しの使用が、過熱に繋がる場合がある。
- 体液の漏出に、バイオセキュリティ上のリスクがある場合がある。
- 脳組織の破壊が、いくつかの疾病の診断を妨げるおそれがある。
5. 結論
当該方法は、その後にピッシング又は放血が行われる場合には、家きん、牛、緬羊、山羊、豚及び馬(新生仔を除く)に適している。
第7.6.8条 非貫通式家畜銃
- 序論
非貫通式家畜銃は、圧縮空気又は空包で稼動する銃からボルトが発射されるものである。遊離した自動推進体はない。
当該銃は、牛(成畜のみ)、緬羊、山羊及び豚に対し意識喪失を、家きん並びに新生の緬羊、山羊及び豚に対し死亡をもたらす衝撃的打撃を与えるため、頭蓋骨の前部に当てられるものとする。放血は、当該動物の死亡を確実なものにするため、当該打撃後、可能な限りすみやかに行われるものとする。
2. 効果的な使用のための必要条件
- カートリッジ式銃及び圧縮空気銃では、ボルトの速度が、製造業者の勧告に従い、動物の種類及びタイプに適ったものであるものとする。
- 家畜銃は、頻繁に清掃され、良好な稼動状態に維持されるものとする。
- 過熱を防止するため、2丁以上の銃が必要な場合があり、発射が無効であった場合には、予備の銃が使用できるものとする。
- 動物は、保定されるものとする。哺乳類は、最低限、カートリッジ式銃の場合には囲みに収容され、圧縮空気銃の場合には誘導路に置かれるものとする。家きんは、コーン、シャックル、板囲い又は人力で保定されるものとする。
- 作業者が、当該動物の頭部に近づくことができるよう確保するものとする。
- 作業者は、最適な部位の頭蓋骨に垂直に家畜銃を発射するものとする。
- 新生仔を除く哺乳類の死亡を確実なものにするため、失神法の適用後には、可能な限りすみやかに放血が行われるものとする。
- 動物は、脳幹反射の消失を確実なものにするため、失神法から死亡まで、継続的に監視されるものとする。
3. 利点
- 当該方法は、意識喪失の即時の開始並びに鳥及び新生仔の死亡を誘導する。
- 器具の移動性が、動物を動かす必要性を減少させる。
4. 欠点
- 新生仔を除く哺乳類では、意識が即時に回復するおそれがあることから、失神法適用後、可能な限りすみやかに放血されなくてはいけない。
- ケージ内の卵用鶏は当該ケージから取り出さなければならず、ほとんどの鳥に対し、保定をしなければならない。
- 劣悪な銃の整備及び誤発射並びに不正確な銃の位置取り及び向きが、劣悪なアニマルウェルフェアをもたらす場合がある。
- 失神後の痙攣が、放血を困難にし、危険にする場合がある。
- 興奮した動物への適用が困難。そのような動物は、殺処分手続の前に鎮静することができる。
- カートリッジ式銃の繰り返しの使用が、過熱に繋がる場合がある。
- 放血に、バイオセキュリティ上のリスクがある場合がある。
5. 結論
当該方法は、家きん並びに10キログラムまでの重量の新生の緬羊、山羊及び豚の殺処分に適している。
第7.6.9条 解離法
- 序論
解離法は、回転する刃又は突起物が付いた機械装置を活用し、家きんの初生ヒナ及び孵化用卵を直ちに破砕し、死亡に至らせるものである。
2. 必要条件
- 解離法は、優れた運転状態に維持された特別な設備を必要とする。
- 鳥の投入速度は、それが解離される前に、当該設備が詰まって動かくなったり、鳥が刃から跳ね返ったり、鳥が窒息死することがないようにするものとする。
3. 利点
- 処置が、即時の死亡をもたらす。
- 多くの羽数をすばやく殺処分できる。
4. 欠点
- 特別な設備を必要とする。
- 解離した組織に、バイオセキュリティ上又は人の健康上のリスクがある場合がある。
- 設備の清掃が、汚染源になる場合がある。
5. 結論
当該方法は、家きんの初生ヒナ及び孵化用卵の殺処分に適している。
第7.6.10条 電気利用-二段階通電法
- 序論
電流を用いた二段階通電法は、はさみ式トングによる頭部への最初の通電及びその直後の当該トングによる心臓を跨ぐ位置での胸部への通電から構成される。
十分な電流量の頭部への通電は、‘緊張性/間代性’の癲癇及び意識喪失を誘導する。当該動物がいったん意識喪失すれば、第二段階の通電が、心室細動(心停止)を誘導し、それが死亡へと繋がる。第二段階(胸部への低周波数電流の通電)は、受け入れがたい大きさの痛みを防止するため、意識を喪失した動物に対してのみ適用されるものとする。
2. 効果的な使用のための必要条件
- 当該失神制御装置は、以下の表に定める最小電圧及び最小電流の低周波(AC正弦波50ヘルツ)電流を発生されるものとする。適切な防護服(ゴム手袋及びゴム長靴を含む)が着用されるものとする。
動物種 | 最小電圧(ボルト) | 最小電流(アンペア) |
牛 | 220 | 1.5 |
緬羊 | 220 | 1.0 |
6週齢以上の豚 | 220 | 1.3 |
6週齢未満の豚 | 125 | 0.5 |
- 動物は、電源近くに保定される(最低でも家畜房内で立位の状態である)ものとする。
- 電極を当てる者一名、そして、2回目の通電を可能にするように当該動物の位置をたくみに処理する者一名、計2名のチーム員が必要である。
- 失神法の電流は、脳を跨ぐ位置に当てられたはさみ式失神法トングを通じて、少なくとも3秒間流されるものとする。当該電極は、頭部への通電後直ちに、心臓を跨ぐ位置に移動され、少なくとも3秒間通電されるものとする。
- 電極は、最適な電気的接触が維持されるように、定期的及び使用後に清掃されるものとする。
- 動物は、脳幹反射の消失を確保するため、失神法適用後死亡するまで、継続的に監視されるものとする。
- 電極は、失神が完了するまで、意図した時間きちんと適用され、圧力を緩めないものとする。
3. 利点
- 第二段階の通電が、失神後の痙攣を最小限に抑え、ゆえに、当該方法は、豚に対しとりわけ有効である。
- 非侵襲性の技術が、バイオセキュリティ上のリスクを最小限に抑える。
4. 欠点
- 当該方法は、信頼できる電気の供給を必要とする。
- 有効な失神及び殺処分を達成するためには、正しい位置に電極が適用され、維持される必要がある。
- ほとんどの失神制御装置は、高電圧通電前の電気スイッチとして、低電圧インピーダンスセンシングを使用している。毛刈りされていない緬羊では、(とりわけ第二段階において)接触インピーダンスが高すぎるため、必要な高電圧への切り替えができない場合がある。
- 当該方法は、大変な肉体労働を必要とする場合があり、作業者の疲労及び劣悪な電極の位置取りに繋がるおそれがある。
5. 結論
当該方法は、仔牛、緬羊及び山羊並びにとりわけ豚(1週齢以上)に適している。
第7.6.11条 電気利用-単回通電法
- 方法1
方法1は、当該動物の失神と心臓の細動を同時に得るための、頭部及び背部への十分な電流量の単回通電によって形成される。十分な電流量が脳及び心臓に跨る場所に作用した場合には、当該動物は、意識を回復することがない。
a. 効果的な使用のための必要条件
- 当該失神制御装置は、最小250ボルト負荷実効RMSの電圧で、低周波数(30-60ヘルツ)の電流を発生させるものとする。
- 適切な防護服(ゴム手袋及びゴム長靴を含む)が着用されるものとする。
- 当該失神法の効果的な使用のためには、電極と動物との物理的接触の維持が必要なことから、動物は、機械を使用して個別に、電源近くに保定されるものとする。
- 背面電極は、背部の心臓の上又は裏、その次に前面電極は目の前方の部位に当て、少なくとも3秒間電流を作用させるものとする。
- 電極は、最適な電気的接触が維持されるように、動物と動物との合間、定期的に及び使用後に清掃されるものとする。
- 緬羊との電気的接触を向上させるため、水又は塩水が必要な場合がある。
有効な失神及び殺処分は、脳幹反射の消失によって実証されるものとする。
b. 利点
- 方法1は、失神及び殺処分を同時に行う。
- 当該方法は、失神後の痙攣を最小限に抑え、ゆえに、豚に対しとりわけ有効である。
- 当該適用には、単独のチーム員のみ必要である。
- 非侵襲性の技術が、バイオセキュリティ上のリスクを最小限に抑える。
c. 欠点
- 方法1は、機械による動物の個別保定を必要とする。
- 有効な失神及び殺処分を達成するためには、正しい位置に電極が適用され、維持されなくてはいけない。
- 方法1は、信頼できる電気の供給を必要とする。
結論
方法1は、仔牛、緬羊、山羊及び豚(1週齢以上)に適している。
2. 方法2
方法2は、逆さまにシャックルに掛けられた家きんを、通電した水槽失神器の中を牽引することによって、失神と殺処分を行うものである。‘通電中’の水とアースしたシャックルの間に電気的な接触があり、十分な電流が作用した場合には、家きんは、失神と同時に殺処分される。
a. 効果的な使用のための必要条件
- 可動式水槽失神器及び短い環状式処理ラインを必要とする。
- 鳥を失神させ、殺処分するためには、少なくとも3秒間作用する低周波(50-60ヘルツ)電流が必要である。
- 家きんは、そのケージ、鶏舎又は囲いから人力で取り出され、その頭部が十分に浸かる水槽失神器の中を運搬するラインに、逆さまにシャックル掛けされることを必要とする。
- 乾いた鳥を失神させ、殺処分するために必要な最小電流量は、以下のとおりである。
- ウズラ-一羽当たり100ミリアンペア
- 鶏-一羽当たり160ミリアンペア
- アヒル及びガチョウ-一羽当たり200ミリアンペア
- 七面鳥-一羽当たり250ミリアンペア
濡れた鶏に対しては、さらに大きな電流量が必要である。
b. 有効な失神及び殺処分は、脳幹反射の消失によって実証されるものとする。
c. 利点
- 方法2は、失神及び殺処分を同時に行う。
- 当該方法は、大羽数の鳥を確実及び効果的に処理することが可能である。
- 非侵襲性の技術が、バイオセキュリティ上のリスクを最小限に抑える。
d. 欠点
- 方法2は、信頼できる電気の供給を必要とする。
- 鳥の取り扱い、逆さまでのシャックル掛けが必要である。
e. 結論
方法2は、大羽数の家きんに適している。
3. 方法3
方法3は、家きん頭部の脳を跨ぐ部位への十分な電流量の単回通電によって形成され、意識の喪失をもたらす。当該方法では、続いて殺処分法が行われる(第7.6.17条参照)。
a, 効果的な使用のための必要条件
- 当該失神制御装置は、失神させるのに十分な低周波数電流(アヒル一羽当たり600ミリアンペア超及び鳥一羽当たり300ミリアンペア超)を発生させるものとする。
- 適切な防護服(ゴム手袋及びゴム長靴を含む)が着用されるものとする。
- 鳥は、最低限人力によって、電源近くで保定されるものとする。
- 電極は、最適な電気的接触が維持されるように、定期的及び使用後に清掃されるものとする。
- 鳥は、脳幹反射の消失を確保するため、失神法適用後死亡するまで、継続的に監視されるものとする。
b. 利点
非侵襲性の技術であることから、(頚椎脱臼と組み合わされた場合には)バイオセキュリティ上のリスクが最小限に抑えられる。
c. 欠点
- 方法3は、信頼できる電気の供給を必要とし、大規模な運用には適していない。
- 有効な失神及び殺処分を達成するためには、正しい位置に電極が適用され、維持されるものとする。
- 鳥は、個別に保定される必要がある。
- 続いて殺処分法が行われるものとする。
d. 結論
方法3は、少羽数の家きんに適している。
第7.6.12条 CO2/空気混合物
- 序論
管理ガスによる殺処分は、ガスに満たされたコンテナ若しくは装置内に動物を置く(方法1)又は気密コンテナ内に鳥が入った運搬モジュール若しくは運搬ケースを置いて、ガス混合物を注入する(方法2)又は鶏舎にガスを注入する(方法3)のいずれかの方法によって、規定のガス混合物に動物を曝すことで行われる。方法3は、人力による生きた鳥の取り出しの必要性から生じるウェルフェア上の課題を排除することから、可能な場合にはいつでも採用されるものとする。方法2は、鳥の取り扱い及び運搬ケースへの詰め込みを必要とするが、窒息又は呼吸困難による死亡のリスクを軽減することから、方法1と比較して、鳥のウェルフェアに総合的に利益をもたらす。
二酸化炭素(CO2)の吸入は、呼吸性及び代謝性のアシドーシスを誘発し、したがって、脳脊髄液(CSF)及び神経単位のpHを低下させ、それにより意識の喪失をもたらし、長期間の曝露後には、死亡へと繋がる。二酸化炭素への曝露が、意識の即時の喪失をもたらすことはなく、したがって、高濃度のCO2を含むガス混合物の持つ嫌悪を催す性質及び誘発過程で生じる息苦しさは、アニマルウェルフェアにとって重要な注意事項である。
2. 方法1
動物は、ガスに満たされたコンテナ又は装置内に置かれる。
a. コンテナ又は装置内での効率的利用のための必要条件
- コンテナ又は装置は、必要なガス濃度が維持され、正確に測定することが可能なものであるものとする。
- 動物がコンテナ若しくは装置内で個別に又は小集団でガスに曝露する場合には、使用される設備は、当該動物に対する損傷を防止し、その観察が可能になるよう設計、製造及び整備されるものとする。
- 動物は、低濃度の内に導入されても良く(低濃度では嫌悪感がない)、その後に濃度が高められ、死亡が完了するまで高濃度の中に置かれても良い。
- チーム員は、各一団の動物が、次の一団が当該コンテナ又装置内に導入される前に死亡する十分な時間があるよう確保するものとする。
- コンテナ又は装置は、過密にならないものとし、お互いの上に登ることによる動物の窒息を防止する措置が必要である。
b. 利点
- CO2は容易に入手可能である。
- 適用方法が簡単である。
- 必要なガスの容量が容易に計算できる。
- 当該ユニットは野外で運用されるため、各サイクル終了後には、ドアを開けることによりガスが急速に拡散し、これが作業者の健康及び安全性を向上させる。
- 当該システムは、当該業界で日常的に使われている熟練捕獲チーム及び設備を活用する。
- 金属製のコンテナは、容易に洗浄及び消毒が可能である。
c. 欠点
- 適切に設計されたコンテナ又は装置の必要性
- 高濃度CO2の嫌悪を催す性質
- 意識の即時の喪失が得られないこと
- 過密による窒息のリスク
- 動物がコンテナ又は装置内にいる間の死亡確認の困難
d. 結論
方法1は、家きん並びに新生の緬羊、山羊及び豚での使用に適している。
3. 方法2
本方法では、鳥が入っている運搬ケース又はモジュールが、ガスが導入される室内へと運び込まれる。以下に例示するとおり、コンテナガス処理ユニット(CGU)は、家きん運搬用ケース又は単一のモジュールを収容するため設計されたガス気密室から形成されるのが典型である。当該室には、多岐管システム及びガス制御器を経由してガスシリンダーに繋がる消音装置付きのガス管及び拡散器が装備される。コンテナがガスで満たされる時に置換ガスを逃がす穴が、上部にある。
CGUの運用手順には、(a)平坦で固い野外の地面へのコンテナの設置、(b)ガスシリンダーのコンテナへの接続、(c)鳥のコンテナ内への積み込み、(d)ドアの閉鎖及び固定、(e)コンテナ上部で二酸化炭素濃度が45容量パーセントに達するまでガスの注入、(f)鳥が意識を喪失し、死亡するまで時間を置く、(g)ドアの開放及びガスの空気中への拡散、(h)モジュールの取り出し、(i)各引き出し内の生存確認、(j)生きている鳥の人道的殺処分及び(k)死体の適切な廃棄が含まれる。
a. コンテナガス処理ユニット(CGU)の効果的な活用のための必要条件
- 鳥は、優しく捕獲され、すべての鳥が座ることができる適切な大きさ及び適切な輸送家畜密度で、運搬ケース又はモジュールに置かれるものとする。
- 鳥で満たされた運搬ケース又はモジュールは、コンテナ内に置かれ、作業者がガスを導入する準備ができた時点ではじめて、ドアを閉鎖するものとする。
- コンテナのドアの施錠が確認され、輸送ケースの上部での二酸化炭素濃度が、最低でも45パーセントに達するまでガスが注入される。
- 適切な二酸化炭素濃度を達成し、その濃度が、当該鳥が殺処分されたのが確認できるまで維持されるよう確保するため、適切なガスメーターが使用されるものとする。
- 鳥が死亡するのに十分な曝露時間が、扉が開かれるまでに与えられるものとする。殺処分中に鳥を直接観察できる監視窓がない場合には、当該コンテナの近くに立つことで、奇声及び痙攣的羽ばたき音の停止を聞き取ることが可能であり、当該鳥が意識を喪失し、死が差し迫っていることを判断するのに利用することができる。運搬ケース又はモジュールは、コンテナから取り出され、野外に放置されるものとする。
- 各運搬ケース又はモジュールは、検査を受け、鳥が死んでいることが確認されるものとする。瞳孔の拡大及び呼吸の消失は、死亡を示唆している。
- 生存している鳥は、すべて人道的に殺処分されるものとする。
- アヒル及びガチョウは、二酸化炭素の影響からの回復が早く、そのため、死亡するためには、最低でも80パーセントのCO2及びより長い時間の曝露が必要である。
b. 利点
- すばやく、静かに導入されたガスは、鳥に対し、騒乱及び撹乱をもたらすことが少ない。
- 意識の喪失を誘導するためにCO2濃度を徐々に増加させることによって、本方法の持つ嫌悪を催す性質が最小限に抑えられる。
- 鳥の移動のために運搬用の運搬ケース又はモジュールを利用することによって、手による取り扱いが最小限に抑えられる。鶏舎での間引き時には、鳥は、訓練を受けた経験ある捕獲チームによって取り扱われるものとする。
- 当該モジュールは機械によってCGU内に積載され、密閉後直ちに当該室内に致死的混合ガスが急速導入される。
- CO2は容易に入手可能である。
- 方法1と比較した場合、鳥がより均一にガスに曝露され、お互いを窒息させることが少ない。
- 必要なガスの容量が容易に計算できる。
- 当該ユニットは野外で操作されることから、各サイクル終了時には、扉を開放することによって、ガスが急速に拡散し、作業者の健康及び安全を向上させる。
- 当該システムは、当該業界で日常的に使われている熟練捕獲チーム及び設備を活用する。
- 金属製のコンテナは、容易に洗浄及び消毒が可能である。
c. 欠点
- 訓練を受けた作業者、訓練を受けた捕獲者、運搬用モジュール及びフォークリフトが必要である。ただし、この設備及び固い表面の適当な区画は、通常使用可能である。
- 主な制限要因は、鳥を捕獲する速度である。
- 監視窓がない場合には、鳥がコンテナ内に依然いる間の視覚による死亡の確認が困難である。ただし、死亡の開始を判断するために、奇声及び痙攣的羽ばたき音の停止を利用することができる。
d. 結論
- 方法2は、コンテナ及び設備を運ぶための輸送機関が利用できる場合には、広範な家きんシステムでの利用に適している。
- 鳥は、コンテナ又は装置に導入されるものとし、それは、その後に密閉され、40パーセントCO2超の必要なガス濃度に可能な限りすばやく満たされる。鳥は、死亡が確認されるまで、そのガスの中で保持される。
- 方法2は、家きん並びに緬羊、山羊及び豚の新生仔に適している。ただし、CO2は、意識を喪失する前に、当該動物に苦難の時間を与える可能性が高い。
4. 方法3
ガスは、鶏舎に導入される。
a. 鶏舎での効率的利用のための必要条件
- 鶏舎は、CO2導入前に、ガス濃度の制御を可能にするため、適切に密閉されるものとする。密閉とガス導入との間隔は、過熱を避けるため、最短に保たれるものとする。
強制換気システムが、装備されている場合には、ガス導入直前にスイッチを切るものとする。
水道管の凍結及び破裂を防止するため、鶏舎への主な水供給を閉じ、水を排水しなければならない場合もある。
餌桶及び水桶は、ガス導入の障害となるのを防止し、鳥の損傷を予防するため、上に移動するものとする。 - ガス輸送管又はランセットは、高圧で運ばれる非常に低温のガスに鳥が直接当たることがないように適切に設置されるものとする。鶏舎を網、ワイヤー網又は同様の穴の空いた材料で仕切ることによって、輸送管の前面区画から、およそ20メートルの距離を開けて、鳥を排除する必要がある場合がある。
- 鶏舎は、死亡するまでにすべての鳥が40パーセント超の濃度に曝露されるように、徐々にCO2で満たされるものとする。氷結を予防するため気化器が必要な場合がある。
- 最も上部の鳥の収容場所のガス濃度を正確に測定するため、装置が使用されるものとする。
b. 利点
- 元々の場所で鳥にガスを作用させることにより、生きた鳥を手で取り出す必要性を排除する。
- CO2は容易に入手可能である。
- CO2濃度を徐々に高めることにより、意識喪失誘導の嫌悪感を最小限にする。
c. 欠点
- 鶏舎によっては、適切なCO2濃度に達するのに必要なガスの容量を決定することが困難である。
- 鳥が当該鶏舎内にいる間に死亡を確認するのが困難である。
鶏舎に導入される極度に低温の液体CO2及び固体CO2合成物(ドライアイス)が、鳥にウェルフェア上の懸念をもたらすおそれがある。
d. 結論
方法3は、閉鎖環境の小屋内の家きんでの使用に適している。本方法は、豚を殺処分するために開発できるかもしれない。ただし、CO2は、意識を喪失する前に、当該鳥に苦難の時間を与える可能性が高い。
第7.6.13条 CO2混合窒素又は不活性ガス
- 序論
CO2は、窒素又は不活性ガス(アルゴン等)と様々な割合で混合することができ、そのような混合物の吸入は、酸素濃度が2容量パーセント以下又は鶏の場合には5パーセント以下であるときに、高炭酸ガス低酸素症及び死亡をもたらす。CO2と窒素又は不活性ガスとの様々な混合物が、第7.6.12条に規定される方法1及び方法2を用いた鳥の殺処分のために導入することが可能である。CO2と窒素又は不活性ガスとの混合物による鶏舎全体のガス処理は、大容量のガスを混合することによる複雑な問題のため、試験が行われていない。ただし、そのような混合物は、意識の即時の喪失を誘導せず、したがって、高濃度のCO2を含む様々なガス混合物の嫌悪感及び導入段階中に生じる呼吸困難が、重要なアニマルウェルフェア上の懸念である。
豚及び家きんは、低濃度のCO2を非常に嫌なものだとは認識していないように見え、CO2が30容量パーセント以下で、O2が2容量パーセント以下の窒素又はアルゴンの混合物は、家きん並びに緬羊、山羊及び豚の新生仔の殺処分に使用することができる。
- 方法1
動物は、ガスに満たされたコンテナ又は装置内に置かれる。
a. 効果的な使用のための必要条件
- コンテナ又は装置は、必要なガス濃度が維持され、殺処分の進行中、O2及びCO2の濃度が正確に測定されるものとする。
- 動物がコンテナ又は装置内で個別に又は小集団でガスに曝露する場合には、使用される設備は、当該動物に対する損傷を防止し、その観察が可能になるよう設計、製造及び整備されるものとする。
- 動物は、コンテナ又は装置が必要なガス濃度(2パーセントO2以下)に満たされた後、そこに導入され、死亡が確認されるまでそのガスの中で保持されるものとする。
- チーム員は、各一団の動物が、次の一団が当該コンテナ又装置内に導入される前に死亡する十分な時間があるよう確保するものとする。
- コンテナ又は装置は、過密にならないものとし、お互い上に登ることによる動物の窒息を防止するための措置が必要である。
b. 利点
低濃度のCO2がもたらす嫌悪感が少なく、窒素又は不活性ガスと組み合わせることによって、意識喪失の迅速な誘導を生み出す。
c. 欠点
- 適切に設計されたコンテナ又は装置が必要である。
- 動物が当該コンテナ又は装置内にいる間に死亡を確認するのが困難である。
- 意識の即時の喪失がない。
- 殺処分に必要な曝露時間がかなり長い。
d. 結論
当該方法は、家きん並びに緬羊、山羊及び豚の新生仔に適している。
2. 方法2
本方法では、鳥が入っている運搬ケース又はモジュールが、コンテナ内へと運び込まれ、ガスが当該コンテナ内へ導入される(第7.6.12条の図参照)。以下の例に示されるように、各コンテナガス処理ユニット(CGU)は、家きん運搬用ケース又は単一のモジュールを収容するため設計されたガス気密室から形成されるのが典型である。当該コンテナ又は室には、多岐管システム及びガス制御器を経由してガスシリンダーに順番に繋がる消音装置付きのガス管及び拡散器が装備される。コンテナがガスで満たされる時に置換ガスを逃がす穴が、上部にある。
CGUの運用に関係する手順には、(a)平坦で固い野外の地面へのコンテナの設置、(b)ガスシリンダーのコンテナへの接続、(c)鳥のモジュールのコンテナ内への積み込み、(d)ドアの閉鎖及び固定、(e)コンテナ上部で酸素濃度が2容量パーセント未満であると認められる時点までガスの注入、(f)鳥が意識を喪失し、死亡するまで時間を置く、(g)ドアの開放及びガスの空気中への拡散、(h)モジュールの取り出し、(i)各引き出し内の生存確認、(j)生きている鳥がいる場合には、人道的殺処分及び(k)死体の適切な廃棄が含まれる。
a. コンテナガス処理ユニット(CGU)の効果的な活用のための必要条件
- 鳥は、優しく捕獲され、すべての鳥が座ることができる適切な大きさ及び適切な輸送家畜密度で、運搬ケース又はモジュールに置かれるものとする。
- 鳥の運搬ケース又はモジュールは、コンテナ内に置かれ、作業者がガスを導入する準備ができた時点ではじめて、ドアを閉鎖するものとする。
- コンテナのドアの施錠が確認され、輸送ケースの上部で2パーセント未満の残存酸素濃度が達成されるまでガスが注入される。
- 2パーセント未満の酸素濃度を達成し、その濃度が、当該鳥が殺処分されたのが確認できるまで維持されるよう確保するため、適切なガスメーターが使用されるものとする。
- 鳥が死亡するのに十分な曝露時間が、扉が開かれるまでに与えられるものとする。殺処分中に鳥を直接観察できる監視窓がない場合には、当該コンテナの近くに立つことで、奇声及び痙攣的羽ばたき音の停止を観察することが可能であり、当該鳥の死亡の開始を判断するのに利用することができる。運搬ケース又はモジュールは、コンテナから取り出され、野外に放置されるものとする。
- 各運搬ケース又はモジュールは、検査を受け、鳥が死んでいることが確認されるものとする。瞳孔の拡大及び呼吸の消失は、死亡を示唆している。
- 生存している鳥は、すべて人道的に殺処分されるものとする。
- アヒル及びガチョウは、20パーセント二酸化炭素と80パーセント窒素又はアルゴンとの混合物の影響からの回復が早いようには見えない。
b. 利点
- すばやく、静かに導入されたガスは、鳥に対し、騒乱及び撹乱をもたらすことが少ない。
- 鳥の移動のために運搬用の運搬ケース又はモジュールを利用することによって、手による取り扱いが最小限に抑えられる。鶏舎での間引き時には、鳥は、訓練を受けた経験ある捕獲チームによって取り扱われるものとする。
- 当該モジュールは機械によってCGU内に積載され、密閉後直ちに当該室内に致死的混合ガスが急速導入される。
- アルゴンに20パーセントまでの二酸化炭素を含有した混合物は、溶接ガスシリンダーとして容易に入手可能である。
- 方法1と比較した場合、鳥がより均一にガスに曝露され、お互いを窒息させることが少ない。
- 2台のCGUを同時に運用することができ、一時間当たり4,000羽までの鶏の処理が可能である。
- 必要なガスの容量が容易に計算できる。
- 当該ユニットは野外で操作されることから、各サイクル終了時には、扉を開放することによって、ガスが急速に拡散し、作業者の健康及び安全を向上させる。
- 当該システムは、当該業界で日常的に使われている熟練捕獲チーム及び設備を活用する。
- 金属製のコンテナは、容易に洗浄及び消毒が可能である。
v. 欠点
- 訓練を受けた作業者、訓練を受けた捕獲者、運搬用モジュール及びフォークリフトが必要である。ただし、そのような設備及び固い表面の適当な区画は、通常使用可能である。
- 主な制限要因は、鳥を捕獲する速度及びガス混合物の入手である。
- 監視窓がない場合には、鳥がコンテナ内に依然いる間の視覚による死亡の確認が困難である。ただし、死亡の開始を判断するために、奇声及び痙攣的羽ばたき音の停止を利用することができる。
- CGUは、中小規模の農場で家きんを殺すために使用できる(例えば、1つの農場で最大25,000羽の鳥を)。
d. 結論
- 方法2は、家きん並びに緬羊、山羊及び豚の新生仔への使用に適している。
- 方法2は、コンテナ及び設備を運ぶための輸送機関が利用できる場合には、広範な家きんシステムでの利用に適している。
- 動物は、コンテナ又は装置に導入されるものとし、それは、その後に密閉され、当該ガス混合物に可能な限りすばやく満たされる。残存酸素濃度は、2パーセント未満に達し、それが維持されるものとし、鳥は、死亡が確認されるまで、そのガスの中で保持される。
第7.6.14条 窒素又は不活性ガス
- 序論
本方法には、窒素若しくはアルゴン等の不活性ガスが入れられたコンテナ又は装置内への動物の導入が含まれる。管理下の生産ガスが、低酸素症による意識喪失及び死亡をもたらす。
研究によると、低酸素症は豚及び家きんに嫌悪感を与えないことが示されており、それは、意識喪失前の呼吸困難のいかなる徴候も誘導しない。
a. 効果的使用のための必要条件
- コンテナ又は装置は、必要なガス濃度が維持され、O2濃度が正確に測定されるものとする。
- 動物がコンテナ若しくは装置内で個別に又は小集団でガスに曝露する場合には、使用される設備は、当該動物に対する損傷を防止し、その観察が可能になるよう設計、製造及び整備されるものとする。
- 動物は、コンテナ又は装置が必要なガス濃度(2パーセントO2以下)に満たされた後、そこに導入され、死亡が確認されるまでそのガスの中で保持されるものとする。
- チーム員は、各一団の動物が、次の一団が当該コンテナ又装置内に導入される前に死亡するだけの十分な時間的余裕があるよう確保するものとする。
- コンテナ又は装置は、過密にならないものとし、お互いの上に登ることによる動物の窒息を防止するための措置が必要である。
b. 利点
動物は、窒素又は不活性ガスを検知することができず、本方法による低酸素症の誘導は、動物に嫌悪感を与えない。
c. 欠点
- 適切に設計されたコンテナ又は装置が必要である。
- 動物が当該コンテナ又は装置内にいる間に死亡を確認するのが困難である。
- 意識の即時の喪失がない。
- 殺処分に必要な曝露時間がかなり長い。
d. 結論
当該方法は、家きん並びに緬羊、山羊及び豚の新生仔への使用に適している。
第7.6.15条 致死注射
- 序論
高用量の麻酔薬及び鎮静薬を用いた致死注射は、中枢神経系の機能低下、意識喪失及び死亡をもたらす。実際には、バルビツールと他の薬剤との組み合わせが、一般的に用いられている。
2. 効果的使用のための必要条件
- 急速な意識の喪失とそれに続く死亡をもたらす用量及び用法が使用されるものとする。
- 動物によっては、事前の鎮静が必要な場合がある。
- 静脈内投与が好ましいが、とりわけ当該薬剤が非刺激性の場合には、腹腔内投与又は筋肉内投与が適切な場合もある。
- 効果的に投与するため、動物は保定されるものとする。
- 脳幹反射の消失を確実にするため、動物は監視されるものとする。
- 当該方法の行為者は、麻酔法に関する研修を受け、知識を有するものとする。
3. 利点
- 当該方法は、すべての種に対し使用可能である。
- 死亡を穏やかに誘導することが可能である。
4. 欠点
- 注射の前に、保定又は鎮静が必要な場合がある。
- 薬剤の種類及び投与経路の組み合わせによっては、痛みを伴う場合があり、それは、意識を喪失した動物にのみ使用されるものとする。
- 法律上の条件並びに必要な技量及び訓練を受けていることを理由として、使用が獣医師に限定されている場合がある。
- 汚染された死体が、他の野生動物又は家畜の動物に対しリスクとなるおそれがある。
5. 結論
本方法は、少数の牛、緬羊、山羊、豚、馬科及び家きんの殺処分に適している。
第7.6.16条 飼料又は水への麻酔薬添加
- 序論
鶏舎内での家きんの殺処分には、家きん飼料又は水に混合可能な麻酔性物質を使用することができる。麻酔されただけの家きんは、頚椎脱臼等他の方法で殺処分する必要がある。
2. 効果的使用のための必要条件
- 有効な反応を得るためには、十分な量の麻酔薬が急速に摂取される必要がある。
- 鳥が断食している又は水を与えられていない場合には、十分量の摂取が容易になる。
- 鳥が麻酔されただけの場合には、殺処分(第7.6.17条参照)が続けて行われるものとする。
3. 利点
- 鳥が麻酔されるまで、手による取り扱いを必要としない。
- 大量の疾病鳥がいる場合には、バイオセキュリティ上の利点がある場合がある。
4. 欠点
- 開放的な環境で供与された場合には、非対象動物が、薬剤の入った飼料又は水を誤って摂取するおそれがある。
- 摂取される用量の調整が不可能であり、多様な結果に至るおそれがある。
- 病気又は不快な風味のために、動物が、混ぜ物が入った飼料又は水を拒絶するおそれがある。
- 当該方法は、続けて殺処分を行う必要がある場合がある。
- 処理済の飼料又は水の準備及び供与並びに食べ残しの処理済飼料/水及び汚染された死体の廃棄には、細心の注意が不可欠である。
5. 結論
当該方法は、鶏舎内にいる大羽数の家きんの殺処分に適している。ただし、麻酔がかかったが死亡していない鳥の殺処分のため、予備的方法が使用できるようにしておくものとする。
第7.6.17条 頚椎脱臼及び断頭
- 頚椎脱臼(人力及び機械によるもの)
a. 序論
意識を喪失した家きんは、人力又は機械のいずれかによる頚椎脱臼(頚部の牽引)によって殺処分することができる。本方法は、呼吸又は脳への血液供給の停止による大脳の無酸素状態からの死亡をもたらす。
殺処分される鳥の羽数が少なく、他の殺処分方法が使用できない場合には、3キログラム未満の意識ある鳥は、頚部の血管が切断され、死亡が瞬間にして起こる方法による頚椎脱臼を用いた殺処分をすることができる。
b. 効果的使用のための必要条件
- 殺処分は、その結果として起こる脊髄に対する重大な損傷を伴う、脊髄の切断を目的とする人力又は機械のいずれかによる頚部の牽引によって、行われるものとする。
- 一貫した結果を得るためには力及び技量が必要であり、一貫した信頼できる結果を確実にするため、チーム員は定期的に休息をとるものとする。
- 脳幹反射の消失を確実にするため、鳥は、死亡するまで継続的に監視されるものとする。
c. 利点
- 非侵襲性の殺処分方法である。
- 小さな鳥に対し、人力で実施することが可能である。
d. 欠点
- 作業者の疲労
- 当該方法は、大きな鳥に対しては、難しい。
- 人道的に実施するためには、訓練を受けた者が必要である。
- 鳥を手で取り扱うことによる人の健康及び安全に係る懸念
- 手で取り扱うことによる動物に対する余分なストレス
2. 断頭
s. 序論
断頭は、ギロチン又は刃物を用いた大脳の虚血による死亡をもたらす。
b. 効果的使用のための必要条件
必要な設備は、良好な機能状態に保たれるものとする。
c. 利点
当該技術は効果的であり、監視を必要としない。
d. 欠点
- 作業区域が体液で汚染され、それがバイオセキュリティ上のリスクを高める。
- 意識が直ちに喪失しない場合の痛み
第7.6.18条 ピッシング及び放血
- ピッシング
a. 序論
ピッシングは、即時に死亡することなく貫通式家畜銃で失神した動物を殺処分する方法である。ピッシングは、家畜銃で空いた穴の中にロッド又は棒を差し込むことによって、脳及び脊髄上部を物理的に破壊する。
b. 効果的使用のための必要条件
- ピッシング棒又はロッドが必要である。
- 動物の頭部及び頭蓋骨を通じた脳への接触が必要である。
- 脳幹反射の消失を確実にするため、動物は、死亡するまで継続的に監視されるものとする。
c. 利点
当該技術は、即時の死亡を引き起こすのに効果的である。
d. 欠点
- 痙攣のためにピッシングが遅延する又は無効な場合がある。
- 作業区域が体液で汚染され、それがバイオセキュリティ上のリスクを高める。
2. 放血
a. 序論
放血は、血圧の急激な低下とそれによる大脳虚血及び死亡をもたらす頚部又は胸部の大血管の切断を通じて、動物を殺処分する方法である。
b. 効果的使用のための必要条件
- 鋭利な刃物が必要である。
- 動物の頚部又は胸部への接触が必要である。
- 脳幹反射の消失を確実にするため、動物は、死亡するまで継続的に監視されるものとする。
c. 利点
当該技術は、有効な失神法方式を行った後、ピッシングができない場合に、死亡を引き起こすのに効果的である。
d. 欠点
- 痙攣のために放血が遅延する又は無効な場合がある。
- 作業区域が体液で汚染され、それがバイオセキュリティ上のリスクを高める。